「美咲姫さんと新くんの瑞々しい演技が見どころ!」春の香り mamimumemoさんの映画レビュー(感想・評価)
美咲姫さんと新くんの瑞々しい演技が見どころ!
桜のポスタービジュアルがとてもキレイでそれによく合う美しい主題歌。春香さんの透明感のある瑞々しい演技と巧くんのこんなの誰でも恋に落ちてしまうに決まっている!というような爽やかで包み込んでくれるような優しい笑顔。予告を観てきっと漫画に恋に一生懸命に生きた春香さんの美しい映画になっていると勝手に思っていたが、後半になるにつれてだんだん苦しくなってきた。家族だからわかるそれぞれの辛さがこれが実話をもとにした映画である事を嫌でも思い知る。頭の奥に響く重く低い音の数々に不安感を煽られた。巧くんとの屋上のシーンで印象的だったのが、春香がふと巧くんのリストカットの跡を見つけてしまい、巧くんの過去を知り「ずっと死にたいって思ってた」という巧くんのセリフ。これには胸がズキッとした。ずっと生きたいと思っていた春香さんと死にたいって思っていた巧くん。巧くんは一点の曇りもなくこの映画の希望だと思っていただけにドキっとしたセリフでした。巧くんには病気の事を話して欲しかった。「好きな人ができた、ごめん」で終わらせられた巧くんのメンタルが心配に。家族の物語りであり、実話である事はわかるけれど、映画としては春香さんの架空の恋愛も掘り下げて一緒に乗り越えていくストーリーがプラスされたらさらに深い物語になったのかもしれないとも思うし、2次元的な存在だった巧くんにも現実味が増すのかもしれない。
個人的に美咲姫さんのモノローグの声がとても可愛かった。佐藤新くんのキラキラしただけではないどこか影があるような繊細な笑顔が巧くんのエピソードを聞いた後ではより役柄にぴったりはまった。再発後、夢うつつになっていく中で何度も巧くんの夢を見るシーンの巧くんが印象的。なにが現実か、もう全部夢だったんじゃないかと思ってしまう。最後、屋上で春香さんを抱きしめる巧くんの演技が圧巻だった。一言しか喋らないし、髪の隙間からのぞく目線と呼吸や手の力加減などで見事に感情を表現していて心が震えた。春香さんの夢の中だからこそあんなに美しく儚い2人のシーンになったんだと思う。予告で観ていた巧くんとの素敵なシーンの数々がまさか夢だったなんて・・・桜のラストシーンが幸せそうでここから始まるアナザーストーリーを期待してしまう。