「子どもと旦那が明るい」マミー 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
子どもと旦那が明るい
事件当時、保険金狙いで麻雀仲間を二人くらいヒ素カレーを食べさせて殺害していると報道されていたような気がしたが死んではいなかったようだ。泉という被害者も、高度障害での保険金狙いで自らヒ素カレーを食べたり、原付で事故を起こそうとしていたりしたようだ。てっきりそんな極悪人が林ますみであると思っていた。確かに保険金詐欺の常習犯は悪人だが、無差別テロとは様子が違う。ヒ素をカレーに入れても利益が発生しない。町内全体に対する憎しみでもあったのだろうか。そうでなければ確かに動機がない。
それにヒ素が林家にあったものと明確に違うようだ。冤罪なのかもしれない。
林ますみが長女とお風呂に入っていたら溺死する夢を見たら、本当に娘が瀬戸大橋から身投げして子どもと心中していた。後付けの嘘でなければスーパーナチュラルの存在をさりげなく示す。長女はいったいどんな人生を送っていたのだろう。
息子と健司が泉を訪ねるシーンがある。二人ともすごく明るい。長男は自分は幸福にならない方がいいと、結婚もせず家庭も持たない人生を選択している。相手次第だけどそんなふうに決めつけず人生の可能性を探って欲しいと思うのだけど、長女の末路を思うと、選択が正しいのかもしれない。
冤罪であると訴える団体の皆さんがすごく熱心だ。彼らに何一つ利益があるとも思えず、単なる善意でやっているように見える。すごい人たちだ。選挙に出て世の中を正してほしい。
監督ががんがん行くタイプの人だと思ったら、取材相手にGPSをつけようとして被害届をだされていて、そんな様子も作品の一部にしている。偉そうでなくていい。
後ろの席のおじさんが豪快にいびきをかいていたし、斜め後ろの人もずっとビニールをパリパリさせていた。