「アメリカは日本から出ていけ!!」宝島 ひろしさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカは日本から出ていけ!!
広瀬すずは最近も長崎原爆に関わる映画に出ていて、ここは祖国復帰運動にかなり頑張る女性教師として「アメリカは出ていて!」と集会で声を上げています。私の好きなこの「排外主義」のスローガンもデモのプラカードの中では少な目でしたが、ちゃんと出ていて彼女も吹っ切ったかと思いました。特に窪田のふんする武装闘争派に「力で押し通そうとするのアメリカと一緒じゃないね」との言葉は刺さってきます。「力で何でも押し通そうとするのがアメリカ」ということを意味していると同時に暴力で闘ってはいけないとのメッセージも込められています。が、主人公の妻夫木はコザ暴動を止めようとはせず笑ってしまいます。ここまで抑圧されれば暴動に走る島民の気持ちに共感するのが先となりますから・・・。
この映画は今日が封切りで私はその冒頭で観たこととなりますが、こんな大作であるにも関わらず観客は非常に少なかったです。相当のお金もつぎ込まれている映画でもあり、これはいつもと違って皆さんには何が何でも観ていただかねばならない映画となっています。アメリカのひどさとともに日本本土の回し者たちのひどさもが描かれていますので、これを見るのは「抑圧民族としてのヤマトンチューの責任」というものです。永山は劇中で武装闘争をする窪田に向かって「こんなひどいことはずっと続くはずがない」と言っていますが、それを語ってから半世紀以上が過ぎ、「こんなひどいこと」が実際続いています。やはりヤマトンチューにはこれを観て自民族が何をし続けているかをまずは知らなければなりません。大物が出てくる映画ながら沖縄出身の俳優たちがひとりもいないというのも実は本土人の責任でしょう。彼ら彼女らか出演しにくい状況を本土人が作っているということです。その意味でもここで出演した役者たちの決意は買わなければならないと思いました。
