劇場公開日 2024年11月22日

「俳優陣は良かったけど、物語は粗削りな部分も?」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0俳優陣は良かったけど、物語は粗削りな部分も?

2024年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督の最新作ということで期待して観に行きました。まず題名ですが、”アングリー”は”怒り”ということで直ぐに分かるのですが、”スクワッド”という単語は初めてお目に掛かりました。で、調べると”分隊”という意味のよう。つまり、題名を直訳すると、”怒りの分隊”ということになるようですが、これは物語が進んで行くと意味が分かりました。

ところで上田監督が脚本も担当した「カメ止め」とは違い、本作は韓国ドラマが原作だったようですが、構造的には「カメ止め」路線と軌を一にする作品でした。前半ではラストに向かっての伏線を張り続け、終盤でそれらをひとつひとつ回収していくとともに、大どんでん返しの連続という構造は、期待した通りの展開であり、一定の満足感を得られました。

ただ、「カメ止め」と同一路線であったが故に、同作を観た時に感じた斬新感はあまりなく、その点はちょっと残念ではありました。

俳優陣では、主役の税務署員・熊沢を演じた内野聖陽が、「八犬伝」に引き続いて彼らしくシブい演技を見せてくれました。また詐欺師役の岡田将生は、「ゴールド・ボーイ」の時も思いましたが、やっぱり悪党が良く似合うことを示してくれました。この2人に対峙した脱税王を演じた小澤征悦も、ヒールとしての役割を存分に発揮して非常に良かったです。つまり、俳優陣は満点と言って良いのではと感じたところです。

ただ物語としては、中盤以降の流れはそれなりに面白かったものの、初っ端に川栄李奈演ずる若い税務署員が脱税王に食って掛かって大失敗に繋がった出来事や、熊沢の奥さんが易々と中古車販売を巡る詐欺に引っ掛かってしまう下りなどは、いくら何でも強引だったと思いました。これは最終盤、脱税王から14億円を奪う仕掛についても同様で、物語世界だとしてもかなり無理があるように感じました。まあ総合的には面白かったですが、もう少し設定を練った方が良かったんじゃないかなとも思いました。

そんな訳で、本作の評価は★4とします。

鶏