「邦画は大作慣れできていない」宝島 奏さんの映画レビュー(感想・評価)
邦画は大作慣れできていない
制作費25億円という邦画では破格の予算規模で3時間越えという超大作なのでかなり期待して初日に観てきました。
率直に言うと、期待を越えるどころか肌に合わない作品でした。
どこかのレビューでは、オープニングシーンにて登場人物の歯が汚くて服がボロボロでリアルさを感じ、掴みからこの作品への安心感を感じすぐ没入できた…と言っている人がいたが、自分はその見せ方が過剰で演劇のような演出に見えて逆に入り込めなかったポイントでした。(終盤のあるシーンでスローモーションになるのですが、今どきこんな古い演出するの!?って心の中でツッコんでしまいました…)
物語としては、50年代から60年代後半頃までの沖縄の歴史を背景に、主要人物たちから姿を消したキーとなる人物を探し求めるドラマが描かれていく訳ですが、その人物を長年探し求める動機がイマイチ弱く感じ、終始登場人物の熱量ある演技を冷静に俯瞰している自分がいました。
また、映像面での残念ポイントが多く、かなり予算をかけている割には、よくある民放ドラマを映画化したような感じで、街や風景描写や人物などが、寄りの映像が多く、スケール感の大きさや沖縄の空気感を感じ取ることができませんでした。
総じて痛感したことが、日本はハリウッド作品はおろか、ハリウッド以外の洋画や韓国映画などにも遅れをとっていると思います。
日本の俳優や制作スタッフは民放ドラマが主戦場であり、その規模感やノウハウを映画にスケールアップさせる手法が、良くも悪くも今日の邦画市場の土台になってしまっていると感じます。
最近では、低予算だが個性的で尖ったインディペンデント系邦画が注目されたりする機会が多くなったような気がしますが、限られた予算で面白いものをつくることを美徳とする国民性を感じ、映画産業においてはマイナスに働いていると考えてしまいます。
この邦画市場の硬直的な性質が、海外の大作と比較して映画のポテンシャルやダイナミズムをイマイチ引き出せていない一因になっているのではないかと思いました。
原作の大ファンで、映画化には若干の不安を感じています。国宝は大ヒットしていますが、原作ファンからすると物足りなさも残ります。宝島もそうならなかったらいいのですが、近いうちに劇場で鑑賞しようと思います。
>Marikoさん
韓国は、国が映画を重要な文化財産と考え財政支援しているみたいなので、作り手がやりたい事に必要な予算をしっかりかけて作品を作ることができる土壌があるんだと思います。
>あんちゃんさん
雪風も気になる作品だったのですが思ったより評価微妙でパスしました。逆に綺麗さが目立ってしまったんですね…笑
海外の大作映画は衣装やメイクに違和感ないのに、なぜか邦画の歴史物や時代劇はコスプレっぽく感じてしまいます…
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