「2つの側面が良い塩梅で登場」エターナルメモリー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
2つの側面が良い塩梅で登場
今年325本目(合計1,417本目/今月(2024年9月度)11本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
チリのちょっと前(といっても30年以上前)のいわゆる軍事政権に関する民衆の蜂起と、これと関係して現在(「コロナ」という語は出るので、2020年以降)のアルツハイマー型認知症を患った夫を介護する妻の愛のお話。
後者に関しては介護制度等は国によって多々違いますが、暴れたりしない(周りに迷惑をかけないなど)前提で、妻なり夫なりが面倒を見ることはありうるので、ここは違和感がなかったかなといったところです。
一方、チリの軍事政権についてはこれは史実で、当時のニュース報道等も交えて描かれます。これによって投獄された人や、不当な弾圧を受けた人が大勢いたのは事実ですが、このことは高校世界史でも学習せず(現代史にあたるため)、事前に知識があるとよいかなと思います。チリ国内では否定的に取られることが普通ですが、一方で「「当時の」南米の各国を比較すれば、軍事政権であろうがどうであろうが「当時の水準から見れば」国は豊かになった」という前向きな意見も国内にはあるようで(このことを示唆するセリフも出る)、何にせよどんなことであろうと物事には二つ以上の側面がありうるという例になりますね。
ストーリーはほぼ南米スペイン語(一部英語ほか)。字幕で日本語訳がないところがいくつかありますが、概してレベルの高い語句はラテン語語源の単語なので英語の知識があれば推測がつく範囲です。
スペイン映画というと、本国スペインにおけるスペイン内戦を描いた映画や、南米(ブラジル除く。ブラジルはポルトガル語)のこうした軍事政権を描く映画などの類型が一定数ありますが、大半において史実を描いているわけで、特に後者(前者は一応高校世界史の範囲内)については積極的に知ろうとしない限り出てこない事柄であり、こうした点について配慮があった点は良かったです。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアです。