劇場公開日 2024年11月22日

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「主演マリサ・アベラの歌唱は抜群だが、音楽家の伝記としては物足りない」Back to Black エイミーのすべて 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 主演マリサ・アベラの歌唱は抜群だが、音楽家の伝記としては物足りない

2025年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

主演のマリサ・アベラは本作のオーディションを受けた時点で音楽的な訓練はまったく受けていなかった。製作側も当初エイミー・ワインハウスの実際の歌声に主演女優がリップシンクする方法を検討していたが、ボーカルコーチのもと4カ月間で急速に歌唱力を伸ばしたアベラ本人が歌う音源をそのまま映画に使うことに決めたという。ワインハウスがプロとして活動したのは2003~2011年なので音源はもちろんパフォーマンスの映像も多数残っているが、アベラは単にボーカルのスタイルを模倣しているのではなく、詞に込められた魂、ソウルのようなものまで表現しているように感じる。

ただ、作詞作曲も手がけたワインハウスがどんな音楽を聴いて自身の音楽性とボーカルスタイルを確立させていったのかとか(祖母からの影響は少し言及されていたが)、詞を書き曲を作る過程がどんなだったとか、バンドと演奏のアレンジを練る面白さといった、ユニークなアーティストの音楽性を描き伝えようという意図が希薄なのは残念。プレスリーの生涯を人間ドラマ偏重で描いた「エルヴィス」と同じような物足りなさを覚えた。

エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー映画も2本(2015年の「AMY エイミー」と2018年の「Amy Winehouse: Back to Black」)作られているようなので、近いうちに観てみたい。

高森郁哉
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