「必要な取り組みだが途中経過という感じも」マミー KaMiさんの映画レビュー(感想・評価)
必要な取り組みだが途中経過という感じも
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考えが十分まとまりませんが、公開後半年たって田端の小さな映画館で見られたことに感謝しレビューを残しておくことにします。
大まかに言って、マミーの冤罪を検証することと、独特な家族関係(家族愛)を描くという2つのテーマを同時に掘り下げることで中途半端になっているように思われ、特に家族の部分に絞って深めたものを見てみたかった。
冤罪の論証については、10年ぐらい前に見た「死刑弁護人」という映画で目撃証言の危うさが鮮やかに示されていた記憶がある。比較の問題だが、今回はヒ素の科学的検定や保険金殺人にも範囲を広げた結果、むしろ未消化感も強まった。たとえば林家以外のヒ素が混入した可能性があるのなら、どんなルートが考えられるのか、など。
家族についてはマミーの夫のインタビューが高評価のようだが、それはYouTubeに切り取られるような面白さに属する。映画としては、保険金詐欺に抵抗を感じない人生観がどう作られてきたのかなどを掘り下げることはできなかったか。かつての詐欺仲間を訪問する場面なども、素材としての面白さと引き換え、作品全体の満足感に寄与しているかというと疑問だった。
全体として必要な取り組みではあるけれど監督の意図が結実するのはもう少し先なのではと考えた。それまでこの問題への興味を継続させていきたい。
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