劇場公開日 2024年11月22日

「「ありえへん」けど面白い…「ジェントルマン」ならぬ「税取るマン」の気苦労」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「ありえへん」けど面白い…「ジェントルマン」ならぬ「税取るマン」の気苦労

2025年1月22日
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鑑賞方法:映画館

主人公はひょんなことから、一癖も二癖もある詐欺師の集団とスクワッドを組むことになった徴税職員ということですけれども。
しかし、いくら徴税効率の確保がいわれても、詐欺師と組んで税のほ脱を摘発するなんてことは、本来、もちろん「ありえへん!」ということで。
(これを行政の法適合性の原則とも申します。平たく言えば、お役所はむちゃしてはいかんということ)

だけど、だけど、それがあり得たりするのが映画の楽しいところで。
ひと頃は税務部門にも籍を置き、往時は徴税職員の端くれでもあり、それなりに「税取るマン」としての苦労もあった評論子にも、素直に楽しめた一本でした。

また、世間的にみれば四角四面の堅物で、表社会の「税務署員」と、臨機応変・柔軟無比の裏社会の「詐欺師」との対比も、組み合わせとして、面白かったと思います。
(話の流れで「四角四面の堅物」と書きましたが、往時の評価子を含め、やっている本人たちは、決して自分たちをそうは捉えていないことは、蛇足ながら申し添えておきたいと思います―否むしろ、対人折衝がメインの、とてもとても人間臭い仕事)

本作は、(元)モノホンの税務職員から観ても痛快で、面白く、コンゲームものとしては侮りがたい出来の一本でもあり、スクリーンを見つめながら往時の気苦労も少しばかり思い出しつつ、楽しめる佳作というのが、評論子的には素直なところでした。

(追記)
先ほど「徴税効率の確保」と書きましたけれども。
実は、税務部門はお役所の中では珍しく「数字」で、業務成績が評価される職場になります。
たとえば、課税高がいくらとか、課税したものの徴収率が、目標のいくらに対して今期は高かったとか、低かったとか。

ともすれば「公共性」「公益性」とか「住民の利便性」とかという、それ自体が定量的には把握できない指標で評価される他の職場と異なり、苦労の手応えが具体的な数字となって返ってくるという点では、働くことの実感=満足度の高い職場でもあったと記憶しています。

(追記)
税務職員時代に先輩職員から教えられたことの一つに「滞納者が工面して持ってきたカネの素性は聞かない」というのがありました。

宝くじに当たったのか、競馬で稼いだのか、額に汗して働いたのか。
はたまた、盗んできたのならまだしも、人を殺して強取してきたものかも知れないので、その素性(出どころ)を聞かないほうが、受け取る方としては気持ちよく領収できるということのようです。

ま、おおかたは倹約したり、身内などに事情を話して立て替えてもらったりしていたケースがほとんどなのでしょうけれども。
血まみれのお札を目の前の机の上にドサドサと並べられて「さぁ、受け取ってくれ」と迫られた経験はなかったことは、徴税職員として、評論子は幸せだったのかも知れません。

talkie
トミーさんのコメント
2025年1月22日

共感ありがとうございます。
岡田くん馴染みのチームに内野さんが乗っかった感で、あんまりスクワッドみたいなチーム感は感じなかったです。内野さんの怒りは大いに感じられました。

トミー