「名前を忘れたままのあの日の鼓動」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
名前を忘れたままのあの日の鼓動
上田監督久々の新作という事で楽しみにしながら鑑賞。
オリジナル元のドラマは未視聴です。
いやー痛快爽快な快作でした。
フラストレーションの溜まる展開も後半への布石として面白さに繋がっていましたし、詐欺師と公務員が手を組むといった独自的な展開も相まってワクワクドキドキしっぱなしでした。
タイトルが途中でバーン!と入る演出も今作のプロローグからオープニングに繋げていくって感じの演出でオッシャレ〜ってなりました。
正義感の強い部下を止めようとして権力者に目をつけられた挙句、詐欺師の手口にまんまと引っかかってお金まで取られた公務員のおじさんの真っ直ぐで真面目な復讐劇なんて難しい要素満載なのにコミカルさとシリアスを良いバランスで盛り込んでくれて見応えありありでした。
権力者も底の無いクズってのも最高で、小澤さんの飄々とした演技も相まって憎さ満載だったのも物語にスパイスを与えていましたし、コイツには痛い目に遭って貰わないと気が済まない…という気分を詐欺師たちと共有できたのもデカかったです。
地面師というものがスッと入って来たのもあって不動産と土地所有者の駆け引きなんかもスリルがありました。
土地の写真を見せて自分の土地なら分かるでしょう?という無理難題を押し付けてみたり、現金そのままでの減額の交渉だったり、実際に起こっているんだろうなと思うところもあって考えさせられる場面もありました。
窮地に陥ってからの展開の捻り方は唸るものがありました。
目論見がバレてハンコを押すと同時に部下が突入してくるという流れをどうやって潜り抜けるのかといったところで、盗むためのお札は紙幣カウンターと下の階を繋げてそこから偽札と入れ替えて段ボールに詰め詰めして運搬といった流れでかなり原始的だけど、そこを繋げるのかと1本取られました。
警察も友人が手伝ってくれて事なきを得て、橘の元へ潜入していた秘書が最後の7人目、そして氷室の母とトントン拍子で分かって点と点がバシッと繋がってスッキリしました。
ラストシーンは中々に衝撃的なもので、橘の元へ向かった熊沢がそれはもうフルボッコにしてビリヤード玉を口の中に捩じ込んでボコボコにする狂気的な面を見せてくるので怖かったですが、胸ぐらを掴まれた橘の脳裏によぎったもので一安心しましたし、徴収の報告で済ませた熊沢に男らしさと優しさを感じられるラストでホッとしました。
キャラクター的には当たり屋と釘お姉さんは持て余した感はありましたが、当たり屋が機転を効かせて熊沢たちを助けたところはナイス!と心の中でガッツポーズしていました。
印刷のテクニックを用いてなんでもやっちゃう丸さんだったり色んな人物に憑依しまくりな白石だったりと出番多めの詐欺師たちはキャラ立ちしていて良かったです。
やっぱりワクワクする映画って良いなと思いました。
細かな伏線回収の気持ち良さだったり、役者陣の演技だったり濃厚なものを一つ一つ体験できました。
上田監督の次回作も楽しみですし、今作もリピートしたい1本です。
鑑賞日 11/23
鑑賞時間 10:50〜13:05
座席 D-2