「スポーツの表と裏」ひゃくえむ。 セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
スポーツの表と裏
生まれつき足が速かった主人公トガシは、小学校で転校生の小宮に出会う。小宮は足が遅かったが、トガシに憧れて貪欲に練習を行う。小宮の転校を機に2人が会うことはなくなってしまうが、高校の陸上大会で再開する。タイプが真逆の2人が100m走というスポーツを通じて心を通わせていく様を描く。
100m走は誰でも走ったことがある。最も単純なスポーツであると思う。しかし、これを題材としたアニメは少ない。それは、競技時間の短さや試合の中での攻防戦がないことなどに依るのかもしれない。本作では、主人公の小学校時代から社会人までの半生を描いており、自伝的な作りとなっている。よくあるスポコン漫画の試合に焦点を当てた作りではなく、それまでの過程や周囲の人物に焦点を当てた作品になっている。
本作は大人向けの作品になっている。スポーツと表と裏の部分をはっきりと描いている。1番になること目指して練習していたのに、いざ自分が1番となると虚無感に襲われてしまう。1つのけがによって戦線を離脱させられてしまう。過去には実力が下であった選手に抜かされてしまう。私自身スポーツは小学生から現在も選手として続けているが、そのような境遇に置かれた人を見たことがある。本作に登場するキャラはそのバリエーションが豊富で、共感させる力が強い。
なぜ走るのか。この言葉が作中では何度も登場する。何かに打ち込んでいるとふと誰でも疑問に思うことである。本作では、本気になることの重要性を説いていた。これは人それぞれ答えが異なるだろう。自分は何なのか。そんなことを考えさせてくれる作品だった。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。