「尿意との戦いが記憶に残った」宝島 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
尿意との戦いが記憶に残った
クライマックスがコザ暴動(1970/昭和45年)なんだろうなーと予想して観ていて、果たしてそうで、「光州事件」や民主化直前の政変を描いたいくつかの韓国映画を思い出しました。
あの辺の作品に刺激を受けて作られたのかもしれないと思うくらい、印象が似ていました。
映画賞を狙うにはいい感じの文芸系に振った印象が強く、エンタメ性は薄い。
失踪のミステリー要素が少しあるだけ。
右や左に偏らず、日本本土もアメリカも、沖縄の人間たちを利用だけして実質見下し、見放して人間扱いしてこなかったことによる悲しみの連鎖を描く、という趣旨はわかる。
わかるがしかし、登場人物たちが現実と同じく「わかり合おう」という努力を誰もせずに勝手なそれぞれの「正義」「平和」を求めることしかしないから、一時的感情爆発な衝動事件が散発的に発生するだけ。
長い小説をこれでも短くまとめたとは思うが、事象の発生した西暦がテロップで出る程度で、区切りが分かりにくく、脚本&演出的に平板。
3時間を超える中で、3〜4章に分けてわかりやすく1章ごとにそれぞれ落ちをつけるなどの緩急の工夫がほしかった。
もしくは、1エピソードくらい省略して、2時間半くらいにまとめてもらわないと、観る側の集中力持続がもたず、尿意との戦いしか記憶に残らない。
一番辛かったのは、沖縄の方言だらけで聞き取りにくいセリフが、複数の人間が被せ合う演出で、全く何言ってんのかわからないところが多発してたこと。
『るろ剣』大友監督のはずだが、原田眞人監督かなこれ?とネットで確認したくなることがしばしば。
字幕上映で観たかった。
ただ、沖縄が今意固地になって、政府のいうことにNOを突きつけることが多い原因となっている基である、「怒りの歴史」を知るのには役立ちますし、また民衆から自然にテロや暴動が発生するケースの原因についても気づかせてくれます。
・飢え(酷税や収入格差含む)
・法治なき混沌とした状況
・理不尽な抑圧、弾圧
によって、民衆の不満が爆発するのが大半なのだよなと。
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