「100メ−トルで哲学する」ひゃくえむ。 モモンガさんの映画レビュー(感想・評価)
100メ−トルで哲学する
観ようかどうしようか迷っていた作品だった。結果、観て大正解!ホントに良かった!
たった10秒ちょっとの中に込められている感情に、自分の心がゆさぶられる。一つの事をとことん極める中で、自分の可能性を知り限界を知り絶望し歓喜する。勝つためには才能が必要なのか、それともあきらめないしぶとさか…。歓喜の先にいつの間にか停滞があり諦念があり…なぜ自分は走っているのかを常に問いかけている。すごい内省するなぁ~と思いながら見ていたが、走るという単純な行為の上に人生を築いてきた選手たちには当然か。
子供の頃は勝つことが当たり前で、優勝トロフィーなんて雑に飾っていたトガシが、走る事に勝つ事に倦んでいる頃、小宮は静かに気持ちを昂らせ黙々と練習に励み高校で爆発する…2人の活躍の対比が効いていて、高校で一緒に走ったレ―ス後に明暗が分かれていく…。トガシが選手生命のホントの瀬戸際に立たされてぐしゃぐしゃに泣いて静かに覚悟を決めた所は、10年間のおそらく小宮に負けてパッとしなくなった自分、走る事の意味がぼやけたままできた彼の現実のピントが合った瞬間なんだろう…。100メ―トルを一番速く走れば大抵のことは解決する、それを実現して人生を変えてこの先が見えなくなりかけていた小宮と、やっとホントのガチで100メ―トルにかけるトガシと。そんな彼らが再び喜びの中にいるラストは勝敗は気になるが、なんというか晴れやかな気持ちにさせてくれる。一瞬の中に彼らの人生が詰まっている!
そして映像と演出、音楽も良かった!画がきれいに…というよりは心情に合った描き方が際立っていた。小宮に負ける試合で豪雨の中、最後に雨と音の中に消えていく所は、勝つことに慣れていていつの間にか驕っていたトガシの打ちのめされている今と今後か暗示されていたし、心が揺らいでいるシーンはホントに画がぶれる!音楽も緊張感と高揚感があってこっちも緊張してきてしまう!とにかく必見の映画!
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