「分からないなら調べよ! 追記」宝島 ふくすけさんの映画レビュー(感想・評価)
分からないなら調べよ! 追記
①基地を窃盗していた若者グループがあった
②県民による大規模な暴動があった
(コザ暴動)
③小学校に飛行機が墜落した
④悪石島(口之島)での武器密輸団かあった。…戦後空爆されたことはネットでは確認できなかった。
①〜④まで、この映画での描写はほぼ全て史実であるようだ。
ただ、これらの背景をきちんと説明しつつ、観客に何が起きたのかを納得させるのは、3時間の映画では無理があったと思わざるを得ない。
10回シリーズのドキュメンタリーのようなメディアか、あるいはやはり小説の仕事なのだろう。
しかし、それでも私はこの映画はもっと高く評価されるべきだと考える。
この映画は説明不足であるとは多くのレビューで指摘されている。
その通りだと思う。
①〜④までのどれかに絞って、残りは捨象して丁寧に描くというやり方もあったかもしれない。
しかし、製作者には、それは忍び難きものだった。
確かに説明不足だ、わからなければ、自分で調べよ!
なのだろう。
グスク(妻夫木聡)の「こづかいさえ与えておけば何をしてもよいというのか」的なセリフは重い。
占領した側はその理屈をよく使う。
私たちも使ってきた。
この映画で示されたのは、沖縄が蹂躙されてきた事実の開示とルサンチマンの巨大さだ。
それには成功しているとおもう。
この映画は私たちが見たくないもので満ちている。
なるほど流行らないであろう。
だからこその必見の映画だと思う。
追記
例えば、レイ(窪田正孝)は逮捕されない。
悪石島に戦後、犯罪者に対してとはいえ、民間人に対して空爆がなされる。
説明が欲しいというわけだ。
確かに見ていてモヤモヤする。
しかし、このモヤモヤこそ、この映画の重要なテーマであるように思える。
あなたたちはこれを知らないであろう!
私たちもこれを知らされていないのだ!
という叫び。
「宝島」は膨大な事実と時間と心情にあふれ、それらの総体が消化しきれないこと、そこに価値を見いだすべき映画である。
オンは何を象徴しているのか?
グスクやヤマコがどうしても、まだ生きているはずだと執着するもの。
アメリカや日本政府が、沖縄に潜伏し、反米の核となって反旗を翻すものとして恐れているもの。
それが表立って見えてこない恐れと期待。
そして
最後の宝として示される、アメリカ兵(白人の高官らしいが誰かはクリアにはされない)と日本人女性との間に生まれたウータ。
ウータが自分の命よりも優先した、最後に知らせたかったオンの死という現実。
そして、オンの死がウータの最後まで開示されなかったことの意味。
沖縄の悲惨な事件が「宝島」の織りなす布の横糸であり、オンとウータは細い細い縦糸のように私には思えます。
オンとウータのあり方は、確かに整合性がとれない、説明不足の点が多々あるように感じます。
ただ、そのなんだかよく分からないそのモヤモヤこそ、この映画の核のようにも感じます。
オンとウータは失われてしまった。
その意味を考えよとこの映画は問いかけているように思えます。
ノーキッキングさま
コメントありがとうございます。
沖縄は実は私たちなのだ、という視点
と
私たちは実は沖縄にとってアメリカなのだ、という視点
双方があるように感じました。
ふくすけさま
共感とコメント、ありがとうございます🙂
私自身はレビューで「情報提供」をしているつもりはなく、ムダに長いレビューで、その作品への「愛情表現」をしています。
なのでコメントの「感動した。」という最後の一言に、感激しました🫡
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