劇場公開日 2024年8月3日

「この国の司法」マミー ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この国の司法

2024年8月3日
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鑑賞方法:映画館

本作は和歌山毒カレー事件の加害者とされた側に入り込んで、裁判でも充分に検討されなかった物証の証拠能力を徹底的に検討していく。
証言も裁判で採用されなかった加害者側のものを充分に検討している。
当時は世間もマスコミもおそらく司法も、保険金詐欺をしていたからカレー事件においても犯人だろう、と雪崩を打って死刑という結論に向かったわけだが、果たしてそれは正しかったのか?少なくとも根拠となった物証の証拠能力にはおおいに疑問が残ることが分かった。
面白いのは、旦那の方は保険金詐欺について認めてペラペラ喋っていること。当時一緒に詐欺をはたらいた共犯者で、捜査において被害者とされた舎弟みたいなやつにも本人達が突撃しているのは笑った。
そして保険金詐欺事件群と毒カレー事件の最大の違いは『動機』。動機が無いと分かりながら、ストーリーだけは検察の描いたとおりに進んでゆき、死刑判決にまで至る。
アベ政権の「内閣人事局」の頃から司法が狂ったような気がしていたが、よく考えたら全然違うな。この国の司法はずっと独立もしていなければ、国民の方を向いていたこともないんだった。あらためてそれを思い知らされた。
そういう意味でも良作。

ぱんちょ