「走る意味を問う、異色のリアリズム」ひゃくえむ。 emuzさんの映画レビュー(感想・評価)
走る意味を問う、異色のリアリズム
帰宅途中、日比谷東宝の地下劇場で映画を観ました。原作は読んでいません。
アニメなのに、妙なリアルさに驚きました。背景が写真みたいで、特に走っている人の動きがすごく細かく、まるで実際の人間を見ているようでした。
これは「ロトスコープ」という手法を使ったからです。これは、本物の役者の動きを撮影して、それをなぞってアニメにする古いけど新しい技術です。普通の「うまい絵」とは違う、この生々しい動きが、かえって心の中の複雑な感情を深く伝えていると感じました。
この映画は、100m走というスポーツをテーマにしていますが、原作者の魚豊先生らしい「なぜ走るのか?」という哲学的な問いが中心です。
主役のトガシの声は松坂桃李さん、ライバル小宮の声は染谷将太さん。俳優のお二人の演技が、ロトスコープのリアルな動きと合わさり、キャラクターに命を吹き込んでいました。そして、津田健次郎さんの声も、やはりこの作品に欠かせない重厚感を与えていました。
「走る」という一瞬の行為に、人間のすべてを賭ける。その熱い思いを、独自の映像表現で突き詰めた、見応えのある作品でした。
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