「いろいろ複雑だが見に行ってよかった」マミー 邦画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろ複雑だが見に行ってよかった
たまたま劇場の予告編で見て、これは見てみたいと思い見にいきました。
ちょうどこの事件当時は私は小学生でしたが連日報道されてもちろん知っていました。
劇中で息子さんが事件当時の話でグランダー武蔵のことを話していたのでおそらく息子さんと私は同世代だなと思いました。
さて、肝心のこの作品に関してですが私はとても興味深い内容で見入ってしまいとてもあっという間でした。不謹慎かもしれませんが面白かったです。
何の事件でもそうですがマスコミは騒ぐだけ騒いで逮捕されたりある程度のその事件のピークを迎えるともう報道しなくなります。
この件も林真須美が逮捕されてからその後は連日報道されなくなったのでその後のことは私は何も知りませんでした。
地域柄ヒ素が日常的に常備されてることや、分析の仕方が専門家によって見解が違う点、科学的根拠が不足してる点、近所の方の目撃証言の信ぴょう性、娘が自殺していることなどなかなか盛りだくさんの内容でした。
本当に林真須美は冤罪なのかどうなのかはわかりませんが、一つだけ本人たちも認めている話として保険金詐欺の話がありました。
夫である林健治がその話を自慢気に語るシーン、さらにはその詐欺に加担した元同僚?舎弟のような人に息子と健治が会いに行くシーンにこの家族の人間性が見えました。
詐欺に加担した元同僚は真須美に惚れていたためそれを利用して詐欺に加担させたり、真須美は10回以上もヒ素を入れた食べ物や飲み物を食べさせ飲ませています。
そんなことをした人に何十年ぶりに会いにいき悪びれる様子もない健治、息子も子供の頃、下に見ていたと話していたので会いに行った時も気遣ってはいるものの両親のやったことに対する申し訳ない気持ちなどはないような対応に見えました。
だからといって、真須美がカレー事件の犯人とは決めつけてはいけないのですが、明らかにこの保険金詐欺事件のことやこの舎弟のような人物への毒盛りの件があったので犯人として確定され、科学的な分析の調査も雑に行われているにも関わらず死刑確定したのではないかなと思います。
ま、でもそんな健治のメンタルおばけというか人間性も含めてこの作品の良さだとは思いました。
あと気になったのは駅前での林真須美の無罪を主張する団体の演説に対して「和歌山の人らはみんな真須美が犯人だと思ってる」と面と向かって発言していた方。
パッと見アンチの方に見えるがちゃんとその主張に向き合っていて、俺は犯人だと思っているがあんたらの気持ちもわからなくないと頑張ってくれと言って立ち去るのだがこうやって向き合うことが大事だと思った。
一番ダメなのは無関心なこと。
本当に林真須美が犯人なのか、真実はわからないが大事なことはちゃんと問題に向き合うことなんだと思う。
それと最後の最後で監督が捕まりそうになる?取り調べ受けてて、本当にこの方も体張って取材してて結果的にすごく興味深い作品を作り上げてくれたので。
題材が題材なだけにあまり公開期間が短く回数も少ないですがぜひ見てほしい。
なんなら劇場公開後は配信とかもした方がいい、この事件について知らなかったたくさんのことを知れたので私としては本当に見に行って良かったです。
興味ある方はぜひ見に行ってください!