「アメリカ占領期の沖縄を描いた力作ですが……」宝島 よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ占領期の沖縄を描いた力作ですが……
戦後の沖縄史を民衆の側から捉えた作品をビッグバジェットの映画として製作されたことはすごいことだと思います。その意味で多くの人に見て欲しい作品でしたが、残念ながら一本の映画としては満足のいく出来栄えではなかったです。
3時間超の長尺でありながら、描くべき主要登場人物やそれに絡むサブキャラクターが多く、エピソードも多彩であるため、それぞれの印象が薄いというのが全体の感想。
物語を引っ張るべき、オンちゃんの英雄っぷりが今一つ理解できないため、残された3人がなぜそれほどまでに彼を探し、待ち焦がれるのかも、ややピンとこないのです。映画内の時間経過とともに、いくつもの伏線のようなものが描写されますが、中途半端に回収されていくだけで、物語が奇麗に収まる気配を見せません。
コザ暴動も丁寧に描こうと思ったのでしょうが、スケールの大きさや絵的な派手さはあったものの、物語の本筋とは微妙にずれているため、民衆の怒りの表出が途中でブツっと切られて、主要キャラたちによるラストの展開になるのですが……、ここから「え? 何その茶番?」「そんな結末になるの?」「それはあり得ないだろ!」という、最後の最後でツッコミどころと落胆が凝縮された数十分間に……。
序盤こそ面白く見れましたが、中盤やや退屈になり、トンデモ展開のラストで終わってしまい、力作ではあるのでしょうが、鑑賞後に満足感はありませんでした。
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