アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師のレビュー・感想・評価
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序盤のマッハなストレスに耐え凌げるか
導入、かなりキツい。悪役ラスボスに踏みつけにされ、詐欺師には騙され、コテンパンにされる公務員の主役を観ていて、こちらの胃袋がキリキリしました。
それでも、後でその怨みが晴らされることを願って、最後まで観るしかない。いやさ、最後まで観ずにおくものか。これが、この映画の仕掛けでしょうか。主役との共感が半端なかったです。
ちゃくちゃくと計画進行。蛇の道は蛇、悪者VS悪者の闘いだから、やっぱり不快に感じる人も多いでしょう。それでもサギの手口に舌を巻くほかは無い。計画の個々の段取りが上手すぎる。
そして至る結末。見事な起承転結といっても良いでしょうか。そういうことになるとは判っていても、主役達の不利な状況に絶望するほかは無かったのは、この映画の上手いところなのでしょうか。そうと判るまで主役達のトリックに気づけなかった。伏線も引かれていた偽札の発覚から雪崩れ込むような種明かしは、ルパンもカイジもビックリの大仕掛けだったと思います。
それで、こちらのストレスは晴らせたか。「世の中、こんな悪い連中ばかりなのか」と不安が残ります。主役の公務員がラスボスを殴りつける「本当にやってしまったか」という妄想にビックリするシーンにも共感一杯。それでも、税務署の職員に徹するあたり。やはり、身の上と家族を捨てきれない、凛々しく、強くなったお姿に拍手。
悪人ばかりが活躍する中、映画として「大事なのは家族の絆」という筋を通されていたと思う。この映画の唯一の良心でしょうか。ワインをかけられても愛想笑いをせずにはいられない。でも、自分には単純に怖いから逆らえないかも。家族が居るからとかいうよりも。
それでも世の中に対する不安とストレスは残る。特殊詐欺や闇バイトからの強盗が闊歩し、一般企業でも1円でも儲けることに奔走する。ラストのスタッフロールで流れる主題歌の絞り出すような歌声がとてもマッチしていたと思う。自分も不穏な世の中に対して絶叫したくなる。
自分にとって一番ヤバイのは女性の詐欺師かな。頂き女子とかいうのに本能を刺激されたら超ヤバい。モテ期だと・感じた自分は・既にカモ。御用心、御用心。
「怒りで手を組む詐欺師&公務員 vs 権力者」のハラハラ痛快コンゲーム
公開日直前に飛び込んだ岡田将生結婚というおめでたい報道に、私はライトファンでありながらしばらく目を閉じて横になってしまったのですが、起き上がって観てきました。
それはさておき。
内野聖陽はやっぱり素晴らしい俳優だ。
化けるなあ……少し前に「八犬伝」の北斎役を見たばかりなので、余計にそんな印象だ。公開前にメインビジュアルを初めて見た時は、光石研かな、と思ってしまった。「きのう何食べた?」「春画先生」ちょっと遡って「真田丸」など、毎回全く毛色の違う役柄に見事に馴染んでいる。
今回の熊沢役で見せた演技もまた見事だった。
序盤は卑屈な公務員、橘の非道ぶりや彼が友人の仇であることを知り、感情を抑えた中で怒りを溜めていく様子。作戦の一環でプールバーに潜入した場面での綱渡り感、部下の望月に橘や所長の悪事を見ぬふりする職員たちについて問われた時「生きるためだ」と返すその絞り出すような声と表情。ラストで橘と対峙した時、暴力(の空想)で放出した怒り。
最初は真面目と卑屈一辺倒に見えた熊沢が、犯罪グループと組んででも友人の復讐を果たそうとし、その過程でちょっと生き生きしてきたりする様子など、内野聖陽の表現する感情の機微はその起伏が楽しく、かつリアルだった。
展開自体はケレン味強めだが、熊沢の感情表現の説得力が作品の人間ドラマの部分を支えていたように思う。
小澤征悦の悪役もきちんと憎たらしくて、氷室と熊沢の怒りを引き立てていた。
詐欺師の氷室が橘を陥れようとする動機の根底には、父親の仇討ちがあった。最初から熊沢を巻き込もうとしていたのは、橘をリサーチする過程で熊沢の友人が死に追いやられたことまで知っていて、熊沢の怒りを目覚めさせて利用しようとしたのでは、なんて想像をしたくなる。
氷室が熊沢の家族と囲んだ食卓で、作り話を装って身の上話を口にするシーンが印象的。岡田将生の陰のある佇まいが、言葉の向こうにある本心を語る。2人を連帯させていたのは、胸の奥に燃える橘への怒りだった。まさに ” angry squad “ だ。
身も蓋もないことを言うと、氷室の母親が橘の組織に潜り込んでいたのであれば、熊沢を巻き込まず詐欺師チームだけで橘を地面師詐欺にかけ、手に入れた帳簿を匿名で税務署に渡すことで彼から金と社会的地位を奪うことも出来たように思えるが(所長も邪魔な存在だが、そこも小細工の方法はあるだろう)、それではメッセージ性が弱い。
エンターテインメントのためであることはもちろん、権力を持つ者の理不尽な横暴やそれに対する強い怒りを描くためには、熊沢にモラルの壁を越えさせる必要があった。
ネットフリックスのドラマ「地面師たち」にはまって森功氏のノンフィクションも読んでいたので、地面師詐欺のシーンはスキームの復習をするような気分だった。
偽地主との対面や現地実見のシーンでは、周辺住民に人相の確認をしないの?と思ったが、種明かしされてみれば酒井(神野三鈴)がスパイだったので納得。
橘が現実の積水ハウスより賢かったので笑ってしまった。まあそりゃそうだ。
現金強奪のために床に穴を開けてあれだけの量の偽札とすり替え、その金から脱税分の税金を徴収、というくだりはさすがにファンタジーの域だったが、ルパン三世鑑賞時のノリに切り替えて楽しんだ。
タイトルに「7人の詐欺師」とありつつ6人チームのまま進行していたので、隠し玉の7人目を推理し、その登場を期待しながら見ることになる。
ポスタービジュアルやパンフレット、途中までの展開では望月(川栄李奈)や熊沢の娘が仲間入りの気配を見せる瞬間があったがブラフ。ラストは素直にスカッとした気分になれた。
原作の韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師 38師機動隊」が2016年、上田監督にとっては6年越しの企画で、コロナ前に書いた当初のプロットでは2020年オリンピック開催、それに伴うインバウンドの増加、国内カジノ、といった要素が盛り込まれていたそうだ。
個人的には時事ネタ抑え目の完成版の設定の方が好みかな。
巧みに仕掛けられた詐欺師の戦略
一見、何もつながりなく、ただ詐欺師の氷室に騙されて詐欺の片棒を担がされたように見えた主人公の熊沢だたが、氷室は元々主人公が脱税王に対して恨みを持っていることは調査済みでその関係性を利用しようとして近づいてきていた。
用意周到に張り巡らされた氷室の戦略の下、集合した詐欺師たちは作戦を遂行していく。
しかし、途中何度もピンチになりながらも、氷室たちは巧みにその場を切り抜け窮地を脱する。
後半の山場でも、脱税王にバレて警察に捕まったかと思ったが、実はそれも氷室が企てた芝居だったという展開。
初めは無理のある展開ではと思ったが、ある人物が氷室側だったとネタバレされて、それも合点がいく展開になった。
お金もメンバーの一人が偽札作りに精通しているという伏線をうまく回収し、脱税王から見ごと奪った流れもとても痛快だった。
氷室のバックグラウンドも、あえて全部説明せず、メンバーの一人や獄中にいる人物との関係性もうまく匂わせて見せていた演出もよかった。
さすがは、上田監督と思わさせる、まとまった話の展開には、本当に舌を巻く。
ただ、一点だけ気になったのは、熊沢の自害した同僚との関係性を表すシーンを部下が脱税王の話をしていた当たりから出していてもよかったかと思う。
脱税王からおとがめを受けたあたりから同僚の話が出てきて、なんとなく後付けにも思えてしまったので、その辺はもったいない気がした。
和製オーシャンズ11とも言うべき、最高のエンタメクライム映画
内容については全く知りませんでしたが、評価が高かったので期待しての鑑賞です。
結論としては、期待通りの作品でした。冴えないオジサンがひょんなことから詐欺グループの仲間となり、悪逆の限りを尽くす会社社長に復讐するというジャイアントキリング。登場人物の会話劇も面白く、ストーリーも巧みで、伏線回収も見事な傑作クライム映画でした。雰囲気としてはオーシャンズ11が近い気がします。老若男女問わず楽しめる映画だと思いますので、家族や友人同士で観に行く映画としては最高です。
ただし、不満点が無かったかと言えばウソになります。見え見えの伏線で先の展開が読めてしまう場面も多かったし、前日譚のドラマを聞いたこともないようなマイナーな動画配信サイトで有料公開していたりするのは個人的には不満です。
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真面目な税務署員である熊沢二郎(内野聖陽)は、優秀な部下の望月さくら(川栄李奈)とともに、巨額脱税の疑惑がある大企業社長の橘大和(小沢征悦)の開くパーティーに潜入する。熱血な望月は熊沢が静止するのも聞かず橘に詰め寄ったのだが、それによって二人は橘に目を付けられてしまい、税務署の上層部に根回しされて様々な冷遇を受けることになる。同時期、熊沢は詐欺の被害に遭い大金を騙し取られる事態になった。刑事の友人の協力によって犯人である天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)を捕まえる一歩手前まで迫ったとき、氷室から「見逃してくれたら、橘から金を奪い取る手伝いをしてあげる」と言われ、心が揺れる熊沢だった…。
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冴えないオッサンが様々な悪事を働く巨悪に対して行うジャイアントキリング。オッサンが詐欺師たちとチームを結成し、難易度の高いミッションを遂行していく。他の映画に例えるのは失礼かもしれませんが、『オーシャンズ11』や『キングスマン』のような爽快さやカッコ良さを味わえる映画だったと思います。軽妙な会話劇も面白い作品で、伊坂幸太郎の小説『陽気なギャングが地球を回す』のようなキャラクター同士の掛け合いが楽しいクライムエンタメになっていました。ストーリーも私は結構好みでしたね。物語がどこに進行しているのかが分かりやすく、様々なトラブルが起こってそれを解決する展開が続くため飽きずに最後まで鑑賞することができました。
ただし不満点が無いかと言えばそうではなく、物語の伏線が見え見えで先の展開が予想できてしまうところはちょっと不満でしたね。
例えば、氷室が刑務所にいる父親との面会から帰るシーン。刑務所から出ると、外にはバイクに乗った女性が待っていました。バイクに詳しくない人からすると「白石(森川葵)が迎えに来たのか」と思うかもしれませんが、バイクもヘルメットも序盤に登場した白石のものとは違ったため、私は登場していない詐欺グループのメンバーだということが分かってしまいました。ついでに言えば『7人の詐欺師』というタイトルなのに終盤まで詐欺師が6人しか出てこないことも、未知の1人がいるという論の補強になっていました。
また、詐欺を実行している時、外で待っていた熊沢が望月を連れて橘の手下から逃げるシーン。たまたま通りかかった宅配業者が道を塞いだことで熊沢たちは逃げ切ることができましたが、この宅配業者が明らかに橘の手下たちの行く手を阻む動きをしていたので、「こいつ詐欺師グループの誰かだろ」「体格良いから多分村井(後藤剛範)だろ」と気付くことができました。
上記以外にも分かりやすい伏線が結構多くて、先の展開が読めてしまう場面が結構ありました。「伏線をどれだけ分かりやすく(分かりにくく)するか」っていうのは匙加減が難しいところだと思うので、あくまで伏線回収モノ映画が大好きな私個人の意見にはなりますが、もう少し分かりづらい伏線の方が好みでした。
「伏線が見え見え」という不満点はありましたが、正直本作の面白さと比べればこんな不満点は吹けば飛ぶほど些細なもので、全体的に見れば満足度100点の良作映画だったと思います。上田監督の次回作にも期待しています。
娯楽映画とはこのこと
イケおじ好きの自分にとっては、岡田将生に興味なし!
ただただ、内野聖陽さん目当てのみ!!
という気持ちのみで鑑賞。
最初は冴えないお父さんからスタート。
かっこよさ消せてないけどw
そして、岡田将生の手玉に乗せられ詐欺の片棒を担ぐことに…
それでも内野さんの目的は友人の敵討!!
そんなバカな…という仲間たちと共に仇を打つわけだけど…
監督特有の大ドン返しはおもしろかった。
けど、なんの目的で岡田将生は詐欺してるんだっけ?
置いてきぼりになりながら終わりました。
まぁ、でも惜しかったよね。
Netflixの地面師たちの前に公開できればねぇ。。
地面師詐欺の映画なんて新鮮!!って
気持ちで見れた人は少ないのでは?
あと、最後の最後のなに?
妄想とはいえ
ぐっちゃぐちゃに敵を殴るの何?w
笑いそうになった。
これのせいで星が減りました。
スリル感やサスペンス色があり、面白かったです。
辻褄が合わないところやあり得ないところはあったかもしれませんが、最後のどんでん返しまで爽快で、胸がすく終わり方で良かったです。
内野聖陽さんは直近に観た印象的な役はドラマの「ブラックペアン」でしたが、全く違うキャラで、やはり達者な俳優さんだなと思いました。
そのブラックペアンで共演した神野三鈴さんも全く違う役で、この共演が妙でした。
岡田将生さんはこの手の役が多いですが、上手いです。
(以下、少しネタバレ)
最後のどんでん返しはタイトルと照らして、詐欺師は7人?8人?と考えてしまいました。
ともすると誰かが殺されてしまうような話になるのでは、それは嫌だな、と思っていましたが、(回想を除いて)主要メンバーは誰も死なず、良かったです。
終演後に客席後方から上田監督が入ってこられて、クリスマスプレゼントでサイン入りチラシの配布がありました。サプライズでした。
痛快コン・ゲーム映画! 上田慎一郎はインディーズじゃなくても輝ける監督だった!
『2度目のはなればなれ』を観たついでに、下高井戸シネマで続けて『アングリースクワッド』を観る。
ケイパーものやコン・ゲームものは大好物だというのもあるが、年末に『侍タイムスリッパー』を観て、当然のことながら上田慎一郎を思い出し、彼がビッグ・バジェットを任されて撮った商業映画がどんな仕上がりになったか、純粋に興味が湧いたのだ。
結論からいうと、文句なしに素晴らしかった。
お正月から観られる気楽なケイパーもの/コン・ゲームものとしては、もうサイコーでした。
ちゃんと、お金と、キャストを与えられたら、
すげえきちんとしたエンタメ作れる人だったんだな!!
出来る人だとは思ってたけど、本当に出来る人でした!
とくにいいなと思ったところを箇条書きにて。
以下、完全にネタバレなので、未見の方はくれぐれもお気を付け下さい。
●まずは副題がいいよね。
『オーシャンと11人の仲間(オーシャンズ11)』とか、『テキサスの五人の仲間』といったコン・ゲーム映画の代表作を明確に意識したタイトルだとは思うのだが、実際と「数が微妙に合わない」ところがミソになっている。
要するに、タイトルで「今出てる詐欺師以外にも伏兵がいる」というのを、きちんと最初からオープンにしたうえで「その伏兵が誰か」を考えさせる作りになっているわけだ。
これは、とてもフェアなやり口だと思う。
しかも、その7人目が皆川猿時の刑事だと思わせておいて、そちらは「詐欺師」ではなくてじつは「公務員」のほうで(すなわち「同期の復讐」を目的に詐欺師に加わっている「公務員」が「2人」いる)、真の詐欺師であるところの「7人目」の神野三鈴が、最後にさっそうと登場するあたりが、とてもよい。
●神野三鈴のキャラクターは、物語における「仮想のリアリティ」を支えていて、このあたりの配置は本当によく出来ていると感心した。
まず、最初に岡田くんを迎えに来たバイカーが森川葵だったせいで、その後何度か出てくるバイカーが神野だと観客が気づけないという仕掛けが、気が利いている。
なぜ神野が、長期にわたる敵陣潜入という極端な重責を担っていたのかも、「家族だから」「母親だから」「むしろ彼女こそがこの復讐の主犯だから」と考えれば納得がいく。
そう、これは天才詐欺師の岡田くんがチームを結成して巨悪に挑む話ではなく、無実の罪で入獄した夫の復讐に燃える妻の一大計画を「天才詐欺師の息子が支援」する話なのだ。
また、この漫画チックな現金収奪計画成功のキモは、相手をいかにコントロールできるかに尽きるわけだが、相手の側近に(最も信頼できる)仲間が二重スパイとして潜入していれば、これほど安心な話もない。比較的自信をもって岡田くんが計画を推し進めていた最大の根拠、それが神野=ビッグ・ママの存在だったわけだ。
●森川葵が内野聖陽に引き合わされる掏摸のシーンで、「本当にスレる動きとタイミング」でちゃんと演出していたのは、リアリティがあってよかった。また、あの“ワイルドスピード”森川なら、「本当にできちゃう」感じがあったのも、キャスティングの妙だった気がする(笑)。
●内野聖陽演じる税務署員が、この途方もないコン・ゲームに加担し、のめり込んでいく過程もきわめて自然に描かれている。ごくふつうの、むしろ波風を立てることを良しとしない(僕と似たタイプの)公務員が、相手への怒りを増幅させ、いくつものセーフティを外し、戻ってこれないところまで関わって、やがて「コン・ゲーム自体の魅力」に取りつかれていく流れが、引っかかりなく構成されていて、さすがは上田慎一郎といった感じがした。上田と内野はさんざんキャラクターについて議論を重ねたらしく、そのへんのディスカッションがプラスに出ているのだろう。
●パンフを読んでいると、腕っこきの俳優たちが集められて、上田慎一郎監督のもとで大型のミッションに挑む様子が、まさに作品内での現金奪取計画の推移とダブって見えて仕方がない(上田監督が名の通った俳優たちと一緒に、相応の資金の用意された映画を撮るのはこれが初めてである)。実際この映画のなかで、内野の娘に密談現場を発見されたとき、彼らはこの詐欺計画の現場を「演劇」だ「ワークショップ」だと言い張るのだ。
さらにいうと、制作の経緯や、ベテラン俳優ががっつり噛んできたせいで監督が右往左往するところとか、そのおかげで「熱量の高い」みんな楽しめる「本物の」娯楽映画に仕上がっている点とか、全体に『侍タイムスリッパー』における安田監督と山口・冨家コンビの話ともダブっていて面白い。
●猛烈に悪い奴(ただし若干憎めないところがある)を、詐欺師集団が大がかりなコン・ゲームを仕掛けてやっつける痛快無比な物語という意味では、正統に『スティング』を引き継ぐ構造になっている。ただ細部に関しては、原作にあたる韓国ドラマを観ていないのでなんともいえないが、ビリヤードネタとか、最後の大ネタとか、個人的には『ルパン三世』の香りがすごくする感じがした。
●とくに、最後の大ネタやその後の展開は、良い感じで「漫画チック」で、しかもすっきりと腑に落ちる作りで、とてもうまくいっている。そこに巧い具合に「家族の再生物語」も絡めてあって、きわめて後味の良いエンターテインメントに仕上がっている印象。日本でつくられたケイパー映画、コン・ゲーム映画のなかでも、かなり上位に位置する完成度といえるのではないか。
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もちろん、わからない点や、気になるところもけっこうある。
半分くらいは、僕が何かを見逃しているせいかもしれないけど……。
●税務署員を愚弄するにしても、小澤征悦が内野聖陽に対して、わざわざワインをかけたりして挑発することに(観客のヘイトを集める以外の)なんの利得があるのか、理解に苦しむ部分がある。まして、税務署長のあっせんで会っている席上であんなことやったら「自分と税務署長はグルです」って公然と主張しているようなもので、やはり本人の一文の得にもならない。
●あれだけ「優秀」な詐欺師である岡田くんが、何をしくじって捕まっていたのか?(配信されている前日譚のドラマ版で描かれているのか?) その間、本作で展開される「計画」はどう進行していたのか?(お母さんはすでに先行して潜入していたはず) もしかして、服役まで含めて、すべて母子の計画どおりなのか?
●岡田くんの正体が簡単にばれて、内野聖陽が乗り込んでくるまでが、すべて岡田くんが彼を巻き込むために練った計画の一環だったことはよくわかったが、その場合、岡田くんの顔写真と現住所をさくっと教えてきた皆川猿時演じる刑事は、どういう役回りなのか。もとから岡田くんとグルだったと考えるのが自然な解釈のような? それともこの段階では偶然、出所したばかりだったので「簡単に詐欺犯の現住所がわかった」だけに過ぎなかったのか。
●なぜ共犯者として内野聖陽に的を絞ったのかが、今ひとつよくわからない。税務署での彼の立ち位置や秘めたる復讐心を、岡田くんに教える「スパイ」が税務署にいたということか? あるいはやはり皆川猿時の刑事が最初から岡田くんとグルで、彼なら大丈夫だと太鼓判を押して推挙でもしたのか?
一つ前の項目も含めて、最後のシーンで、刑事がどれくらい最初から関与していたかを見せる回想シーケンスでもあったら、ずいぶんと説得力が増した気がするんだが。
●いきなり新しく仲間に加えた素人(しかも法の番人に属する人種)を、詐欺師仲間たちに紹介してまわって、順番に会わせて犯罪者の面を次々と割っていくなんてこと、実際にあるのだろうか? ふつうは、よほど信頼を勝ち取った相手にしか、自分の犯罪仲間とその特技なんて絶対教えないと思うけど。やっぱりこの時点では内野聖陽を巻き込むことが「絶対のテーマ」になっていたということか。
●わざわざ「完全に素人」の内野聖陽に時間をかけて特訓させてまで、「ビリヤード勝負」にこだわる理由がよくわからない。相手を地面師詐欺に「釣る」のだけが目的なら、もっとローリスクな導入手段がいくらでもありそうな気がするが。
●クローズドの秘密クラブであるプール・バーに全員がスタッフとして潜入しているけど、実現可能性はかなり低いと思う(これがアニメとかなら『ルパン三世』でも変装してよくやってたけどw)。
●いくらリモコンを隠そうが飲み込もうが、本当に「自分はいかさまをされているのではないか」と相手が疑ったのなら、まずは「操作者」ではなく、「ボール」か「台」のほうに行くのが普通だと思うんだけど、そっちをケアする気配がないのはどうなんだろう?
●娘にGPSで尾行されちゃうのは、本当にありそうな話だからいいとして、地下室のドアが開きっぱなしとか、あのネタでホントに娘を騙せるものなのかとか、あのあとどういうフォローをすれば納得させられるのかとか。まあ……あのへんはギャグというか、漫画チックなネタとして半笑いで流すしかないような。実際、観客の「なんか演劇のワークショップみたいだよな」って印象と被ってるし。
カットが変わって、いきなり岡田くんが内野聖陽の家族とテーブル囲んで食事していたのが、本作で一番ゲラゲラ笑えたシーンなので、それでもう十分って気もする(笑)。あのあと、彼がいきなり自分の事情を「匂わせ」始めるのって、内野家の「家族」のナチュラルな感じと幸せな様子に当てられたからなんだろうなあ。結局、彼は自分の人生から奪われてしまった「父性」の代償を内野聖陽に求めていたってことなんだろう。
●地面師詐欺のパートは、Netflixのドラマも観ていないので基本スルーするけど、西園寺家の本物が絶対姿を現さない確固たる理由を、きちんと出しておいたほうが良かったのでは?
●最後の大ネタはうまく決まっていたように思うが、万札でいっぱいの段ボール箱を乗せた台車を使って、小澤征悦の集めた兵隊たちや悪い税務署員たちを足止めしようとするのは、あまりに危険な賭けすぎて(実際、箱がいくつか地面に落ちていて超危ない)、さすがに無理があるような気がする。
●なんとなく流して見ちゃったけど、最後のパトカーとか、警察官とか、全員仕込みってこと? それとも皆川猿時が噛んでいるんだっけ?(運転してたような? よく覚えていないや) あの人数をコン・ゲームのキャストとして噛ませるとなると、実質的にかかわっている人間が多くなりすぎて、計画としてはかなり危なっかしい気がするけど。話の構造として、「ここでしか出てこないうえにその説明がない」というのも、いささかアンフェアな気がする。
― ― ― ―
最後に俳優さんについて。
●俺、人の顔見分けるのがホントに苦手なんだな。
それともいよいよボケてきたのかな?
実はお恥ずかしながら、
最後まで主役が内野聖陽だと気づかずに観てました(笑)。
なんなら、光石研によく似た俳優さんだなあとか思って観てた。
頭のなかに固定された髪型のイメージってこわいわ。
てか、昔から、眼鏡かけたらクラーク・ケントの正体がバレないのって「ありえねーだろ、そんなん、バカじゃないの」とか思ってたけど、ぜんぜん笑えなくなりました……。
●岡田将生くんは、最近では間宮祥太朗くんと並ぶ僕の推しだが、まさに当たり役でした。というか、こういう役やってる岡田くん、よく見るよね。
本物の美形男優たちが、相応にふさわしい役を得て、今後も邦画の世界でますます活躍できることを心から祈りたい。
●このあいだ「格付け」で八重奏の問題外して爆笑を呼んだ小澤征悦。
本当に楽しそうに悪役を生き生きと演じていて、良い俳優さんだなあ、と。
というか、この映画をほぼ「支えている」といってもいいくらい。
彼がちゃんと観客に忌み嫌われつつ、一定の「愛嬌」を振りまいてくれないと、この映画は成立しないから。
最近仕事で知り合ったミリオネアの社長と「表の顔」の雰囲気がマジでそっくりで、ホントよくこういう手合いを研究して役作りしてるなあと感心。
あとはやっぱり、この手の役をやらせると、吹越満は本っ当に巧いね(笑)。
脱税者が蔓延る世の中、詐欺者たちに脱税王と共に私自身も騙され、大いなる爽快感を感じた
上田慎一郎監督による2024年製作(120分/G)日本映画。配給:ナカチカピクチャーズ、JR西日本コミュニケーションズ、劇場公開日:2024年11月22日。
「カメラを止めるな!」は抜群に面白かったが、劇団「PEACE」を主催していた和田亮一氏による原作アイデアが凄く秀逸で上田慎一郎監督の演出力はあまり感じられなかったが、本映画では、岩下悠子との共同脚本も含めて上田監督めちゃ力量あるじゃんと唸らされた。
勿論、痛快な逆転劇である韓国ハン・ジョンフン原作のアイデアがベースとしてとても秀逸である(観客である自分も、詐欺を警察に通報されてしまうことが計画だと気付かず綺麗に騙された)とは思うが、最初の詐欺や謎のオートバイ運転手等、伏線が気持ち良く回収され、俳優たちの演技もお見事と思わされた。
特に次第に標的を騙す演技に開眼していく生真面目な公務員をコミカルさも入れ込んで演じた内野聖陽には、笑わされ感心し驚かされて、拍手喝采。「八犬伝」で演じた偏屈ジジイ北斎もとても良い味を出していたが、コチラの演技は別人の様で、その演技の幅に圧倒された。
熱さをひめた天才的詐欺師を演じた岡田将生も、役柄にピタッリはまっていた印象。「ラストマイル」の平凡なサラリーマン役も含めて、今年は彼の年であった印象さえも。
税務署所長もお金の力でお仲間で大金を脱税していた小澤征悦から、岡田や内野たちが協力して大金をせしめたラストはとてもすっきりとした。ただ、不動産界隈で有名らしい西園寺家の屋敷を岡田ら詐欺師たちがどういう手続きで小澤らに案内できたかは分からずじまい。言わば、脚本の欠陥の様で、その点は残念だった。
加えて、内野と部下の川栄李奈の関係性もとても良かったし、本店栄転を犠牲にした正義感からの彼女の逆転的な対応も、お見事と思わされた。元アイドルらしが、また是非見たい女優さんと思わされた。なお皆川猿時演ずる刑事も悪くなかったが、少し良い奴すぎて、川栄とのバランスも有り、キャラクター設定に少し物足りなさも感じた。
監督上田慎一郎、原作ハン・ジョンフン、脚本上田慎一郎 、岩下悠子、企画プロデュース
伊藤主税エグゼクティブプロデューサー、前野展啓ゼネラルプロデューサー西山剛史、プロデューサー内部健太郎 、門馬直人 、川端基夫ラインプロデューサー坂上也寸志、キャスティング伊藤尚哉、撮影山本周平、照明鳥内宏二、録音西條博介、特機佐川敬一、装飾前屋敷恵介、衣装松本人美、ヘアメイク菅原美和子、VFXスーパーバイザーエドリントン・バナード、カラリスト大西悠斗、編集上田慎一郎、 江橋佑太、音響効果柴崎憲治、音楽鈴木伸宏 伊藤翔磨、主題歌KERENMI 峯田和伸、監督補佐ふくだみゆき、助監督上野貴弘、制作担当石井修之、スクリプター中村愛由美。
出演
熊沢二郎内野聖陽、氷室マコト岡田将生、望月さくら川栄李奈、白石美麗森川葵、村井竜也後藤剛範、丸健太郎上川周作、五十嵐薫鈴木聖奈、五十嵐ルリ子真矢ミキ、八木晋平皆川猿時、酒井恵美子神野三鈴、安西元義吹越満、橘小澤征悦。
スゴイ痛快だけど、やり方は好みじゃない。
時代劇では、仕事人より大岡越前や銭形平次が好き。
小説では、ルパンよりはホームズとポワロが好み。
だから、とっても真面目な主人公の熊沢が、目的のために手段を選ばないところが残念でした。
ただ、それを上回って、この映画を痛快と感じるのは、敵役の橘がホントにやな奴だから。
熊沢にワインぶっかけたり、自尊心を踏みにじったり、観ていた私が怒りで震えるほどの見事なヒール。
橘は、無自覚だろうけど、かわいそうな人だよな。
こういうおバカさんに出会ったら、関わらないのが一番なのですが、熊沢たちはチームを組んで橘と同じ土俵で戦うんですよね。
ラスト、想像で熊沢が橘をボコボコにするシーンがあります。
彼の悔しさの発露かもしれませんが、その暴力性が怖かったです。
熊沢は、奥さんに雑に使われているまじめで優しい人でいて欲しいです。
出演者が皆個性的で味わいがあって、ストーリーは既視感があるものの、ラスト前でハラハラが少し入り、最後は大円団に大満足。
何より、久々に、もうひとりの主人公、氷室役の岡田将生さんがイケメン全開!
眼福ー、こんなストレートにかっこいいの。
司法書士の神野さん(実は氷室の母親)ほどじゃないけど、「重力ピエロ以来のストレートなかっこよさ」に、何回もイケメン♡とつぶやいていました。
上田監督、すっかりメジャーになりましたね。
次回作も楽しみにしています♪
気分爽快
ツッコミどころは、多々ありますが鑑賞後は、気分爽快です。小澤征爾さんの悪役が、はまってます。内野さんのいかにもありがちな税務署職員、岡田将生さんの詐欺師他皆さん適役だと思いました。現実の税務署職員の皆さんも、頑張って頂きたいです。
搾取される国民
ラストはモヤっとするものの面白かった。
どうやらリメイクらしく、韓国がオリジナルなのかな?Netflixで原作と同名の作品があった。
冒頭からガッツリ引き込まれる。
岡田氏と内野さんの好演に尽きると思われる。
税務署の一職員が職務を執行するでいいのかな?巨額の脱税者から追徴課税に成功する話。
その方法が詐欺であり、天才詐欺師の力を借りる。
この詐欺師の背景も味わい深く…さすがは韓国とニンマリしてしまう。
敵役の小澤氏も好演していて、その演出もハマるはリアクションする内野さんもさすがであった。
この手の話しは敵役の好感度が低ければ低い程、爽快感が増すので、序盤の小澤氏はとてもとても腹立たしい。失脚したであろう状態がもっと哀れだと良かったのだけど、その辺は好みなのであろう。
物語的には大逆転だし、気持ちいいどんでん返しも見せてくれる。
時計や母親の存在など、明確には説明しないのも粋だなぁとニヤニヤする。
味方同様、俺も騙されました。
序盤の内野さんと岡田氏のコントラストが見事で…特に岡田氏の聡明な雰囲気なんか絶品だ。おそらくは相乗効果みたいなものがあって、より引き立てられたのであろうけど、監督の手腕も素晴らしいと思われる。
話が話だけに強引だなぁと思う箇所もあるが、物語を追う内に忘れてしまえる。
展開が早いわけではないが、とても魅力的な展開だったのであろう。
詐欺師側の作戦がバレて、警察に捕まってしまい驚く。韓国脚本特有の屋台骨まで崩す破壊に見舞われて、後の展開を見失なう感じ。
終わってみれば予想通りなのだけれど、流れを急激に堰き止められた時のドギマギ感は毎度格別なのだ。
ちゃんと種明かしもしてくれるし、その種明かしがなかなかに趣き深い。
思わず「くぅぅぅぅ〜っ」と唸ってしまう。
モヤっとするのはラストの落としどころだ。
10億の追徴金が納付されたと告げる。
余罪云々の註釈はあったものの、熊沢の今後はどうなるのだろうか?
劇中ではハッピーエンドになっていたけど、身元も割れ、公務員である熊沢にはその後のリスクが大き過ぎるのではないかと思われる。
橘的には丸裸にされ、落ちぶれていくのだろうとは思うけど、警察署長とは昵懇だし、裏社会とのコネもあるだろう。金の切れ目が縁の切れ目って事なのだろうか?
税務署の署長も在職し続けるっぽく、この辺は国税庁に栄転する望月が目を光らせてるって事になるのかな?この成果をもって国税局に抜擢なんて事になっていればこんな感想は抱かなかったのだろうけど、なんかラストの大団円の詰めが甘いようにも思う。
とは言え、詐欺に加担した主人公なので、手放しのハッピーエンドにせず、エグ味を残した結末にしたのかなぁとも感じる。
役者陣は皆様、好演で…
吹越さんのヌルッとした滑り感も、川栄さんの実直さも好感触だった。特に好きなのは神野さんで…ヘルメットを脱いだ時の屈託のなさと、咥えるタバコに曲者感が漂いまくる。なんだろ、ピンポイントを逃さない嗅覚があると言うか、キャスティングした意図を外さない安心感のようなものを感じる。
ああ「大いなる不在」にも出てらしたなあ。
あん時もホントにピンポイントながら、的を外さない存在感が際立ってたなぁ。
実は、物語が動き出すまでの世界観の説明に身の毛もよだつ思いで…税務署の現状が語られる。
弱き市民から税金をむしり取り、お目溢しをしようものなら出世に響く。
国税庁の職員は減税を提案したら左遷で、増税案を提案したら出世するとの話もある。
おいおい、ちょっと待てと小市民な俺なんかは思う。
今年度の使われなかった税金なのか予算なのか忘れたけど10兆を超える金が余ってるって報道もある。
オマケに強い者には擦り寄って、3000円の税金はふんだくるけど10億の脱税は見逃す。
「生きる為だ…」
劇中の熊沢が搾り出すようにそう話す。
この税金を取り囲む描写に身の毛もよだつ。
フィクションであって欲しいとは思うけど、政治家の脱税でも露呈したように、全くの中立な組織ではなく、組織の中に組み込まれるている部署である事は明白なのである。
どうにも絵空事と呑気に構えられるような空気感でもなく…この無さそうですありそうな世界線が物語に緊張感を付与し続けていたように思う。
憶測の域は越えないのだが、やってそうだし!
…そう思えてしまうのが1番厄介なのである。
6人しかいない
サブタイトルには7人って書いてあるのに…
あー、やっぱりね
そんなことだろうと思った
あの偽警察の人たちはバイト???
いろいろと疑問点はあるけど、いい流れのストーリー展開でおもしろかった
もっと出来そう ◎○○◎○
見やすさ◎
ストーリー○
キャラクター○
没入感◎
個人的好み○
タイミングが悪かった
内容は面白いけど、ネタが地面師だし、トリックも見たことある感がある
全体的に弱い
個人的今年ナンバーワン作品!
個人的に岡田将生さんの演技が大好きなのと、しかも彼のすごさが引き出されそうなダークヒーロー役だったので絶対に見ようと決めていた作品でした。そして見始めると事前情報を入れないまま観ていたのでさらにびっくりしたのが森川葵さんも出演していたこと。森川葵さんも個人的に演技力がとんでもない化け物だなと思う役者さんだったので、この2人が冒頭に出てきた時にこれはヤバいなーとテンション上がっちゃいました。
やはり岡田将生さんは間違いない最高の演じっぷりでした!内野さんのキャラもさすがだったし岡田さんと内野さんとの掛け合いも良かったなー、敵のボス役小澤征悦さんもさすがのお得意の偉そうなやつの役で文句なしでした!
そんでもって脇を固める役者さんたちも間違いない方々で演技は本当に安定安心の素晴らしさ!
ストーリーに関しても本作は昨今の裏をついためんどくさい考察とかもなく何というか爽快で痛快でわかりやすくダークヒーローが悪をやっつける構図な感じで見ていて本当に気持ちのいいものでした。
こういったベタなわかりやすい作品ってのは最近ではありそうであまりないのかなと思いますし、だからこそ今すごく見ていて「いいなあー」と思えました!
借金取りの親子がなぜにあんなにすんなり詐欺軍団に加担するのかとか、あんなに最初怖めだった借金取りの娘がちょっとだんだん茶目っ気あるかわいい感じに見えてきたり、その辺は突っ込みたいところでしたがそんなことも別にどうだっていいじゃない!って感じるほどに演者の方々の演技が吹き飛ばしてくれますし、作品全体としてとにかく面白かったです!最後に実はあの人がお母さんで加担していたとこなんてもう最高に気持ちよすぎました!
主題歌が銀杏BOYZ峯田和伸が歌っていたのも最高でしたし良い曲でした!
やっぱりこういったぶっちぎっていく爽快な映画は見ていて気持ちがいいものです。
ひねりがなくありがちでつまらないと見る人によっては思うかもですが
個人的には大好きすぎる役者さんが2人とも出ていたこともあり、今年の映画の中ではぶっちぎりで一位の作品になりました!
マジでおすすめです!
大事なことは怒りを持たぬこと
平凡な税務署員である熊沢は、軽自動車を購入しようとしたところ詐欺にあう。この詐欺の犯人は天才詐欺師の氷室であることが分かる。勘づかれたことにすぐに気付いた氷室は熊沢に詐欺により得た金を返金し、示談を持ちかける。さらに氷室は巨額脱税者を騙して納税させようという話を持ちかける。仕事に情熱的な真面目な部下や過去にその脱税者の関係者により自殺した同僚の想いを胸に熊沢はその話に乗るのであった…。
まず、一言言わわせてほしい。私は元徴税吏員であるが、所長絡みの数億円の脱税などはまず存在しない。公衆の面前で税金の話を持ちかけることなどもっての他である。税務署員側も未収納金のノルマは実際には地区別であったり、種類別であったりする。税金を舐めてはいけない。納めなければ、機械的に金から物品まで差し押さえて終了である。本当に恐ろしいのは警察じゃない、税務署である。
とまあ、この話はここまでにして。本作はこんなことを気にせず楽しむジェットコースタータイプの映画である。
序盤の詐欺にかけられるシーンから詐欺集団の形成、チームの協力まで、時々詐欺がバレてしまうのではというハラハラ感があることでストーリーがだれることがない。詐欺集団のキャラもカメ止め同様ひとりひとり立っているし、最後のトリックも鮮やかである。このトリックには矛盾点はなくスムーズに受け入れられるものとなっている。
熊沢が抱えるストレスや立場にはひどく同情する。この負の感情を正攻法ではないが、滞納者と戦うエネルギーとして爆発させている。なにより公務員として無気力で仕事をしていた彼が詐欺に加担するようになってからイキイキとする様は愉快である。7人目のスクワッドを最後に回収するところもまた見事であった。
巨悪をコテンパンに懲らしめて!
『カメラを止めるな!』が面白かったので期待して観ました。まあまあ、楽しめた映画でした。主役の内野聖陽は最初から強そうで気弱な公務員に見えないなのでミスキャストかなと思います。詐欺映画の傑作として『スティング』が思い出されます。最近の世界の世相として、どんなに悪いことをしていてもあくまでも無罪を主張したり、何も悪いことをしていないと言い張って立件されなかったり、裁判になっても示談や取り下げになったり、また、敏腕弁護士によって無罪になったり、そしてすぐに政界や芸能界やスポーツ界に復帰する人が多いように思います。せめて映画の世界では、巨悪をコテンパンに懲らしめる痛快な作品が観たいものです。
スカッと
悪い奴が打ちのめされる映画は面白い🎬
詐欺師って天才だよなぁ
家族に詐欺バレそうになってしまうシーン面白い
最後見終わった後に、神野さんに息子である岡田君をイケメンねーって言ってたのが、後々ツボでした笑
お母さんだったんかい笑
楽しめたが消化不要
評価の高さと騙しあいバトルということで観てきました
ストーリーや展開など押さえるとこは押さえてる感じで、それが高評価につながってるのは納得できたのですがスマートさが無い感じで私はイマイチでした
まずサブタイトルである7人の詐欺師
人数書いてたら最後だれか出てくるんだろうなってのわかっちゃいますよね
あと天才詐欺師とかプロ集団的な設定ですが素人感ありまくりで違和感を感じました
主人公→いきなり電話番号から身元が割れる
変装の達人の女の子→ただ服装を変えてるだけ
当たり屋→ただの力仕事役
印刷屋→これはちゃんと機能してた
闇金女社長→詐欺師じゃなくてスポンサーですよね?
闇金金づち女→なにかしてましたっけ?
主人公の母→ここが最大のだましポイントだけどありがちな展開
それぞれが肩書だけでなくもっと個性を出さないと7人いる意味がなかったなと
ビリヤードで不正がばれそうになった時や娘に現場を見られた時、そして爆滅で現場から逃げるシーン
ハラハラさせたいんだと思うんですが素人感出まくりの対応で詐欺師集団とは思えなかったです
あとモヤモヤする点がいくつかあって
まず写真が全部本物だと変装の女の子が答えた件
これ当てずっぽうなのか主人公の母から事前情報もらってたのか
主人公の母の存在は最後まで隠してたはずなので当てずっぽうで当てた節が濃厚ですがそれもなんだかなーと
次に捕まえに来た警察が偽物だった件
主人公の母のネタ晴らし前に警察が偽物だった件を他の詐欺師達は知ってた風でしたがそれだと辻褄が合わないなと
母親が警察を呼んだ時点では7人目の存在はわかってなかったはずなので母親の携帯に細工するなりしないと他の詐欺師達はどうやって偽物の警察を呼んだか疑問に思いますよね
映画の中では無かったけど車の中でネタ晴らしがあったのかもしれませんが観てる側はモヤモヤします
この辺りは視聴者がどうなるんだろうと色々想像しながら結果を期待してるポイントなのでしっかりとした納得できる答えを映画の中で提示して欲しいです
私の見落としや理解できてなかっただけならすみません
そして一番納得できなかったのが最後の殴る妄想シーン
これやるなら友人の嵌めて自殺に追い込んだ真実を聞いた時にやって映画終わりですよね
今まで苦労してお金を騙し取って一泡吹かせてやったのが台無しです
妄想であれ暴力で解決は求めてるものと違いと思います
どうせならワインを頭から掛けて
「税務署に目を付けられない方法を知ってるか?怒りを持たないことだよ、笑って顔を上げれるか?」みたいな感じのやり返しをするぐらいでよかった気がします
綺麗さっぱりどんでん返し!
序盤の絶望的状況から最後の大どんでん返しの種明かしまで、隙間なく楽しめる作品だった!
それでいてギャグですよ〜どんでん返し系ですよ〜的な邦画のわざとらしさが無いのが単純にスカッとする理由にもなっていると思う。
序盤、真面目に働いてきた公務員が何もかもうまくいかず1人の人として人格を踏み躙られていく様は見てて気が気でない。人が怒られている状況に耐えられない私としては、本当に胸が痛くてたまらなかった。
ていうか後輩の女の子のせいだよね?!
熊沢さんが超真面目で優しすぎるのもあるけど、一言「私がでしゃばったせいで熊沢さんが、、、」くらいあってもいいんじゃない?!と思ってしまった笑
脱税の闇にツッコむこと自体が悪いのではなく、タイミングってもんがあるだろー!と思った。
中盤、詐欺師たちと組んで作戦を立て、ちょっとずつ引っ掛けていくシーンはやはりワクワクする。
そこからの地面師シーンも、詐欺師集団一人一人キャラが立っていて面白い。
最後の契約の場面、圧倒的不利な詐欺師たちの状況にまんまと騙され、こりゃもう終わりだ〜〜!と思わされたのも束の間、見事なトリックと種明かしに感激した。
いや、熊沢と詐欺師たちが復讐に成功するのは分かりきってはいるものの、緩急にやられ完璧に圧倒されてしまった。
ネトフリの地面師以上に、家族や仲間、上司など、周りの人との交流も丁寧に描かれているためか、単なる詐欺の話でなくあくまで熊沢さんの人生に起きた絶望や憎しみ、そこから掻き立てられる行動などを描いたヒューマンドラマになっていると感じた。
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