「熱波を放つ命の叙事詩」宝島 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
熱波を放つ命の叙事詩
通常スクリーンで鑑賞。
原作は読了済み。
最初から最後まで、凄まじい熱気を放ち続ける圧巻の191分。俳優陣の演技の持つ熱量が、魂の迸るような強いエネルギーが、スクリーンから溢れ出して来て、心も体も呑まれた。
叙事詩的なストーリーが、あの頃の沖縄の空気感や人々の想いを鮮やかに浮かび上がらせる。沖縄の歴史は、奪われ、犠牲を強いられて来た歴史であると、登場人物たちの叫びが痛切に響く。それは決して過去ではなく今も陸続きの問題であると、観る者を傍観者でいられなくさせる力強さがあった。
当時の空気感を再現したセットのクォリティも妥協が無かったし、その時の温度や湿度まで伝わる。原作の換骨奪胎も絶妙だ。今年度ベスト級の大作であると自信を持って断言する。
[余談]
総じて見れば「原作の換骨奪胎も絶妙だ」と感じたが、端折り過ぎて気になる部分か全く無かったと言えば嘘になる。
例えば、ダニー岸に拷問を受けたグスクが解放されるシーン。原作では命からがら脱出する展開でかなりスリリングだ。
この時の拷問の苛烈さが原因で、グスクはダニー岸へのトラウマを抱え、クライマックスのとある意外な事実へ繋がる。
だが本作ではこの要素がごっそり無くなっていたため、正直がっくり来た。何故、ダニー岸はグスクをあっさり解放したのかの説明も無いため、単に不可解さが残る結果になっている。
sow_miyaさん
コメントありがとうございます。レビューも拝読させていただきました。
ご指摘の点、私も同感です。
原作のテーマが疎かになっているのではないかと云うのも納得です。「英雄」とはいったいなんなのか。とても大事な個所を無くしてしまったのは甚だ残念です。
換骨奪胎の見事さは、アバンタイトルまでのまとめ方や、オンちゃんらの戦果で建てた小学校にヤマコが赴任して、そこに飛行機が落ちるところとか、金門クラブのくだりとか、国吉と徳尚をまとめるとか色々ありましたが、自分には、ウタ関連の端折り方が、どうしても納得できないラストにつながってしまって、残念に思っています。
ひなさん
コメントありがとうございます。
そんなことないです。恐縮です。
観終わった後にパッと浮かんだいくつかのワードを組み合わせてそれっぽくしているだけなので😅
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