マミーのレビュー・感想・評価
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さり気なく強烈な制作意図
林健治氏が事件のヒントになる友人を尋ねる場面にじっくりカメラが向けられるのだけど、これこそ監督の「さり気なく強烈な制作意図」ではないだろうか。それがこれまでのドキュメンタリーの名監督との違いでもある。巧妙な自己主張を織り込むことで作品を高める方を多く見てきたが、二村真弘監督のこの作品では、自らが右往左往するシークエンスはエピローグに過ぎず、この林健治氏の姿こそが強烈なメッセージだと感じた。詰まるところ、罪と悪の話なのだろう。
公開に伴い得られると成功な成果は?
僕が監督に舞台挨拶後の直接質問で投げかけた言葉
である。
それに対して監督は
言葉を選びながら、こう返答してくれた。
公開を受けて、各メディアが持っている事件関係資料の
見直しと再検証を進めてくれれば。
この答えを受け。僕はこう返答している。
それは本映画の主題以外も含めての話ですね。
と
我が国に限らず、世界中の至る所で公権力の暴走が
止まらない。
そして止める筈のメディアが止めようともしない。
これが今最大の問題だと僕は感じている。
だからこその本作であり各種冤罪の再審査だと◎
どこかの首長が自身を暴走老人と仰ってたが
あの方の暴走には愛があった。
だが、公権力の暴走には愛が見られない。
そう言うことだと
僕は本作の感想として書き残したい!
登場人物が全員クズ
心からかわいそうと思ったのは無理心中をした長女とそのお子さんたちのみ。
あとは監督含めて登場人物全員クズぞろい。
私の中には相反する考えがあって
・法治国家なんだから「疑わしきは罰せず」、証拠がないなら疑わしいだけで罰してはならない
・胡散臭い、ほかに犯人はいない。だったら罰しろ
映画を見るまでは前者の方が意が強かったが、映画を見た後では後者寄りになってきた。
笑いながら「ヒ素のんだだけで簡単に1億5000万も手に入った」と保険金詐欺を井戸端話のように飄々と話をする父親。平凡な人間には及びもつかないネジの外れた家庭が林家だったということは間違いない。「それとこれとは別、どんな倫理的に劣っていた家庭であっても、証拠がないなら死刑にしてはいけない」と頭の中の理想ではわかっているが、映画を観終わって「こんな狂った人たちなら死刑でもしょうがないわ」って思う自分がいることにびっくり
当時の裁判官や判事をインタビューで追い回す意味が全く分からない。意見をプライベートで話せるわけがない、当たり前だ。それをしつこく追い回す時点で犯罪犯してんのはあんたらやろ、って思ったら、監督自らGPS装置を対象者につけるために住居不法侵入という罪を犯している時点で呆れた。
鑑定はあくまで科学的に同じかどうかを調べただけで、ほかにも使われるものがあったのかどうかを調べるのはあくまで警察の仕事。ヒ素を鑑定した理科大の教授の言うことは全く持って当たり前の話、鑑定人は言われたことをしただけで判断や捜査は警察の仕事。
あたかも新しい証拠が出てきたかのようにいっているが、袴田事件とは全く別物。そんな画期的な証拠が出てきたら再審の道は開けるだろうに全く相手にされていない点でその程度の証拠。ああ、何かの陰謀説で再審請求が却下されているんでしたっけ?
あの当時のマスコミの騒ぎっぷりはすごかったし、この映画を観るまでは「もしかしたらきちんとした証拠がないのかも。だったら死刑にしてはいけないのでは?」と思っていたが、映画を観終わってあまりに偏った意見なので、かえって「死刑でもしょうがないのか?」と思わせる、ある意味私には逆効果な映画となっております。
文句ばかり言っていますが、犯人ではないという世間一般とは真逆の意見をしっかり聞けたという点では有意義な映画でした。これも偽らざる気持ち。
平日の昼間に鑑賞にいきましたが、映画館がほぼ満席でびっくり。観に行っておいていうのもなんですが、そんなに関心がある人いるのか?って思いました。
カレー事件の行方
この間鑑賞した正義の行方と似たようなドキュメンタリー しかし地元の方たちにとってはトラウマ事件なのかインタビューに応えてくれる人の少ないこと!
当時の馬鹿デッカイ施設、鑑定マシンにはワオ!となったけど、またしても結果に反証が...
保険金詐欺って楽にお金になるので繰り返すと聞いたことがある しかし自分も地家が多い所に住んでいるのでよく分かるが、町民による炊出しのお祭り 何の得にもならないので動機が確かに謎だと思った 事件とはそういうものかもしれないが、子供や関係ない被害者が気の毒だった
しかし監督自身のアレには驚く そして正義の行方同様死刑確定後の再審は余程の新事実が出て来ない限り無理だろうと思う
謎解きドキュメンタリー
ヒ素を入れたのは誰か?犯人は死刑囚だが冤罪ではの構成が上手く、謎を解くための話になっている。司法制度に一石を投じるって感じではなく、始終エンターテイメントに仕上げている事が評価に繋がる。
裁判の判決が覆ることはまずないだろう。
袴田事件などと比較にならないぐらい、対象の人間が世間的に悪である。駅前で言い争うシーンが全てではないか?
誰かに責任を押し付けないと収まらない警察や検察、そして世論。そこに悪がいれば押し付けたくなる。人間の悲しい、やるせない部分を見せつけられた映画。
で?
冤罪か?との問題提起は出来ている。
終盤に漸く触れる対象家庭の異様と闇は興味深い。
当時の私達の下世話な群集心理が
報道と司法をも巻き込んで、
冤罪を呼び込んだのかな。
私達が好む心地良い大手紙のスッパ抜きや
冷静沈着に見える科学的根拠こそが寧ろ怪しいのね。
気を付けます。で?
常に冷静さを忘れないこと
1998年7月に起こった和歌山毒物カレー事件の検証をしたドキュメンタリーでした。地元の夏祭りで出されたカレーを食べた人たちがヒ素中毒を起こし、4人の方が亡くなったのをはじめ、多くの方が中毒になった衝撃的な事件であり、恐らく40代以上の人の多くは、今でも鮮明に記憶しているのではないかと思います。特にカレーに毒を入れたとして逮捕され、その後死刑判決が確定した林眞須美死刑囚は、連日のようにテレビや新聞、週刊誌に取り上げられました。彼女が世間の耳目を集めたのは、4人の方が亡くなり、何十人もがヒ素中毒になるという事件そのものの重大性もさることながら、自宅に取材で押し掛けた報道陣にホースで水を掛けた映像が非常に印象的だったことや、夫をはじめ複数の周囲の人にヒ素を飲ませ、保険金を詐取していたことが報道されたことが大いに影響していると思われます。
で、26年の時を経てこの事件を振り返り、裁判記録を検証したのが本作だった訳ですが、実に衝撃的な内容で、驚いてしまいました。まずは死刑判決が出た根拠となる証拠に、かなり重大な疑義が複数あるということ。
一つ目の疑義は、目撃証言がかなり曖昧で、当初隣家の1階部分から林眞須美死刑囚がカレーの鍋の蓋を開けた姿を目撃したという証言が、途中から2階から目撃したことに変わっていたこと。しかもカレーの鍋はヒ素が入っていたものと入っていないものの2つあったものの、蓋を開けていたのは毒が入っていない方の鍋だったというのだから、これが証拠として採用されること自体極めて不自然と思われました。
二つ目の疑義は、ヒ素の鑑定について。ヒ素はその産地により様々な成分が混入しているそうですが、犯行に使われたヒ素が、林家に保管されていた農薬用のヒ素と一致したという鑑定が、実は全く科学的ではないのではないかという専門家の証言が出て来ました。”SPring-8”という当時最先端の大型機器を用いて分析したヒ素でしたが、一つには産地が同じだったとしても、その類いのヒ素は汎用品であり、唯一無二のものではないとのことで、傍証になら使えるかも知れませんが、決定的な証拠として採用するには弱いのではないかと感じられました。
また、決定的に疑問なのが、死刑判決まで出た裁判でありながら、結局犯行動機が解明されなかったことも実に奇妙な点。林眞須美死刑囚の夫である林健治氏が主導して、保険金詐欺を働いていたことは、本作中でも健治氏自身が話をしていました。保険金詐欺は当然犯罪ではありますが、それがカレーにヒ素を入れる動機にはなり得ません。何せ亡くなった方に保険を掛けている訳ではないのですから。
以上、改めて本作を通じてこの歴史に残るほどの重大事件及びその裁判を振り返ってみると、林眞須美死刑囚は実は冤罪なのではないか、少なくとも裁判手続きとして、極めて問題があるのではないかと感じたところです。
全体の流れとしては、「正義の行方」と軌を一にする部分が多く、衝撃的な事件発生と、その後のセンセーショナルな報道、最新の”科学的鑑定”(「正義の行方」の時はDNA鑑定でした)による”決定的証拠”の存在など、驚くほどに両者には共通項がありました。
この2作品から得られるものがあるとすれば、センセーショナルな報道や言説を鵜呑みにせず、一定程度の理性を持って物事を見つめる冷静さを常に持つべきだろうということでしょうか。いずれにしても、非常に興味深い作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
監督の熱い思いは伝わるが、生々しい証言は逆効果かも?
別の再審請求事件を扱った「正義の行方」を思い起こさせる映画だ。もしかしたらテレビで放送されていたものを監督が見て、影響を受けているのかもしれない。ドローンを使った映像、ジャーナリストがスツールに座ってインタビューに答えるところなど、類似点がいくつかあった。
ただ、「正義の行方」が当時捜査に当たった警察官総出演といった趣でインタビューに成功しているのに対し、「マミー」ではそれは成功していない。きちんとインタビューに答えているのは検察側の鑑定を担った大学教授くらい。
一方で林真須美死刑囚の夫と息子に密着し、ふたりから生々しい言葉を引き出している。それがこの映画の功績と言えるところであろう。特に夫・健治氏がヒ素を使った保険金詐欺について赤裸々に語る様子は、事件の進展をリアルタイムで見ていた者としては驚愕のシーンであった。
こうした林一家に加えて弁護士、弁護側の鑑定人が次々登場するために、結果として映画は「林真須美は冤罪ではないか」という監督の疑問を追求する展開になっていく。そこが「正義の行方」と比べて踏み込んだところではある。
映画を見終えて、「冤罪」説をどう思うかは人それぞれだろう。ただ自分は、この映画を見たからこそ思ったことがある。それは…林家ではヒ素を使った犯罪(保険金詐欺)がこれほどあっけらかんと共有されていたのか、ということ。子どもたちも多少なりともそこに巻き込まれていたのだ。
その中で、この一家の実質的な中心に座っていたはずの真須美死刑囚が、犯罪から距離を置いていたということがあり得るだろうか。そして、そのような「ヒ素を使った犯罪」を企てる人が、たまたま同じ時期に、同じ地域に別に存在するということがあり得るだろうか。
これはあくまで個人の感想だが、映画を見て、そう受け取る人も少なくないだろうなと思った。それほど健治氏の証言は衝撃的だったのである。
キンブラのキャップと父と息子
「マミー」新たな事実で告発ということはなく、今まで世間に届いてなかった冤罪を唱える側の主張と当時のメディアスクラムの異常性を伝えることがメインのドキュメンタリー。林健治氏が保険金詐欺について語る後半が出色のできで、全く退屈しない優れた映画になっていました。
個人的に印象的だったのは、長男が父親にキンブラのキャップを被せるシーンでしたね。
冤罪かどうか判断できない
一つの映画の中の登場人物として親子が元舎弟の家に訪ねて行くシーン 口数少ななったなぁ また来やすくなったわ 一度闇と関わった人は一生つきまとわりつかれるんやなぁオヤジも長男も金があった日々を今もキラキラと語るのですね 感想をここに書くのも少し気を使うサイコパス的ホラーのようでした
ドキュメンタリーは猛獣使いと似ていて
「 奥崎謙三 」や「 佐村河内守 」といった近所にいたらお付き合いしたくない猛獣をいかに「 いなす 」 かが監督の力量を問われるのだが、今回の猛獣は林真須美の夫の健治だろう。
保険金を貰う為に自ら砒素を飲んで、その保険金をいくらせしめたかをカメラの前で堂々と語っているとこは天晴れで、せっかく顔をモザイクで隠している林真須美の長男がいくら語ろうとも、健治親父の詐欺自慢の前では霞んでしまう。もう、こいつが主役でいいじゃん?
林真須美が冤罪だという噂は昔から聞いていたが、目撃者の証言がかなりいい加減で、砒素が検出された鍋とは違う鍋を触っていたのに犯人に仕立て上げられて、家には落書きされまくりで更に放火をされて家が全焼してしまう。気の毒としか言いようがないですな。
宣伝文句になっている
「 監督が一線を越えてしまう」
というのは、どんな過激な手段を取るのかを楽しみにしていたが、
「 インタビューをする相手にGPSを仕込んで住居不法侵入をする 」
というゆるゆるの犯罪だったのには拍子抜けしてしまった。ションベン刑ですむじゃん?気にしない、気にしない。
もっと、過激な事を期待してたんだけどなぁ( おい )
近所の人や、被害者側のインタビューが殆ど出来なかったのは残念。カメラ回ってないとこで本音を語ってほしかった。実際、隠し撮りしてるシーンがいくつかあったんだから、もう少し粘らないと?
都心部では大入り満員の劇場もあるそうだが、自分が見た回は平日にしては多い方でしたね。
youtubeでさんざん長男が語っていたので、事前知識が無い状態で見れなかったのは残念。
とはいえ、この映画で林真須美死刑囚が冤罪を訴えているという事を初めて知る人もいるだろうから見る意義のある映画かと思います。
KBCシネマでは週末に監督のトークショーがあるのでお近くの方は行く事をお勧めします。
I への突撃シーンからなにから、夫・健治のある種の屈託のなさがその...
I への突撃シーンからなにから、夫・健治のある種の屈託のなさがそのまま出ているのは興味深い。Iにはぜひ健治となにか話してほしかった。
それにしても平日午前とは思えぬ客入り。みんな関心はあるのだろうか。今後の行方を注視せねば。
目新しい情報はなく断片的。加害側の意見を伝えるための作品。
多角的に検証したドキュメンタリーと宣伝されていて気になっていた。
期待はずれだった。ストーリー性がなく断片的。
現場住民の方は取材を断っていて被害者側は被害者の会の人が1人しかインタビューに出ていないのに対し、死刑囚・加害者家族側は弁護士や研究者、ジャーナリストなど錚々たるメンバーがインタビュー出演していて、バランスが中立とは思えなかった。加害者家族の出演時間も多かった。
盗撮シーンが多いのはドキュメンタリーでは普通なのか。そのあたり詳しくないが、これを上映して隠し撮りされた人たちから怒られないのか見ながらずっと気になった。
加害者家族の全面協力で冤罪だと思わせるために作ったというのは十分理解できる。冤罪だと思っている方々からしたら、反証は甘いが訴えかけるという意味においては素晴らしい作品だろう。
目新しい情報はなく事前予告されていた「この映画はスクープだ」とは思わなかった。
証拠の捏造?冤罪事件??
映画館は1日に2回ある上映が両方とも立ち見が出来るほど大盛況だった。
映画の内容はネットで知り得る事が多かった印象だったので、個人的には映画から受けるインパクトはそれほど大きくなかったが、和歌山カレー事件についてよく知らない人で、このトピックについて興味があるならお勧めできるかな。
この手の映画を観るたびに冤罪が無くなって欲しいと心の底から思う。言われなき罪によって被疑者や家族の人生が滅茶苦茶に壊されるなんて余りにも悲しすぎる。
この国の司法
本作は和歌山毒カレー事件の加害者とされた側に入り込んで、裁判でも充分に検討されなかった物証の証拠能力を徹底的に検討していく。
証言も裁判で採用されなかった加害者側のものを充分に検討している。
当時は世間もマスコミもおそらく司法も、保険金詐欺をしていたからカレー事件においても犯人だろう、と雪崩を打って死刑という結論に向かったわけだが、果たしてそれは正しかったのか?少なくとも根拠となった物証の証拠能力にはおおいに疑問が残ることが分かった。
面白いのは、旦那の方は保険金詐欺について認めてペラペラ喋っていること。当時一緒に詐欺をはたらいた共犯者で、捜査において被害者とされた舎弟みたいなやつにも本人達が突撃しているのは笑った。
そして保険金詐欺事件群と毒カレー事件の最大の違いは『動機』。動機が無いと分かりながら、ストーリーだけは検察の描いたとおりに進んでゆき、死刑判決にまで至る。
アベ政権の「内閣人事局」の頃から司法が狂ったような気がしていたが、よく考えたら全然違うな。この国の司法はずっと独立もしていなければ、国民の方を向いていたこともないんだった。あらためてそれを思い知らされた。
そういう意味でも良作。
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