劇場公開日 2025年9月19日

「分からないなら調べよ! 追記」宝島 ふくすけさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 分からないなら調べよ! 追記

2025年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

①基地を窃盗していた若者グループがあった
②県民による大規模な暴動があった
(コザ暴動)
③小学校に飛行機が墜落した
④悪石島(口之島)での武器密輸団かあった。…戦後空爆されたことはネットでは確認できなかった。

①〜④まで、この映画での描写はほぼ全て史実であるようだ。

ただ、これらの背景をきちんと説明しつつ、観客に何が起きたのかを納得させるのは、3時間の映画では無理があったと思わざるを得ない。

10回シリーズのドキュメンタリーのようなメディアか、あるいはやはり小説の仕事なのだろう。

しかし、それでも私はこの映画はもっと高く評価されるべきだと考える。

この映画は説明不足であるとは多くのレビューで指摘されている。

その通りだと思う。

①〜④までのどれかに絞って、残りは捨象して丁寧に描くというやり方もあったかもしれない。

しかし、製作者には、それは忍び難きものだった。

確かに説明不足だ、わからなければ、自分で調べよ!

なのだろう。

グスク(妻夫木聡)の「こづかいさえ与えておけば何をしてもよいというのか」的なセリフは重い。

占領した側はその理屈をよく使う。

私たちも使ってきた。

この映画で示されたのは、沖縄が蹂躙されてきた事実の開示とルサンチマンの巨大さだ。

それには成功しているとおもう。

この映画は私たちが見たくないもので満ちている。

なるほど流行らないであろう。

だからこその必見の映画だと思う。

追記

例えば、レイ(窪田正孝)は逮捕されない。
悪石島に戦後、犯罪者に対してとはいえ、民間人に対して空爆がなされる。

説明が欲しいというわけだ。

確かに見ていてモヤモヤする。

しかし、このモヤモヤこそ、この映画の重要なテーマであるように思える。

あなたたちはこれを知らないであろう!
私たちもこれを知らされていないのだ!

という叫び。

「宝島」は膨大な事実と時間と心情にあふれ、それらの総体が消化しきれないこと、そこに価値を見いだすべき映画である。

ふくすけ
ぽるなれふさんのコメント
2025年10月11日

プロパガンダ映画を作るなら、聴衆を煽動して感情を刺激して「米軍は出ていけ!沖縄独立だ」と誘導しなければいけない。

ぽるなれふ
ふくすけさんのコメント
2025年10月10日

オンは何を象徴しているのか?

グスクやヤマコがどうしても、まだ生きているはずだと執着するもの。

アメリカや日本政府が、沖縄に潜伏し、反米の核となって反旗を翻すものとして恐れているもの。

それが表立って見えてこない恐れと期待。

そして

最後の宝として示される、アメリカ兵(白人の高官らしいが誰かはクリアにはされない)と日本人女性との間に生まれたウータ。

ウータが自分の命よりも優先した、最後に知らせたかったオンの死という現実。

そして、オンの死がウータの最後まで開示されなかったことの意味。

沖縄の悲惨な事件が「宝島」の織りなす布の横糸であり、オンとウータは細い細い縦糸のように私には思えます。

オンとウータのあり方は、確かに整合性がとれない、説明不足の点が多々あるように感じます。

ただ、そのなんだかよく分からないそのモヤモヤこそ、この映画の核のようにも感じます。

オンとウータは失われてしまった。

その意味を考えよとこの映画は問いかけているように思えます。

ふくすけ
ふくすけさんのコメント
2025年10月7日

ノーキッキングさま

コメントありがとうございます。

沖縄は実は私たちなのだ、という視点



私たちは実は沖縄にとってアメリカなのだ、という視点

双方があるように感じました。

ふくすけ
ノーキッキングさんのコメント
2025年10月7日

共感ありがとうございました。
地位協定では全国何処にでも米軍基地建設が可能であり、上空は米軍機が最優先、我々は目くらましにあっているに過ぎない。

ノーキッキング
ひなさんのコメント
2025年10月7日

ふくすけさま
共感とコメント、ありがとうございます🙂

私自身はレビューで「情報提供」をしているつもりはなく、ムダに長いレビューで、その作品への「愛情表現」をしています。

なのでコメントの「感動した。」という最後の一言に、感激しました🫡

ひな
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。