劇場公開日 2024年7月26日

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「少し残念でした」ひどくくすんだ赤 んこさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5少し残念でした

2025年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

今回の映画には、いくつかのパーツでリアリティの欠如を感じました。
コスチュームやロケーションなど、全体的に作り込みが甘く、細部に説得力が欠けていたのが残念です。やりたいこと、伝えたいテーマははっきりと伝わってきただけに、そのクオリティのばらつきが惜しく思えました。

作品全体に「予算不足」が透けて見える点。映像から伝わるリアリティの薄さは、企画段階でもう少し温めて時間をかけてから作っても良かったのではないかと思いますし、もっと金を出してあげてほしかった。

前作の「生まれる」は住宅地の公園、町並み、学校の教室、そして子どもと母親たちが登場するシーンには、明確なリアリティが宿っていました。これらの場所は、あまり予算をかけずとも成立しうる場であり、だからこそ監督の感情、特に「悲しみ」や「怒り」といった強い感情がバイオレンスによって昇華される過程がリアルに描く事ができたように思います。

幻想的な映像の美しさや技巧で勝負するタイプの監督ではないと思うので。復讐とか暴力をストレートに描くとき必要になるのはロケーションのリアルさ、その場の空気の凍り付くようなリアルさは圧倒的に大切になると思います。
役者の表情から痛みややるせなさを正面から捉えることで観客の感情を揺さぶる作風です。だからこそ、感情の描写の背景の積み重ねに“無理やり感”が見えてしまうと、一気に冷めてしまいます。
予算が届かないなら前作のようにもっとシンプルなテーマで模索してもいいのではと思います。

今作は、全体的に各パートの詰めの甘さが見えてしまい、肝心のバイオレンスシーンにも心を打たれることがありませんでした。
とはいえ、監督の持つ才能や情熱に揺るぎがないとも感じています。今後この監督を支えるスポンサーやプロデューサーには、ぜひ才能を掴んでほしいサポートしてあげてほしい、造りたいものを実現できる体制と予算を用意してあげてほしい。

んこ
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