「【”時は人を変える。そして盗賊の覚悟と心意気”今作は、真の盗人の姿を見た急ぎ働きをしていた盗人が生まれ語る過程を粋に描いた作品である。】」鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”時は人を変える。そして盗賊の覚悟と心意気”今作は、真の盗人の姿を見た急ぎ働きをしていた盗人が生まれ語る過程を粋に描いた作品である。】
■鬼平に捕縛された急ぎ働きの盗賊・野槌の弥平一味の小房の粂八(和田聰宏)は、かつて自分のお頭だった”犯さず、殺さず、貧しき者から盗まず”の掟を守っていた盗賊・血頭の丹兵衛が残虐な盗みを働いたと知り、それは偽者だと激しく主張する。
粂八は丹兵衛一味が潜伏しているという島田宿に赴きたいと、平蔵に願い出、器の大きい平蔵はそれを聞き入れ、佐嶋忠介(本宮泰風)、あんまり期待できないコミカルな木村忠吾(浅利陽介)、酒井祐助(山田純大)を島田宿周辺に配置し、粂八は丹兵衛をおびき出すのであった。
◆感想
・今作は「でくの十蔵」の続編である。粂八は厳しい取り調べの中、おふじ(藤野涼子)の子を引き取った鬼平の漢気に触れ、江戸で急ぎ働きを行う血頭の丹兵衛は偽物であると主張し、島田宿に出向くが、漸くであった血頭の丹兵衛(古田新太)は、且つての”犯さず、殺さず、貧しき者から盗まず”の掟を守っていた人物とは別人になっていた。
・血頭の丹兵衛は、小房の粂八の盃を交わし、仲間に紹介するが、そこに現れたのは生き延びていた小川や梅吉(波岡一喜)で、小房の粂八を鬼平の犬ではないかと怪しむが、小房の粂八はそこで言い逃れせずに、盃を叩き割り血頭の丹兵衛を激しく罵るのであった。
・そこに、乗り込んだ鬼平たちは血頭の丹兵衛一派を捕らえ、その姿を江戸で、血頭の丹兵衛の且つての”犯さず、殺さず、貧しき者から盗まず”の掟を守り、25両だけ盗み、その後それを返していた蓑火の喜之助(橋爪功)は、かごに入れられ江戸に護送される血頭の丹兵衛の姿を憐れみの目で見るのであった。
<今作は、、真の盗人の姿を見た急ぎ働きをしていた盗人が生まれ語る過程を粋に描いた作品なのである。そして、生まれ変わった小房の粂八は、鬼平の密偵の一人になったのである。>