「艱難辛苦の沖縄」宝島 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
艱難辛苦の沖縄
戦後の沖縄が舞台。
俺には対岸の火事だった沖縄の実情が語られる。
生まれる前の話ではあってもたかだか60年程前の話しだ。
故郷を占領された若者館
日本に見放された若者達
そんな人々が描かれる。
何をやっても何をしてても、その柵から解放される事はなく…米兵に殺されても犯されても、彼等を糾弾する事は出来ない。何をされても泣き寝入りを強いられる。
同じ人間なのに。
法治国家のはずなのに。
平然と特権階級が存在する世界。
「戦後からこっち平和であった事などない」
…とてつもなく理不尽な時代を沖縄の人々は生き抜いてきたんだなと思う。
本国の犠牲にされたと言われても仕方がないような状況が10年以上は続く。
漏れ聞こえてくる話はある。
けれど、ここまでダイレクトに描かれた事は無いようにも思う。
壮絶だった。残酷な描写があるわけじゃない。台詞の端々に引っかかる当時の感情や情景がそう思わせる。
方言を操る俳優陣は熱演だった。
今は…当時の沖縄程、表面化してないだけなんじゃないのかと思う。日本全体が抑圧されてるような空気感がある。
しかも、日本人によって。
政治家が罪を犯しても罰せられないし、政治家が決めたルールによって僕らの生活は圧迫されていく。
妻夫木氏は叫ぶ
「そんなもん最早、人間じゃなかっ!」
窪田氏は応える
「それこそが人間だ!」
…本当に。
どちらの主張も間違ってないと思う。
とちらの主張を聞いても悲しくなる。
平和や平等って単語はあっても、実現などされないのだなと思う。そんな絶望の中を生きねばならない。
後半はなんか駆け足だったようにも思う。
3時間を超える大作だから、俺の集中力のせいかもしれないが。前に進まない物語のせいかもしれんが。
そして、帰結が分からなかった。
高官の子供だったから何だというのだろうか?そんな境遇の子供は山程いただろうし、その事で高官が罪に問われる事もない。
澱みに澱んだ物語だからピリオドを付けるのも難しいのかもしれないけれど。
沖縄の話ではあったけど、沖縄だけでは収まらない話だった。
U-3153さま
共感ありがとうございます🙂
『宝島』の公開前に、「最近の戦争映画は、“悲しみ”はあっても“怒り”を描かない」という話を聞きました。
沖縄の方言・感情の熱量・映画の長尺は、ウチナンチュとヤマトンチュ=沖縄と私達の間にある、いつまでも超えられない“心のフェンス”を象徴しているのかな、と思いました。
WOWOWのドラマ「フェンス」では、復帰50年の2022年の沖縄に、国・性別・出自・職業などから、複雑な対立・差別・加害・被害があることも知りました。
『宝島』のグスクの10年、20年後には…という希望は、55年経った現在も「希望」のままです。
帰結のウタの父親ですが、沖縄の米軍統治の“トップ”という設定だったため、小説でも映画でもはっきりと描くことはできなかったと聞きました🤔
U-3153さん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
『 今も似たような状況じゃないのか? 』、そう思いたくはないですが、実態としてはそうなんですよね。沖縄に我慢して貰っている状況は、今も変わらない。
それでいいとは恐らく誰一人思ってはいない。代替え案がないので、有事に起きてしまうであろう事を想像しないように、想定しないようにしている。
そんな私達でいいのか、を問われる作品でした。
U-3153さん
様々な叫びが重くのしかかってくる作品でしたね。
力でねじ伏せる、世界情勢も良くない方向へと流れを変えてきていますよね。
沖縄だけではない、あなたは人としてどう生きているのか、そう問われているような、深く強いメッセージを感じました。
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