「登場人物が全員クズ」マミー kenblackdogさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物が全員クズ
心からかわいそうと思ったのは無理心中をした長女とそのお子さんたちのみ。
あとは監督含めて登場人物全員クズぞろい。
私の中には相反する考えがあって
・法治国家なんだから「疑わしきは罰せず」、証拠がないなら疑わしいだけで罰してはならない
・胡散臭い、ほかに犯人はいない。だったら罰しろ
映画を見るまでは前者の方が意が強かったが、映画を見た後では後者寄りになってきた。
笑いながら「ヒ素のんだだけで簡単に1億5000万も手に入った」と保険金詐欺を井戸端話のように飄々と話をする父親。平凡な人間には及びもつかないネジの外れた家庭が林家だったということは間違いない。「それとこれとは別、どんな倫理的に劣っていた家庭であっても、証拠がないなら死刑にしてはいけない」と頭の中の理想ではわかっているが、映画を観終わって「こんな狂った人たちなら死刑でもしょうがないわ」って思う自分がいることにびっくり
当時の裁判官や判事をインタビューで追い回す意味が全く分からない。意見をプライベートで話せるわけがない、当たり前だ。それをしつこく追い回す時点で犯罪犯してんのはあんたらやろ、って思ったら、監督自らGPS装置を対象者につけるために住居不法侵入という罪を犯している時点で呆れた。
鑑定はあくまで科学的に同じかどうかを調べただけで、ほかにも使われるものがあったのかどうかを調べるのはあくまで警察の仕事。ヒ素を鑑定した理科大の教授の言うことは全く持って当たり前の話、鑑定人は言われたことをしただけで判断や捜査は警察の仕事。
あたかも新しい証拠が出てきたかのようにいっているが、袴田事件とは全く別物。そんな画期的な証拠が出てきたら再審の道は開けるだろうに全く相手にされていない点でその程度の証拠。ああ、何かの陰謀説で再審請求が却下されているんでしたっけ?
あの当時のマスコミの騒ぎっぷりはすごかったし、この映画を観るまでは「もしかしたらきちんとした証拠がないのかも。だったら死刑にしてはいけないのでは?」と思っていたが、映画を観終わってあまりに偏った意見なので、かえって「死刑でもしょうがないのか?」と思わせる、ある意味私には逆効果な映画となっております。
文句ばかり言っていますが、犯人ではないという世間一般とは真逆の意見をしっかり聞けたという点では有意義な映画でした。これも偽らざる気持ち。
平日の昼間に鑑賞にいきましたが、映画館がほぼ満席でびっくり。観に行っておいていうのもなんですが、そんなに関心がある人いるのか?って思いました。