流麻溝十五号

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流麻溝十五号

解説

台湾国民政府による恐怖政治下で戒厳令が敷かれていた「白色テロ」時代に、政治犯収容を目的とした教育施設と監獄のある緑島で生きる女性たちの姿を、実在した複数の人物を3人の女性に投影して描いたドラマ。

1953年、政治的弾圧が続く台湾では、罪を課せられた者は思想改造および教育・更生のため緑島に収監されていた。連行された者は名前ではなく番号で呼ばれ、重労働を強いられた。純粋な心を持ち、絵を描くことが好きな高校生のユー・シンホェイ。子どもが生まれて間もなく投獄された、正義感の強い看護師イェン・シュェイシア。妹を拷問から守るため自ら囚人となったダンサーのチェン・ピン。次々と迫る不条理に対しても考えることを諦めず、台湾語、北京語、日本語などさまざまな言語を駆使しながら日々を生き延びようとする彼女たちだったが……。

ユー・シンホェイ役に「越年 Lovers」のユー・ペイチェン。監督は「Tattoo 刺青」などこれまでも一貫してジェンダー平等の視点から作品を撮り続けてきたゼロ・チョウ。

2022年製作/112分/G/台湾
原題または英題:流麻溝十五號 Untold Herstory
配給:太秦
劇場公開日:2024年7月26日

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(C)thuann Taiwan Film Corporation

映画レビュー

5.0人はいかに強い存在なのか、ということ

2024年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

台湾の白色テロの時代、政治犯が収容されていた孤島を舞台。冒頭、上下逆の映像から始まる。拷問でつるされている人の目線だ。異様な絶海の孤島で隔離された若い女性たちの過酷な暮らしを見つめた作品だ。
台湾映画には白色テロ時代を描いた作品はいくつかある。『牯嶺街少年殺人事件』など名作がこぞって取り上げた時代でもある。本作は、日本統治時代の名残も感じさせる仕掛けが随所に施されている。主人公の一人の女性は、杏子と日本名で呼ばれることがある。その他、日本語を介する女性も登場するなど、台湾の辿ってきた複雑な歴史が使用される言語からも浮かび上がるようになっている。
収監されている女性には様々な立場がある。元看護士、学生、大陸本土からやってきて妹を守るために自ら名乗り出た人など。女性の看守は途中で彼女たちへの理解を示しもするが、過酷な日常は終わりが見えない。しかし、希望と人の善良さを見失わない映画でもある。大変力強い映画だった。こういう作品を作れるパワーがある台湾映画界は素晴らしいと思う。

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杉本穂高

4.0半世紀前の言論・思想統制の悲話を今描く意義

2024年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

怖い

台湾の独裁政権が言論弾圧し密告も奨励していた白色テロ時代(1947~1987年)を扱った映画として、比較的最近では2021年に日本公開された「返校 言葉が消えた日」もあった。暗い時代を真摯なドラマやサスペンスとしてではなく、超現実的なホラー作品としてエンタメ化した姿勢に驚かされたが、この「流麻溝十五号」は流刑地の島に送られた女性政治犯たちを描くシリアスなヒューマンドラマだ。

劇中で話される言語の違いが、字幕では独特の括弧使いで区別されている。北京語、日本語・英語は括弧なし、台湾(ホーロー)語は〈 〉、台湾客家語・原住民族の各言葉などは[ ]という具合。プレス資料にはこんな説明もある。「映画内で描く1950年代は、中華民国に統治されていた時代なので公用語として、北京語を話すことが求められた。しかし、日常では台湾(ホーロー)語/台湾客家語/原住民族の各言語に加え、日本語も使用されていた」。使い分けの細かなニュアンスまで読み取るのは難しいが、囚人同士が私語で日本語で会話するシーンなどでは単純に親近感を覚えつつ、しかし日本統治時代からまだ10年もたっていない頃だからと複雑な思いもする。

実際に緑島の施設に収監されていた女性たち6人の証言をまとめたノンフィクション本が原作。彼女たちが語った過酷な体験を、周美玲(ゼロ・チョウ)監督が3人のキャラクターに集約して2022年に映画化した。驚かされるのは、製作を支援する募金活動により1200万台湾ドル(現在のレートで約5600万円)以上の資金が集まったことだ。白色テロ時代が終わってからすでに40年近く、記憶を風化させず若い世代に伝える映画の意義が、台湾の人々に広く共有されたのだろうと想像する。

悲しくも美しいラストシーンには、作り手たちの願いと祈りが込められているようで、胸が締めつけられる思いがした。

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高森 郁哉

0.5マジでつまんない映画

2024年9月1日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 3件)
病人28号

4.5古川琴音さんのドッペルゲンガー

2024年8月26日
スマートフォンから投稿

世界には自分にそっくりな人物が3人いるという。私はこの映画、ずっと主人公は古川さんが演じていると思っていた。なんならエンドロールでお名前があって日台合弁の国際映画だった、なんて結末さえ本気で思った。演技の上手い瓜二つの女優さんが同時代に存在するなんて。作品自体にも衝撃を受けた。日本にも馴染みの深い蒋介石の時代の台湾。全てが史実そのままではないことは知らされているがこんな恐怖政治の世の中が台湾に存在していたとは。

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なうなぱぱ

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