「タイトルの付け方に失敗しているとしか思えない」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルの付け方に失敗しているとしか思えない
脱税をしている者に、何の証拠も示さずに「脱税してるでしょ!」と詰め寄る税務署員は、いくら何でもいないだろうが、クセの強い「如何にも」なキャラクター達は、分かりやすいし、見ているだけで楽しめる。
事なかれ主義で気弱な主人公が、詐欺という犯罪行為に手を染める過程にしても、「友の敵討ち」ということで納得がいくし、それが、天才詐欺師の計略の一部だったという事実も、同じく「復讐」のためであることが分かって、すんなりと受け入れることができた。
権力と癒着し、「庶民が平穏に生きる秘訣は怒らないこと」と説く脱税王に、復讐の「怒り」に燃えた2人が立ち向かっていく様子は痛快なのだが、「地面師詐欺」の手口が余りにもお粗末に見えてしまうところは気になってしまう。
案の定、詐欺であることが呆気なく見破られたところで、最後に逆転劇があることが容易に予想できてしまうし、天才詐欺師の母親の消息がなかなか明らかにならないことで、逆転の鍵を握るであろう「7人目」の詐欺師が誰なのかも察しがついてしまうところは残念だ。
詐欺師が7人いると分からなかったら、ラストのどんでん返しに、もっと驚くことができただろうから、「7人の詐欺師」というタイトルの付け方は、明らかに失敗だったと思えてならない。
さらに、「7人目」の詐欺師のおかげで裏帳簿が手に入ったのなら、わざわざ詐欺を働かなくても、正規の手続きで脱税王を起訴して、制裁を下すことができたのではないかとも思えてしまう。
また、いくら相手が脱税王でも、14億円をだまし取ったという罪が消えることはないと思うのだが、ラストを見ると、契約書を回収したことによる証拠不十分で、不起訴になったという解釈で良いのだろうか?
と、突っ込みどころは多々あるものの、それを言い出したらエンターテイメントとして成り立たなくなるので、ここは、だまし、だまされの「コン・ゲーム」を楽しむのが正解なのだろうし、実際、そこのところは、十分に楽しむことができた。