「短編なのに厚い映画」傷 ミミィさんの映画レビュー(感想・評価)
短編なのに厚い映画
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観ながら体に力が入ってしまうような作品でした。
手加減のない暴力描写は生々しく、残酷な人間とはそれが残酷なことだと意識せずに飄々とやれてしまう人間のことを言うんだなと実感させられます。
ただそれが不快でなく強いスパイスになっているところがこの作品の癖になるところだと思います。
主演の橋本さんのアクションが本格的で素晴らしいせいもあり、対になる川瀬さんの残酷さのおかげで、よりリアルな関係性を感じられました。
橋本さん演じる仁は劇中と同じように彼に踏みつけられ、弟との板挟みの間で長年苦しんでいたのかと思うと切ないです。
常に機嫌の悪い彼から自分への嫌悪感がひしひしと伝わってきました。
それを思うと、ラストの弟を庇って警察に歩み寄るシーンは彼が解放される光への道だったのかなと思います。
悪い仲間や楓にイラつきを露わにして、弟には黙して何も話さなかった仁が、弟を助けに乗り込み兄としての顔を見せた時、最後抱擁で別れる時は感極まらずにはいられませんでした。
とても苦しい作品だけど、観終わった後は泣き笑いのように微笑める映画だと思います。
土井プロデューサーと寺本監督、そして橋本全一さんの自作にも期待します!
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