「これじゃ『聖☆おにいさん』じゃない、と言われるのも無理はない(苦笑)」聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団 にゃんこ好き@昭和生まれさんの映画レビュー(感想・評価)
これじゃ『聖☆おにいさん』じゃない、と言われるのも無理はない(苦笑)
いや、キャストはいいんです。
特に藤原竜也がさすがでした。あれだけで映画代分笑わせてもらったので、1点はその分の点です。窪田正孝もすごく可愛くて思わずにまにましてしまいました。
ただ、最初の30分(つまり原作どおりの部分)と竜也くん登場シーン以外、さして面白くもなんともない。
私だけじゃなく、大多数の人が同じ意見ですよね。
でもごく少数の人は支持してる。
これ、理由は簡単だと思います。
監督さんがオリジナルで展開した部分のギャグのセンスと、『聖☆おにいさん』のギャグのセンスじゃ方向が全然違うからです。
『聖☆おにいさん』のギャグって、感覚的、直感的に面白いってものじゃないと思うんですよ。
キリスト教や仏教の世界観はちゃんとふまえた上でそれをおちょくってるっていうのは、おなじギャグでもけっこう理屈っぽいギャグだと思います。
多分『聖☆おにいさん』が好きな人たちって、けっこう読書とかもするタイプなんじゃないかな。理屈っぽいミステリー小説とかも好きな人が多い気がします。
そういう人にとっては、あの戦隊もののギャグシーンはそこまで面白いものじゃないはずです。
まして佐藤二朗さんのアドリブにいたっては、聖☆おにいさんっていういわば一種のファンタジーの世界観をぶちこわしてわざわざ楽屋落ち風のギャグに持っていっているので、面白くないのを通り過ぎて不愉快と思う人がでてくるのも当然なんです。
まあでも、こういう感覚的というか直感ギャグ?が好きな人もけっこうたくさんいるんですよね。それじたいは悪いことじゃないし、そういう人たちむけの映画なら好評だったかもしれません。
だからこの映画も一部の「そういう人たち」には好評なんです。
でも大多数の、『聖☆おにいさん』が好きな人たち向けではなかった。
この映画が不評な原因は、ひとえに観客のニーズを無視したところにあると思います。
まあ、承知の上であえてやったのかもしれませんけどね(笑)
もしかしたら監督はこの不評の嵐を見ても「やってやったぜ」って面白がってるかもしれません。
でもキャストのみなさんはちょっと可哀想。
佐藤二朗さんだって、彼のああいうギャグが好きな人たち相手ならこんなにクソミソに言われたりしなかったでしょうに。