「序盤のマッハなストレスに耐え凌げるか」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
序盤のマッハなストレスに耐え凌げるか
導入、かなりキツい。悪役ラスボスに踏みつけにされ、詐欺師には騙され、コテンパンにされる公務員の主役を観ていて、こちらの胃袋がキリキリしました。
それでも、後でその怨みが晴らされることを願って、最後まで観るしかない。いやさ、最後まで観ずにおくものか。これが、この映画の仕掛けでしょうか。主役との共感が半端なかったです。
ちゃくちゃくと計画進行。蛇の道は蛇、悪者VS悪者の闘いだから、やっぱり不快に感じる人も多いでしょう。それでもサギの手口に舌を巻くほかは無い。計画の個々の段取りが上手すぎる。
そして至る結末。見事な起承転結といっても良いでしょうか。そういうことになるとは判っていても、主役達の不利な状況に絶望するほかは無かったのは、この映画の上手いところなのでしょうか。そうと判るまで主役達のトリックに気づけなかった。伏線も引かれていた偽札の発覚から雪崩れ込むような種明かしは、ルパンもカイジもビックリの大仕掛けだったと思います。
それで、こちらのストレスは晴らせたか。「世の中、こんな悪い連中ばかりなのか」と不安が残ります。主役の公務員がラスボスを殴りつける「本当にやってしまったか」という妄想にビックリするシーンにも共感一杯。それでも、税務署の職員に徹するあたり。やはり、身の上と家族を捨てきれない、凛々しく、強くなったお姿に拍手。
悪人ばかりが活躍する中、映画として「大事なのは家族の絆」という筋を通されていたと思う。この映画の唯一の良心でしょうか。ワインをかけられても愛想笑いをせずにはいられない。でも、自分には単純に怖いから逆らえないかも。家族が居るからとかいうよりも。
それでも世の中に対する不安とストレスは残る。特殊詐欺や闇バイトからの強盗が闊歩し、一般企業でも1円でも儲けることに奔走する。ラストのスタッフロールで流れる主題歌の絞り出すような歌声がとてもマッチしていたと思う。自分も不穏な世の中に対して絶叫したくなる。
自分にとって一番ヤバイのは女性の詐欺師かな。頂き女子とかいうのに本能を刺激されたら超ヤバい。モテ期だと・感じた自分は・既にカモ。御用心、御用心。