マミーのレビュー・感想・評価
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監督の熱い思いは伝わるが、生々しい証言は逆効果かも?
別の再審請求事件を扱った「正義の行方」を思い起こさせる映画だ。もしかしたらテレビで放送されていたものを監督が見て、影響を受けているのかもしれない。ドローンを使った映像、ジャーナリストがスツールに座ってインタビューに答えるところなど、類似点がいくつかあった。
ただ、「正義の行方」が当時捜査に当たった警察官総出演といった趣でインタビューに成功しているのに対し、「マミー」ではそれは成功していない。きちんとインタビューに答えているのは検察側の鑑定を担った大学教授くらい。
一方で林真須美死刑囚の夫と息子に密着し、ふたりから生々しい言葉を引き出している。それがこの映画の功績と言えるところであろう。特に夫・健治氏がヒ素を使った保険金詐欺について赤裸々に語る様子は、事件の進展をリアルタイムで見ていた者としては驚愕のシーンであった。
こうした林一家に加えて弁護士、弁護側の鑑定人が次々登場するために、結果として映画は「林真須美は冤罪ではないか」という監督の疑問を追求する展開になっていく。そこが「正義の行方」と比べて踏み込んだところではある。
映画を見終えて、「冤罪」説をどう思うかは人それぞれだろう。ただ自分は、この映画を見たからこそ思ったことがある。それは…林家ではヒ素を使った犯罪(保険金詐欺)がこれほどあっけらかんと共有されていたのか、ということ。子どもたちも多少なりともそこに巻き込まれていたのだ。
その中で、この一家の実質的な中心に座っていたはずの真須美死刑囚が、犯罪から距離を置いていたということがあり得るだろうか。そして、そのような「ヒ素を使った犯罪」を企てる人が、たまたま同じ時期に、同じ地域に別に存在するということがあり得るだろうか。
これはあくまで個人の感想だが、映画を見て、そう受け取る人も少なくないだろうなと思った。それほど健治氏の証言は衝撃的だったのである。
キンブラのキャップと父と息子
「マミー」新たな事実で告発ということはなく、今まで世間に届いてなかった冤罪を唱える側の主張と当時のメディアスクラムの異常性を伝えることがメインのドキュメンタリー。林健治氏が保険金詐欺について語る後半が出色のできで、全く退屈しない優れた映画になっていました。
個人的に印象的だったのは、長男が父親にキンブラのキャップを被せるシーンでしたね。
冤罪かどうか判断できない
一つの映画の中の登場人物として親子が元舎弟の家に訪ねて行くシーン 口数少ななったなぁ また来やすくなったわ 一度闇と関わった人は一生つきまとわりつかれるんやなぁオヤジも長男も金があった日々を今もキラキラと語るのですね 感想をここに書くのも少し気を使うサイコパス的ホラーのようでした
ドキュメンタリーは猛獣使いと似ていて
「 奥崎謙三 」や「 佐村河内守 」といった近所にいたらお付き合いしたくない猛獣をいかに「 いなす 」 かが監督の力量を問われるのだが、今回の猛獣は林真須美の夫の健治だろう。
保険金を貰う為に自ら砒素を飲んで、その保険金をいくらせしめたかをカメラの前で堂々と語っているとこは天晴れで、せっかく顔をモザイクで隠している林真須美の長男がいくら語ろうとも、健治親父の詐欺自慢の前では霞んでしまう。もう、こいつが主役でいいじゃん?
林真須美が冤罪だという噂は昔から聞いていたが、目撃者の証言がかなりいい加減で、砒素が検出された鍋とは違う鍋を触っていたのに犯人に仕立て上げられて、家には落書きされまくりで更に放火をされて家が全焼してしまう。気の毒としか言いようがないですな。
宣伝文句になっている
「 監督が一線を越えてしまう」
というのは、どんな過激な手段を取るのかを楽しみにしていたが、
「 インタビューをする相手にGPSを仕込んで住居不法侵入をする 」
というゆるゆるの犯罪だったのには拍子抜けしてしまった。ションベン刑ですむじゃん?気にしない、気にしない。
もっと、過激な事を期待してたんだけどなぁ( おい )
近所の人や、被害者側のインタビューが殆ど出来なかったのは残念。カメラ回ってないとこで本音を語ってほしかった。実際、隠し撮りしてるシーンがいくつかあったんだから、もう少し粘らないと?
都心部では大入り満員の劇場もあるそうだが、自分が見た回は平日にしては多い方でしたね。
youtubeでさんざん長男が語っていたので、事前知識が無い状態で見れなかったのは残念。
とはいえ、この映画で林真須美死刑囚が冤罪を訴えているという事を初めて知る人もいるだろうから見る意義のある映画かと思います。
KBCシネマでは週末に監督のトークショーがあるのでお近くの方は行く事をお勧めします。
I への突撃シーンからなにから、夫・健治のある種の屈託のなさがその...
I への突撃シーンからなにから、夫・健治のある種の屈託のなさがそのまま出ているのは興味深い。Iにはぜひ健治となにか話してほしかった。
それにしても平日午前とは思えぬ客入り。みんな関心はあるのだろうか。今後の行方を注視せねば。
目新しい情報はなく断片的。加害側の意見を伝えるための作品。
多角的に検証したドキュメンタリーと宣伝されていて気になっていた。
期待はずれだった。ストーリー性がなく断片的。
現場住民の方は取材を断っていて被害者側は被害者の会の人が1人しかインタビューに出ていないのに対し、死刑囚・加害者家族側は弁護士や研究者、ジャーナリストなど錚々たるメンバーがインタビュー出演していて、バランスが中立とは思えなかった。加害者家族の出演時間も多かった。
盗撮シーンが多いのはドキュメンタリーでは普通なのか。そのあたり詳しくないが、これを上映して隠し撮りされた人たちから怒られないのか見ながらずっと気になった。
加害者家族の全面協力で冤罪だと思わせるために作ったというのは十分理解できる。冤罪だと思っている方々からしたら、反証は甘いが訴えかけるという意味においては素晴らしい作品だろう。
目新しい情報はなく事前予告されていた「この映画はスクープだ」とは思わなかった。
証拠の捏造?冤罪事件??
映画館は1日に2回ある上映が両方とも立ち見が出来るほど大盛況だった。
映画の内容はネットで知り得る事が多かった印象だったので、個人的には映画から受けるインパクトはそれほど大きくなかったが、和歌山カレー事件についてよく知らない人で、このトピックについて興味があるならお勧めできるかな。
この手の映画を観るたびに冤罪が無くなって欲しいと心の底から思う。言われなき罪によって被疑者や家族の人生が滅茶苦茶に壊されるなんて余りにも悲しすぎる。
この国の司法
本作は和歌山毒カレー事件の加害者とされた側に入り込んで、裁判でも充分に検討されなかった物証の証拠能力を徹底的に検討していく。
証言も裁判で採用されなかった加害者側のものを充分に検討している。
当時は世間もマスコミもおそらく司法も、保険金詐欺をしていたからカレー事件においても犯人だろう、と雪崩を打って死刑という結論に向かったわけだが、果たしてそれは正しかったのか?少なくとも根拠となった物証の証拠能力にはおおいに疑問が残ることが分かった。
面白いのは、旦那の方は保険金詐欺について認めてペラペラ喋っていること。当時一緒に詐欺をはたらいた共犯者で、捜査において被害者とされた舎弟みたいなやつにも本人達が突撃しているのは笑った。
そして保険金詐欺事件群と毒カレー事件の最大の違いは『動機』。動機が無いと分かりながら、ストーリーだけは検察の描いたとおりに進んでゆき、死刑判決にまで至る。
アベ政権の「内閣人事局」の頃から司法が狂ったような気がしていたが、よく考えたら全然違うな。この国の司法はずっと独立もしていなければ、国民の方を向いていたこともないんだった。あらためてそれを思い知らされた。
そういう意味でも良作。
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