「あらゆる近現代の物語は”沖縄”に通じている」宝島 Yokoさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる近現代の物語は”沖縄”に通じている
原作者・真藤順丈は表題のように述べているという。(パンフレットより)
沖縄でどのような悲劇が繰り返されたのか
知ったつもりでいたけれど、それは教科書で教わる内容に過ぎなかったことを
この映画(と原作小説)で思い知らされた。
クライマックスは、ある最終目的を持って基地に潜入するレイ(窪田正孝)と
それを阻止するために追跡するグスク(妻夫木聡)の死闘のシーンである。
究極兵器で武装して闘うしか道はないと言うレイと
非暴力こそが人間を人間たらしめると訴えるグスクの対立は
いま世界を覆っている空気そのものを写し取っているようだった。
妻夫木聡と窪田正孝の魂の底からの演技に震えた。
コザ暴動や宮森小学校への米軍機墜落事故など、圧巻の再現シーンには思わず「これ、セットですよね?」とパンフレットを読み返したほど。素晴らしかった。
惜しいと思ったのは、瀧内公美が演じたチバナである。
原作では、謝花ジョーの情婦という設定だったと思ったが、
本作ではその関係が語られないままで、せっかくのディープな水商売テイストに人物像の裏付けがなく上滑りしてしまったか。謎めいた存在感があっただけに残念。
原作で感動的に描かれる「想定外の戦果」の顛末は、
思いがけない形で明かされていて、これは映像ならではの演出でよかった。
オン(瑛太)の包容力のある無言のまなざしがよき。
ともあれ、戦後80年の節目の年に、本土決戦阻止のために盾となることを運命づけられた沖縄のことを想う映画を公開していただけたことに、改めて感謝したい。
「そろそろ本気で」とエンドロール前に亡きオンちゃんの声が聞こえてくる。
80年もの間、沖縄の人たちの痛みに知らぬふりを決め込んだ日本人のひとりとして
どう立ち上がるべきなのか。考えなくちゃ。
Yokoさま、初めまして🙂
「あらゆる近現代の物語は”沖縄”に通じている」
1回目は試写会、2回目は初日で混んでいて、パンフレットを購入できなかったので、教えていただいてありがとうございます🫡
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