「夫婦虎(スパイ)より愛(エンタメ)をこめて」タイガー 甦る伝説のスパイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦虎(スパイ)より愛(エンタメ)をこめて
イラクで過激派テロ組織“ISC”が病院を占拠し、インド人とパキスタン人の看護師たちが人質に。
ISCはアメリカ人ジャーナリストを殺害しており、アメリカは報復と鎮圧で空爆を決定。猶予は一週間。
インド諜報機関“RAW”はこの“ミッション:インポッシブル”にあの男を探し出し、任を託す。
その男とは…
タイガー!
インド発スパイアクション・シリーズと“YRFスパイ・ユニバース”の第2作目。
前作もそれなりに面白かったが、スパイ任務よりラブストーリー要素の方が濃くて、ちょっと不完全燃焼感が…。
だが今回は全てに於いて文字通りバージョンアップ!
やってくれる漢だぜ、タイガー!
あの逃避行から8年。組織を抜けたタイガーとゾヤは結婚し、子供も産まれ、オーストリアの雪山地方で穏やかに暮らしていた。
雄虎はオオカミの群れを素手で撃退し、雌虎は強盗をねじ伏せ、健在ぶりをアピール。
元上司のRAWの局長が訪ねてくる。8年も所在不明だったのに、あっさりと…。
タイガーはネット上にヒントを残し、今も世界の情報を収集。まだスパイの世界に戻りたいような、しかしRAWからの依頼は拒否。かまってちゃんなのか、面倒臭い奴なのか…。
が、ゾヤに説得され、任務を引き受ける。
作戦チームを結成。
ISC幹部が管理する石油精製所に作業員として潜入。
市街地でISCが仕組んだ少年自爆テロを阻止。が、仲間の一人が犠牲に…。
ピンチに駆け付けたのは、ゾヤ。
ゾヤもISIからの依頼を受け復帰。インドRAWとパキスタンISI、手を組んで人質救出に挑む…!
話も設定・展開も面白味が飛躍的にアップしたのは明白。
世界を揺るがす危機。タイムリミット、チーム、作戦、敵など前作に欠けていたスパイ映画要素が今回はしっかりと。
スリルやクライマックスの危機に次ぐ危機など見せ場も。
超人的アクションは言うまでもなく。俺様流サルマーン・カーンは勿論だが、要所要所のカトリーナ・カイフの方こそ光る。二人の肉体も躍動。
前作よりシリアス路線だが、それでいてユーモアやチームの絆もそつなく。歌やダンスは今回少ないが、MV風エンディングはお楽しみ。
インドで実際に起きた人質事件から着想。現実世界のテロや争いを反映させつつ、ISC指導者がアメリカを憎む理由、インドとパキスタンの協力など問題提起やメッセージが作品のクオリティーを上げた。
勿論今回も荒唐無稽やツッコミ所はあるが、前作ほど気にならない。
前作は日本公開されたが、今回は未公開。逆の方が良かったんじゃ…?(今年のGWにBS12で放送(日本初お披露目)されたのを録画し、今鑑賞)
ミッションは無事コンプリート、タイガーとゾヤの夫婦愛、ある一人を家族として引き取ったラストも後味良し。
前作を軽々と超えた虎のジャンプ力は驚異的!