「語らせてくれ、真剣で。」ひゃくえむ。 りんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
語らせてくれ、真剣で。
知り合いに「ひゃくえむ。」を知っている人がいないから語るに語れない。だからこそこういう場があるのだと考え、ここで語るしかない。
多分に漏れず、「ひゃくえむ。」は私も「チ。」から入った者。「チ。」よりも話が単純で分かりやすい。スポーツ漫画自体が好きなのもあって、むしろこっちの方が好きまである。
「チ。」がアニメ化してしかも結構話題になった時から、ひゃくえむの映像化ももしかしたら叶うかもしれないと期待していたところにまさかの映画化!ずっと楽しみだった。
ただ、映画化となると尺が足りないのでは、と不安になった。小学生編は物語の始まりだし必須で、社会人編も最後の締めだから必須だし、高校生編が短くなるしかないよね。でも、高校生決勝でトガシと小宮が戦わないと次に繋がらないし、どうすんだろと。
とにかく楽しみだった。公開日がまさかのチェンソーマンと同じになるとは思わなかったけどね。最寄りの映画館では一日7回ぐらいやるチェンソーマンと比べて、なんとひゃくえむは一回だけ。2番目に近い映画館はまさかの上映なし。日曜日の朝っぱらから一人遠くの映画館まで見に行くことになったとさ。
さて、ようやく映画の話へ。
もうね、最高だった。ずっと楽しみだったのを見られて、むしろ上映後には喪失感に苛まれたぐらい。
ただ、やはり尺足らずの問題を解決するには至らなかった。原作の完全再現というのはできないしすべきではない、と原作者もパンフレットで言っていた。一番の違いはモノローグがほとんどないこと。好みは分かれそうだよね。
思いつくものをさらっていこう。
【小学生編】
概ね原作通り。小宮が運動会で初めて一位になるとこまではほぼ一緒。その後周りの扱いが変わっていく様子は無かったかな。仁神が出てきた辺りから改編されていく。トガシとの対談になり、しかもテレビの演出でトガシと仁神の100m勝負が始まる。
そして最後にトガシと小宮の一騎打ち。原作に特徴的な画面一杯の台詞言うシーンは全体的に薄めな演出だったかな。前述の通り、モノローグがほとんど無いから、この一騎打ちもあっさりに見えるかも。ここで後ろから迫ってくる小宮に対して熱くなり真剣で走るトガシ、負けがよぎり勝ちへの焦燥が強くなるトガシ、のような演出はなかった。
一番の違いはこの勝負を仁神が見ていない所。だから小宮に衝撃の苦言をするシーンはない。それはこの後に別の人が言うことになる。
【高校生編】
一番の改編がこの高校生編。まあ仕方ない。始まってすぐ気づくのが、椎名が陸上部に所属してること。おい!おまえむしろ敵側のキャラだっただろ。何を仲良く練習しとんねん。あれ、あのメガネの男子部員はどこいった。後ろを通り過ぎたぞ。アメフト部は?部活対抗リレーは?
とまあ、がっつり改編。アメフト部との抗争はなくなり、部活対抗リレーは地元の記録会の男女混合800mリレーに変更された。なるほど、だから女子2人にする必要があったわけだ。浅草さんのヒロイン力が爆発しているのはすごくよい。
仁神の過去を彫り上げることはなくなった。その代わり?仁神の前の学校が登場し、仁神の自称ライバルという唯一のオリジナルキャラが登場。声が杉田(銀魂の銀さん)だったのはウケた。
原作の好きなシーンに、浅草さんがリレーで走る男友達に「お願いすれば手加減するよ」みたいなこと言われて「・・・お願い。アップして」と返すめちゃくちゃかっこいい台詞があるのだが、当然見ることはできなかった。
リレーのシーンはこれまた素晴らしい見応え。仁神がアンカーを走るわけだが、その決着がまたニクい演出するのよ。
次に小宮側の話が始まる。こちらも尺の都合で、小宮が経田に嫌がらせされそれに負けずに勝つ流れはなくなった。その代わり、経田は仁神が言うはずだった台詞を言うことになる。いい役もらったな。しかし、言う人を変えて台詞を生かすというのは、制作側も相当工夫しているな。
高校生全国大会はほぼ原作通りだし、映像ならではの迫力はすさまじい。雨の中の決勝戦は見応えある。
【社会人編】
こちらはほぼ改編なし。モノローグがないことがやはり物足りなく感じてしまうが。
海棠の威厳が半端ない。財津か小宮か、のシーンはやたら強調されていたし、原作でも印象深いから、それをみたときが何故だか映画通して一番泣きそうになった。
あと、トガシが公園で小学生と話すシーンあるけど、突然号泣するのは、映像でみるとかなりヤバい奴。通報されるわ。
海棠のモノローグで、今、自分史上最高の走りをしてる、だから分かる、財津、おまえ速すぎるよ。この流れがほんと好きだが、この台詞自体はなかった。
そうしてラストの決勝戦へと流れるわけだが、そこはもう何も言うまい。
再三言うがモノローグはないので、どう感じるかは人それぞれかな。
決着は知っての通り。むしろ原作未読で見に来る人はどれくらいいるのだろう。
【エンディング】
特に無いのだが、スポーツ漫画だけに、知っている企業が多かった。ナイキ、アディダスからプーマ、アンダーアーマー、そして陸上といえばNISHI、さらにJAAF、各陸上競技協会、法政大学陸上競技部、そして最後に日本陸上競技連盟。
残念ながら埼玉県陸上競技協会の名前はなかった。しらこばと陸上競技場を使ってくれ。
さて、全体的に改編せざるを得ない中、これが映画でやる場合の最適解だと信じたい。勢いでパンフレットも買ったが、その辺のことも何人かが話題にあげている。
見終わったときの喪失感が強かったが、時間と共に和らいできた。
DVD化したときは買ってしまうかもしれない。
人の為より自分の為に書いたレビューとなったが、もし読んでくれた方はありがとうございます。
そうだったら熱いな!って思いました!
トガシ視点で語ったら、トンネルだし、彼を脅かす影みたいな部分があったんだろうけど(映画では語られなかったけど)、小宮視点で語ったら、憧れのトガシくんと一騎打ちで走って脚をいわしたエピソードになるのかな…って。
りあのさん
ほんと仕方ないです。かといって二部作にするのも、今度は間延びする気がしますし。尺的には12話のアニメにするのが一番いいとは思うんですが、それだと色々変わってきそうですし。
浅草さんは可愛い。等身大の女子みたいです。
餃子さん
そういう視点は無かったです。なるほど、ダブル主人公的な扱いですし、そういうのもあるかもしれません。
小宮からしてみれば小学生の一騎打ちも、トガシに圧倒されただけなのかも。
共感ありがとうございます。
詳しい解説ありがとうございました。
なるほど、実は尺の長い話を劇場版用に短くしてたんですね。
なんか途中あっさり飛ぶなぁ、と思ったシーンがいくつか有ったのは、無理矢理尺を縮めた苦肉の策だった様ですね。
浅草さん、ヒロイン力素晴らしかったです。
コメントありがとうございます!
例のトンネル、映像で観たかったですね〜!
でも、あの、一晩経って思ったんですが(薄々思ってたんですが)、
もしかして映画の世界線って、小宮から見た世界なのかな。
って思って。
トガシはかっこいいし、
トガシとの思い出は煌めいてるのかも…!
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