「普通のミステリーホラーかと思いきや、 ’80年代残酷ホラーへのオマージュ満載。当時のビデオ映画規制への批判。」映画検閲 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
普通のミステリーホラーかと思いきや、 ’80年代残酷ホラーへのオマージュ満載。当時のビデオ映画規制への批判。
1980年代のイギリス、映画検閲官のイーニッドは、暴力的な映画や残酷描写を審査していた。
ある日、ベテラン監督の旧作ホラー映画のヒロインが、幼い頃行方不明になった妹ニーナに似ていることに気付く。
前半は普通のミステリーホラーかと思いながら見続けていると、中盤、その映画のプロデューサーに襲われ抵抗した時から、彼女の中で、現実とそのホラー映画の境界があいまいになっていく。
ここから、’80年代のホラー映画のような画面に変わっていく。
彼女が暴力を振るってしまう展開になり、その残酷描写も現在のリアルなものでなく、当時のキッチュさがある特殊メイクで表現。
検閲官自身が、現実世界で残酷な暴力を振るってしまうようになるというメタ構造に。
ご丁寧に、切り裂いた傷口に中に、口があって叫び出す!
彼女の混乱した暴走ぶりと残酷描写が見もの。
’80年代残酷ホラーへのオマージュ、VHSビデオへのこだわり、ビデオレンタル文化への想いが描かれている。
こういう映画だとは思わなかった。
エンディングの「犯罪率が0%になった」という明確すぎるセリフの皮肉は、余りにもはっきりしすぎていて、観ていて気恥しい、
日本でも、残酷な事件があって、レンタルビデオ店の店頭からスプラッター映画やビデオが一掃されたことを思い出した。
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