「もう一度見たくなる!」傷 ayumachiさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度見たくなる!
クリックして本文を読む
不器用な兄弟愛、そして人生の再生を描いた作品。
大切なものを守るため悪事に手を染め、周囲と一線を引き、陽の感情など封印してしまったかのような主人公:仁(兄)の孤独で無骨な人物像が印象的で序盤から興味を引かれます。
コンプライアンス重視の風潮に慣れつつある身としてはドキッとする台詞まわしや過激とも思える薬物描写、暴力シーンに緊張感を煽られつつも、同時にリスクも恐れぬその挑戦的な覚悟に清々しさをも覚えました。暴力団のボス北野の容赦ない狂気は背筋が凍ります。
36分の短編の中に言葉の応酬ではない目で語り表情から伝わってくる兄弟の悲しみ苦しみ怒り希望が詰まっています。彼らが生きてきたバックボーンと待ち受ける未来がどんなものなのか深掘りしたくて妄想力をフルに働かせたくなるのもこの映画が与える余韻の魅力であり短編ならでは!でないかと思いました。
今までの生き方に終止符を打ち再生を決意して一歩また一歩と歩き出す兄と強い眼差しでその後ろ姿を見つめる弟の一連のラストシーンは必見です!
コメントする