宝島のレビュー・感想・評価
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戦後の沖縄を知るきっかけとして
戦後の米国占領下の沖縄、私も生まれる少し前の時代の物語。 現代ではあまり知らされたり報道されたりすることもなく、勉強になりました。
役者さんの真剣な演技に引き込まれて、セットも良く、見応えがありました。
是非若い人たちにも観て欲しいと思いました。
失踪した理由が意外と それっ? て感じでしたが、その時代を懸命に生きていた人たちの気持ちが少し理解できた気がします。
スクリーンで観て良かったです。
沖縄版ジョーカー
戦後間もない沖縄では、戦果アギヤーと呼ばれる集団がいた。彼らは、米軍基地に侵入し物品を盗み、貧しい日本国民にそれを分け与えていた。その組織のリーダーであるオンと呼ばれる人物が突如姿を消した。組織の人間やオンの周囲の人間は彼を探し求める…。
本作は、2018年に直木賞を受賞した小説を基に作られた作品である。戦果アギヤーというのは実際に存在したらしいが、ストーリーはオリジナルのためフィクション作品になっている。
まず、鑑賞した第一の感想としては、作内の興奮が観客に乗り移ってくるな、というものである。
沖縄という美しい自然と海が存在する場所で、血生臭い抗争が常に起こり続ける。映画から、血と潮の匂いがしてきそうな雰囲気である。
小説が基になっているだけあって、構成もしっかりしている。最後に答え合わせのようなシーンがあるが、分かりやすい説明があるため、観客を置いてけぼりにせず、消化不良にはならない。
本作で最も印象的だったシーンは、グスクが乗り込んだ車両が衝突事故にあったところである。ここからの展開は、まさにジョーカーというほかないだろう。米軍によって圧迫された沖縄民の不満が爆発した瞬間である。
主要登場人物の演技も素晴らしい。妻夫木さんをはじめとして、怒りや悲しみの感情を爆発させるシーンが多い。なぜか鑑賞していて北野武作品が想起された。日焼けした男と海と拳銃がソナチネに変換されたのかもしれない。
史実に関連した俯瞰的に観る映画だと思っていたが、実際は登場人物の主観に焦点を当てた作品であった。喜怒哀楽も美醜もぐちゃぐちゃに混ぜ込んだような出来になっている。現代の安全な日本で微弱なストレスに悩んでいる方は、窓を開けて本作の血と潮の空気を取り入れると活力が湧くかもしれない。
平和だったことは一度もない
敢闘賞をあげたくなるような力作だけど そもそも映画化の企画自体の難度が高過ぎ? でも日本人みんなに観てほしい歴史的大作
2025年の夏から秋への4ヶ月ほどの間に、私は比較的高名な小説を原作とする下記映画3本を、すべて原作小説を読んだことのある状態で鑑賞しました。
-『国宝』: 原作は多くの映画化作品を持つ人気作家 吉田修一の、元々は新聞連載小説だった話題作。
-『遠い山なみの光』: 原作はノーベル文学賞作家 カズオ•イシグロの長篇デビュー作(原題 “A Pale View of Hills”)。もちろん、私が読んでいたのは小野寺健訳の翻訳のほうですが。
-『宝島』: 原作は真藤順丈の第160回直木三十五賞受賞作。
原作小説とそれを基にした映画は別モノで、それぞれがそれぞれの姿で評価されなければならないと思いますが、原作既読者がそれを基にした映画を鑑賞した場合、原作との差違はやはり気になってしまいます。上記のうち『遠いー』に関して言えば、原作小説が文庫本で280ページほどの中篇とも言うべき長さで、内容も「何が書かれているか」よりも「何が書かれていないか」が重要な感じで、映画の作り手側が原作小説をどう読んだかを映画内で表現できれば、普通の長さの尺内で映画化したことの付加価値を示しやすいと思います。
問題は残り2篇で『国宝』は文庫本で上下巻合計で800ページ強、『宝島』は同700ページ強の本格的な長篇で、3時間という劇場公開映画としては長めの尺を使っても収まりきらない素材となっています。ということで『国宝』の李相日監督は映画化にあたって原作のエピソードや登場人物をバッサリと刈り込んで私のような原作ファンを残念がらせつつも、吉沢亮、横浜流星演じる「半半コンビ」の感情の動きを中心に描き、かつ、小説では絶対にできない、歌舞伎の演目を美しく見せるという付加価値を加え、小説とはまた違った魅力を引き出すことに成功しています。ところが『宝島』では物語の構造上、この刈り込みができないのです。小学校への米軍機墜落とかコザ暴動とかの実際の出来事を絡めながら、終戦直後から本土復帰直前のアメリカ統治下の沖縄の姿を描き、物語の中心には消えた戦果アギヤーのカリスマを探し出すことを据えるというこの構造は、原作小説を読む限り、簡単に交通整理ができそうにありません。よって、上記3篇のうち、この『宝島』が内容を考えると原作小説に対する「忠実度」がいちばん高いように思われます。でも、原作既読者の目から見るとダイジェスト版のように感じましたし、原作の持つ空気感とか魅力とかを伝えきれているかという観点からすると、残念ながら、他の2篇ほどではないとも感じています。
で、ここから、身も蓋もない言い方になってしまいます。大友啓史監督の「沖縄」の思いを汲んでの「撮らなければならない」という決意は尊敬に値するのですが、そもそもあの小説を一篇の劇映画にするというのはかなり難度の高いミッションで、この映画の製作陣はそのミッションに成功していないのではないかということです。まあ、これはいろいろな意見があると思いますので、このサイトで皆さんのレビューを読むのが楽しみです。
もうひとつ、キャスティングの件。物語の主要4人、オンちゃん: 永山瑛太、グスク: 妻夫木聡、レイ: 窪田正孝、ヤマコ: 広瀬すず、皆さん、立派な俳優さんですし、この映画の熱演には拍手を送りたいのですが、なんか、それぞれ原作で読んでいたときのイメージから微妙にずれていると感じました。微妙どころではなく、大きな違和感があったのはヤマコの広瀬すずです。戦果アギヤーのカリスマの恋人で後に小学校教師となり、沖縄の本土復帰運動の先頭に立つ闘士、イメージとしては長身で色浅黒く、長い髪で瞳がキラキラした野生的な女性をイメージしていました。別に広瀬すずが嫌いというわけではなく、私は『遠い山なみの光』の悦子を演じた広瀬すずはとても評価しています。まあ、ぶっちゃけ言ってしまえば、『遠い山なみの光』の悦子と『宝島』のヤマコ、この対照的なキャラクターをひとりの女優でまかなっていいの? そんなにも日本映画界は人材不足なの? 要は客が呼べるキャストが欲しかっただけでしょ? 映画はキャストの人気なんかじゃなく中身で勝負しなきゃ、ということなんですけど。あと、戦果アギヤーの男性3人も好演ではありますが、戦災孤児から戦果アギヤーになった飢えた魂を持つ若者たちにしては、みんないい男過ぎ(笑)。そんな冗談はさておき、4人のうち、最低ひとり、できればふたり、ウチナンチュ、すなわち、沖縄ネイティブの俳優を入れてほしかったです。
ということで、戦後の沖縄の歩みや現状を考えると日本人みんなに観てほしい映画と言えると思いますが、現時点での私個人の評価はそんなに高くなく、実はエンドロールが流れるのを見ながら、これだったら、小説だけでもよかったかな、と思っていました(小説のほうは好きなんですけどね)。でも、冒頭に挙げた3作品は時とともに評価が移ろいゆく可能性がありますので、それも楽しみです。
私は沖縄史を読まなければならない
やっと日本でもこういった作品が
戦後から本土復帰前までの期間の沖縄を舞台に、精一杯生きる若者たちのそれぞれ道を当時の社会情勢と絡めて描き出す。
韓国映画ではこういった作品が多いけれど日本ではなかなか無かった気がする。
本土のものが忘れがちな沖縄の歴史を、真正面からちゃんと知らねばならない。そう思わせるものだった。
子供達が殺され、女たちは凌辱され、聖地は踏み荒らされて、それでも訴える先もない。耐えに耐えてついに臨界点を超えたのがコザ騒動だった。
そこまでの島民の悔しさを想像するに暴動の場面も胸が苦しくてたまらない。
それでも主要3人か闇に落ち切らずにいられたのは、未来の夢を語った彼らのヒーローがいたからだ。
どうして宝島なのだろうとも思っていたが、島ぬ宝との表札に、ああ、と腑に落ちた。おんちゃんも、暴動も、みな宝を守りたいからだ。宝には未来がある。
ところで主要メンバーの話す沖縄の言葉は、きっと聞き取りやすいように標準語ナイズされているのだろうけれど、それでもかなり聞き取りにくい箇所があった。御嶽も何の説明も出てこない。私は沖縄旅行した際に少しだけ勉強したのでわかるところもあったけれど、もう少し、簡潔な字幕での説明があれば、もっとわかりやすいのにと少し残念な点だった。
熱量がしっかり心に残る映画
すばらしい映画でした。
3時間はまったく長く感じず、もっともっとそれぞれの人生を観たいと感じるくらいでした。
沖縄に起きたことを、文字面で歴史知識としてしか理解できていなかったこと、ひとりひとりの人間の歴史であることを認識させてもらいました。
俳優の演技、演出すべての熱量がとにかくすごく、ここまでの熱量を映画に込められることに驚きました。その熱量が鑑賞後もしっかり心に残るいい映画です。映画ってすごいですね。
戦後の沖縄の痛みと誇り
傑作。これは本当に映画なのか。戦後の沖縄に没入し、心が震えた。ウチナンチュの血に今も流れる魂の記憶。妻夫木聡も瑛太も広瀬すずもみんなウチナンチュの魂を宿していた。沖縄は子宝の島。子宝島。今を生きるウチナンチュの母として我が子を守り、愛し、大切に育てていきたい。この映画がたくさんの人に届きますように。
熱量は感じて受け取りました。
昨日TOHO渋谷で鑑賞しました。
ここからネタバレします。
1年前に原作は諸事情にて流し読みラストが⁉️
でした。
確かにスクリーンから熱量はしっかりと感じて受け取りました。
テーマは沖縄県のアメリカ軍の基地問題だと思います。
それと絡まるアメリカ軍の嘉手納基地から物資を奪う沖縄の地元の組織のリーダーオンが消息たち、仲間グスク、ヤマコ、レイ達がそれぞれ追跡するストーリーです。
ラストが中々難しいかと思いました?
(*^▽^*)🤔😅🥹😃
今回はなんと言ってもラスト嘉手納基地?
でグスクとレイの迫真の演技とセリフが良かったです。👍
この映画の関係者様お疲れ様です。
ありがとございました。
♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
お勉強にはなった
公開直後から賛否両論渦巻く本作。それでも映画好きとしては見ないわけに行かず、良い意味で期待値を上げずに劇場で鑑賞した。
熱い・凄い・激しい作品であるのは間違いない。
歴史の教材として優れている。
ただ「また見たい!」とは思えなかった。
主人公にも脇役にもなぜか感情移入できない。
時々よく分からないシーンがある。
だからテンポが悪く感じる。
登場人物一人一人の歴史が重すぎて、ストーリーの焦点が定まらない。スポーツに例えるなら、選手層が厚すぎて面白さを失う感じか。
しかもクライマックスで更に特大エビソードが持ち上がってくる。私は正直混乱した。
ただ、役者さんが皆、素晴らしかったことは書いておきたい。
特に広瀬すずちゃん。同世代で図抜けて映画に出続けている理由が良く分かった。
観てると胸が締め付けられる
「武器持たなきゃだーれも話聞いてくれん!」「これが平和?平和な時なんて一秒も無かった!」など胸に刺さる台詞多数。レイの荒唐無稽な野望?の告白も、そんな未来を口にしなきゃやってらんねえよという想いの現れなのかと思うととても辛いシーン。沖縄を首都にするというのは捨て石にされた故郷への悲しみと首都にすれば捨て石にしたりしないだろという考えと解釈してこれまた辛くなった。
ただ冒頭は沖縄弁が上手く聞き取れず雰囲気で観ていた。またおんちゃんが生きているというミスリードと自分の読解力の無さ故、最後のレイをずっとおんちゃんと勘違いしながら観ていた……。
原作で確認したくなる
それでもやっぱり本作はヒットして欲しい
日本映画としては破格の25億円の製作費を費やしたと言う事が話題の作品ですが、何より注目すべきは、敗戦直後から1970年のコザ暴動までの沖縄の現代史を正面から捉えた物語であるという点です。近年の大手映画会社が触れようとしなかったテーマです。
う~ん、これは感想を記すのが難しい作品でした。原作を削って圧縮しているなと言う事が観ている者に分かるし、過去の回想シーンに度々戻る事が物語の推進力を弱めていると感じられる事も度々あります。しかし、制作者と俳優さんがこの映画にぶち込んだ熱量が凄まじい事はよく伝わりました。熱量があるから良いという訳ではありませんが、僕はやはり本作には成功して欲しいのです。
このテーマでこれだけお金を投じた映画がコケてしまうと、「沖縄の小難しい映画なんてやっぱり当たらないんだ」という失敗体験が映画関係者の方々の共通認識となり、この様な作品の企画が今後取り上げられる事がなくなるだろうと思うからです。それは映画自身の質とは何ら関係の無い事ですが、気になります。しかし、各映画館での上映回数の変遷を見ていると、制作費の回収にも遠く及ばない結果の様です。ダメなのかなぁ。
期待以上だった
心の奥底に「ズドン」と触れる
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