「10秒を大事にしているが、10秒は大事じゃない」ひゃくえむ。 Lhowonさんの映画レビュー(感想・評価)
10秒を大事にしているが、10秒は大事じゃない
・ロトスコープを使ったり、天候などの表現を工夫しているおかげで、ポスターやウエブサイトの絵柄より、アニメ感が薄れているので、アニメが苦手でも観賞できる。原作者の味として、みんな三白眼でちょっと怖いけど、髪形も漫画風味は薄く現代的に実在感があるのは良かった。
・陸上短距離を題材とすると、10秒を何分にも引き伸ばして、駆け引きを描きそうなものだが、せいぜい1分程度になっているのは好印象。陸上競技経験者から言えば、レースは一瞬でもあり、すごく長い時間で色んなことを考えていたりする、相対性理論ぽい空間なのだ。そうかと思うと、非現実的な『何とか走法』とか『何とか作戦』も出てこないのも良い。何なら大会の結果やその後の経過はすっ飛ばしており、スポーツを題材としていそうで、走ることを重視している気がする。
・色んな走者が、色んな論理で100m走を語る。ときには、説教を垂れる。感化される場合もあるが、結局それぞれ勝手にやっている。セリフを聞いている時には、情報量が多すぎて良く理解できない。これは、実際には走る理由なんで実はどうでも良くて、そんなセリフは理解できなくても100m走の価値は変わらないんだと言われているような気がする。それが、ラストシーンに反映されていると思った。
・主人公の声優が誰かと思ったら、松坂桃李でした。すごく、上手でした。このまま、声優も続けて欲しいくらい。悠木碧は気付きませんでした。ごめんなさい。
・ある意味地味で、感動を煽るシーンは全くないので、これを見て陸上競技人口が増えるとは思えません。競争を描いたものとして、ブラピノF1は傑作ですが、それの対局的な作品として見る価値があると考えます。万人受けする分けではないので、星は4つにしました。
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