「エンタテインメントの中で戦後沖縄を真正面から描いていて、敬意を覚えた」宝島 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタテインメントの中で戦後沖縄を真正面から描いていて、敬意を覚えた
大友啓史監督による2025年製作(191分/PG12)日本映画。配給:東映、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、劇場公開日:2025年9月19日。
太平洋戦争での沖縄戦や本土民の差別意識も含めて、自分は沖縄には多いに感心があるところ大だが、報道も少なく知らないことも多い。実際1970年12月に起きたゴザ暴動も全く知らないでおり、約4000人による米軍車両の焼き討ちという驚くべきこと、それを映画でど迫力の映像エンタテイメントとして再現して見せてくれたことに、大きな感動を覚えた。
米軍は沖縄の敵だという一方的な見立てではなく、経済的に沖縄人に大切な存在という考えの人たちも多数存在すること、或いは米軍内での米軍兵士の風紀の乱れを問題視している者たちの存在など、複雑な状況をそのままリアルに見せてくれたのも、大変に素晴らしいと思えた。
主人公グスクの妻夫木聡による、ヒーローらしくはないが親友オンの痕跡をしぶとく追いかけるというキャラクター表現は、とても良かった。オンのかつての恋人であり反米軍運動も行う教師となるヤマコを演じた広瀬すずも、とても良かった。ただ、若者のヒーローだったオンの永山瑛太による造形は、通り一遍のタフガイ的でつまらないと思えてしまった。
そして、大きな謎とされたオンが基地から持ち出した“何か”が、最後の方で明らかとなるが、何だそうかという感じで、スカッとしたソリューションになってない点が、この映画の残念なところか。原作もそうであったらしいが、米軍のお偉方の赤ちゃんというだけで、具体的に誰の子か不明のままなのが、映画としていけてないと思えてしまった。
とは言え、1959年の宮森小学校ジェット機墜落事故(死者17人(小学生11人、一般住民6人)、重軽傷者210 人)も、ヤマコ勤務の学校の事故として映画の中で描かれ、戦後沖縄の歴史的イベントを、巧みに映画の中に入れ込んでいたのには、ハリウッドの大作映画の様で、大きな感銘を受けた。
監督大友啓史、原作真藤順丈、脚本高田亮 大友啓史 大浦光太、製作中村光孝 角田真敏 門屋大輔 吉村文雄 森正文 ルーシー・Y・キム 植田泰生 藤原寛 出來由紀子 津田真希子 上原直樹 中村一彦 武富和彦 野島正也 久保浩章 長濱弘真 永堀真、企画五十嵐真志、プロデュース五十嵐真志、エグゼクティブプロデューサー石黒研三 佐倉寛二郎 ルーシー・Y・キム、プロデューサー野村敏哉 角田朝雄 福島聡司、ラインプロデューサー村松大輔、撮影相馬大輔、照明
永田ひでのり、録音湯脇房雄、美術花谷秀文、装飾渡辺大智 島村篤史、衣装デザイン宮本まさ江、ヘアメイクディレクター酒井啓介、編集早野亮、音楽佐藤直紀、VFXスーパーバイザー小坂一順、音楽プロデューサー津島玄一、スーパーバイジングサウンドエディター勝俣まさとし、ミュージックエディター石井和之、監督補田中諭、スケジュール桜井智弘、助監督
村上秀晃 佐和田惠、スクリプター佐山優佳、キャスティング川村恵 梓菜穂子 飯田美保、沖縄アドバイザー、今科子特機、奥田悟、スタントコーディネーター吉田浩之、スチール菊池修、製作担当大田康一 菱川直樹。
出演
グスク妻夫木聡、ヤマコ広瀬すず、レイ窪田正孝、オン永山瑛太、徳尚塚本晋也、小松中村蒼、チバナ瀧内公美、ウタ栄莉弥、タイラ尚玄、喜舎場ピエール瀧、ダニー岸木幡竜、謝花ジョー奥野瑛太、辺土名村田秀亮、アーヴィン・マーシャルデリック・ドーパー。
共感&コメントありがとうございます。
アメリカと沖縄の間に生まれた宝って事だったんですかね。悪意のある言い方をすれば宝は沢山生まれたでしょうね、望まないのに。

