ライオン・キング ムファサのレビュー・感想・評価
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光の向こう側へ
"I always wanted a brother."
セカンドチャンスは無し!闇堕ちしたやつは要らない・切り捨てられる!! …という厳しい自然の掟?
顔を正面から見据えたショットの魔術師バリー・ジェンキンスによる人々の心を掴む神演出と、エルトン・ジョンによるオリジナル版に負けないくらい素晴らしいリン・マニュエル・ミランダによる強力な楽曲たち。そんなジェンキンスマジックに、タカが「兄妹が欲しかった」というショットでもう涙腺半壊。対を成す影の主人公タカから皆が知る"あの"悪名高いスカーに作中なっていくケルヴィン・ハリソン・Jrと、またしてもハリウッド大作で悪役にもかかわらずノリノリに美声まで披露する我らがマッツの演技は必見。懐の深いムファサの優しい嘘によってズル賢い悪徳政治家みたいに祭り上げられ、時に満更でもなく振る舞ってしまうタカの等身大さ。「騙すことも王には必要だ」と教えられて血筋を重んじる家父長制な父親の影響・教育方針によるところも大きく(むしろそればかり)、同情してしまう。ばかりか、そんなふうに真っ直ぐな思いから傷つき裏切られ妬み嫉み歪んでいってしまうタカに共感した。何者でもないところから大きな器と王の素質で、運命に導かれるように偉大な王になっていくムファサは自分には眩しすぎて!オリジナル版から引き継がれて落ちそうなムファサに手を伸ばすスカーのアイコニックショットな構図が、強力なイメージングシステム差異を伴う反復として本作でも鍵を握る。本作の監督が、あのバリー・ジェンキンスと知ったときには正直誰もがまさかの人選と思ったろうけど、作品を構成する要素に意外と共通点も見出だせる?恐らく史上初(?)ライオンの顔にGoProカットや効果的なスローモーション、ラフィキとの出会いのシーンではカットを割らない長回しなど、印象に残るショットやシーンの数々。
最初は同じ方向を見て走っていたはずなのに、その旅路の果てに何を見て何を感じ、如何にして袂を分かつことになったか…?本作を見るぼくらは無論『ライオン・キング』を知っているから必然の展開ではあるが、なんというかもう少しタカ側にも救いが欲しかった気もしたけど、そんなのは甘ちゃんの考え方なのだろうか?とりあえず良くできた映画なのだけど、最後の最後に期待・想像を超えてくるような、なにか心にすごい傷跡を残すような映画的インパクト(=感動やカタルシスと置き換えてもいいかもしれない)が欠けている気がしてしまった。あと、先祖から次の世代へと語り継いでいくという本作の構成上、また、(本作が『ライオン・キング』"サークル・オブ・ライフ"と世界を共にする作品の一部であることを観客に意識させつつ)息抜き的な意味合いでも必要なのはわかるけど、作品の途中合間合間に入ってくる語り部側の現代パートがややもすればタルいというかヌルいというか…な印象が拭えなかった。
キャラクターの個性が物語を転がし、この悲劇につながっている。速く行くなら独りで、遠くに行くなら仲間とみんなで!キング・オブ・エンタテインメントなサークル・オブ・ライフ"命の輪" vs "弱肉強食"なはぐれ者たちアウトサイダーズという青春ロードムービー。オリジナル版の『ライオン・キング』含むディズニー・ルネサンスなど、ディズニーといったらやっぱり子供にも見せやすい分かりやすい勧善懲悪な二元論だけど、グレーな世界に踏み込んでいる。…のだけど肝心の結末ラストは(製作陣の本意ではないかもしれないけど『ライオン・キング』に繋がるためには)、まるで"一度裏切ったらセカンドチャンスは無し"という厳しさよ!もちろん『ライオン・キング』に続く前日譚としてご都合主義的・予定調和(タスク)になるところはあるのだけど、そこもファンとしては「はいはい、待ってました」と嬉しいだろうし、その先を知っているから結局報われないことも知っている。そう思うと悲しい生涯だ。いつかあなたも勇気を出せれば誰でも戦える、子供や未来のために自分より大きなものにも立ち向かえる。肝心なのは、誰だったか(出自バックグラウンド)ではなく、誰になるかだから。総じて、本作に続く前作ジョン・ファヴロー版"超実写"『ライオン・キング』の音楽途中で"タイトル・ドン!"という鳥肌級の神演出を除けば、本作のほうが好きだったかな。バイバイ♪
P.S. けど、タカと違って自分だったら相手を貶しいれるためだとしても、あんな風にはきっと振る舞えないな。嫌いなものは嫌いだときっと態度に出てしまうから。
偉大な祖父
レオの子どもルネに祖父パンジャが……
もとい。
シンバの子キアラに、祖父であるシンバの父・ムファサがいかに偉大だったか、マンドリルのラフィキが語って聞かせるという内容。
後付けだからか、この兄弟としての関係だと、のちにスカーがムファサを死なせるほど憎悪を抱くようになるとは思えなかったものの、アニメ&前作を好きな人ならかなり楽しめる内容になっていたと思う。
ただ、アニメーションならともかく、CG実写だと、捕食者のライオンと被捕食者の草食動物たちとの関係性の歪さが拭い切れない印象は、前作から変わっていない。
やっぱりアニメーションか、または人間が被り物するミュージカルの方がしっくりくるシリーズだと思うんですよね。
ムファサ:オリジン
さすが、バリー・ジェンキンス監督!
アカデミー作品賞「ムーン・ライト」を手掛けたバリー・ジェンキンス監督らしい男の愛憎蠢く複雑な感情がドラマに落とし込まれていてよかった。
製作チームも、ジョン・ファブロー監督率いるディズニー・マーベルの前作チームとはガラッと変わっていて、まさにバリー・ジェンキンスチームといったメンバーになっている。
脚本は「キャッチミー・イフ・ユー・キャン」のジェフ・ナサンソン、
音楽はバリー・シールジェンキンスの相棒「ムーン・ライト」、「ビール・ストリートの恋人たち」のニコラス・ブリテル!そしてアンドリュー・ガーフィールド君主演のミュージカル映画「チック・チック・ブーン!」、「モアナと伝説の海」のリン=マニュエル・ミランダ!
音楽良かったですね。本作。
「ムーン・ライト」での同性愛という一つの言葉では言い表せないような複雑な感情が、本作のムファサとタカ(のちのスカー)の関係性に見事に落とし込まれていました。
タカのムファサに対する兄弟が欲しかったという幼少期の純粋な気持ちと、青年期に訪れる親の重圧とムファサに対する何とも言えない嫉妬心。私個人的にはムファサへの兄弟愛なのか友情なのか、愛なのかわからない複雑な感情がまさに憎しみに変わってしまうところが本作のキモで、そこは魅力的な映像でしっかりと描き切っていた。(一作目のムファサを崖から突き落とすシーンに繋がる、水からムファサを救い上げる愛憎蠢くタカの表情・水面スレスレのカメラワークの美しいシーンになっている。)
そして2人とも母からの言いつけをしっかりと守っていて、タカは母親からの「いつか勇気を出せる時が来る」という言葉に対する行動は、サラビに対してではなく、ラストでキロスに襲われるムファサに対してやっと発揮できるということ。ここはハッキリと違いを見せていたので、やはりタカのムファサに対する思いというのは単純な友情ではなかったんじゃないかと個人的には思う。
この映画を観た後はやはり一作目のあのシーンの観る目が変わってしまうかもしれない。
気になったところというかこれは一作目、そもそも「ライオンキング」に共通して気になっているのですが、捕食対象とコミュニケーションが取れる世界観というのが中々受け入れられない笑
人間でいう豚や牛や鶏と会話できるみたいなもんで、意思疎通できる相手を食べれるのか?笑、この設定は全く頭に入って来ない笑。案の定ライオンの食事シーンは一切出て来ない。アニメならまだ何とかなりましたが、リアルになると余計にそこが気になる。あとはライオンの区別が付かない!笑 最後は本当にお母さんなのか、もう覚えてない笑
タカが闇に堕ちてスカーなったのは嫉妬
アニメやCGでも映画化され、ブロードウェイ・ミュージカルとしてもロング・ランされてきたディズニーの名作『ライオン・キング』。これまでの主人公は若き王となるシンバの物語だったが、本作はシンバの父・ムファサ王の生い立ちを辿る物語。シンバの宿敵・スカーが、いかに闇に堕ちていったのかも改めて描かれていく。
相変らず、ディズニーのCGは、手抜きが無い、ムファサや後にスカーとなるタカを中心に、キリンや像、シマウマ、ガゼル…等々の動物の生き生きとした動きや、本来あり得ない感情まで読み取れる顔の表情、毛先一本まで細かく描かれている。また、ジャングルやサバンナの大地や草木も、実写と見間違うほどのリアルさが追究とれている。そして、大地を駆け回るライオンの目線で、スピード感を持って描かれているので、まるで、自分がその場に一緒に走っているかのような臨場感が伝わって来る。
物語は、シンバの子供のキアラに、マンドリルのラフィキが、ムファサの生い立ちを昔話として語って聞かせる展開となっている。これまでの『ライオン・キング』でば、絶対的な悪だったスカー(タカ)が、実は。ムファサと兄弟の様に仲が良く、共に切磋琢磨して成長してきた仲間であったことが、本作で明らかになる。
父と母と穏やかな生活を送っていた子供のムファサは、ある日、サバンナに起こった洪水で、知らない土地に流され、父と母と離れ離れになる。その危機を救ったのが、後にスカーとなるタカ。王家の血を引くタカは、ムファサを兄弟の様に仲間に迎え入れ、共に成長する。しかし、青年に成長したムファサ達の前に、冷酷なライオン・キケロ群れが現れ、タカ達の群れが襲われ、命からがら、ムファサとタカは逃げ延びる。
そんな中、メスのライオン・セラビとその召使いの鳥・ザズー、マンドリルのラフィキと出会い、5匹で協力して輝く楽園ミレーレを求めての旅に出る。そんな中、タカはセラビに恋をする。しかし、セラビはムファサに恋をし、ここで恋の三角関係が生じてしまう。ムファサは、タカの気持ちを知っているにも拘らず、セラビの想いに応えたばっかりに、タカは、ムファサに嫉妬し、闇へと落ちていくのだが…。この件って、大宇宙叙事詩のあの映画に似ているような…。
今回は、日本語版で観たが、英語版では、アーロン・ピエールがムファサを演じ、他にもケルビンー・ハリソン・Jr、ビヨンセ・ノウルズ、マッツ・ミケルソン等も声優として出運しており、こちらも、配信が始まれば観たいと思う。
スカーの是否
動物って種類が違ってても同じ国で助けあってるの?
若い頃、ライオン・キングってジャングル大帝のパクリだと思っていたので、興味がなく過去の作品は全く知らず、ハードル低めで着席。
小さいムファサが川に流され、両親と離ればなれになった時に、河原にいたタカに救われた。それから始まる義兄弟。あれ?急に大きくなった。ライオンってそんなに早く成長するの?いや、日にちが経ったのかな?タカの父親が王を勤める国が白いライオン達に敗北、ムファサ達がミレーレという場所を目指して旅を始めた。ムファサは両親に会えるのかなって期待度アップ。あれ?何で白い奴ら追っかけてくるの?謎だった。暴力映画は嫌いだけど、動物達だから武器のないバトルアクションでワクワク。あら、嫉妬したタカがムファサを裏切った?ハラハラ。不思議だったのが、チョコチョコあった、猿がこのストーリーを話してるシーン。そっか、自分は前作などを知らないから、このキャラ達が分からなかったんだな。もうムファサは亡くなってたんだ。ビックリ!
最初から最後まで、みんなの表情が楽しく、映像が美しく、感情に共感できた。予想より遥かに楽しかったです。
ウルウルしっぱなし
今年映画館で観た117本の中で
ナンバーワンはこれに決まりました。
素晴らしかった、ストーリーも、映像美も。
ずっと口開いてたかも(笑)
ほとんど、ウルウルしっぱなし。
今日は仕事の合間だったので選択肢なく吹き替え2Dで観ましたが、次は字幕のIMAXで観ると決めました❗️
声優みんな、セリフも歌もとても合ってたけど、ヴィランのキロス吹替の渡辺謙さん、歌もうまいことを知りました。敵ながらかっこよかった。これ、字幕ではマッツ様(マッツ・ミケルセン)なんですよ。楽しみ^ - ^
もう一度家で①観てから②観よう。
シンバの父、ムファサが孤児から偉大な王になるまでの話です、②は。
兄弟同然で育ったタカがスカーになる理由も明らかに。
なんだか、タカが不憫だった…(泣)
プンヴァの佐藤次郎さんには何度も笑ったし
マンドリルのラフィキには脱帽。
あぁ、愛すべきライオンキング。
見ることで1作目の解像度が上がるような作品
超実写と謳っていた実写ライオンキングの第二弾であり前章譚。
アニメ、実写の1作目のシンバの父であるムファサの話であると同時にヴィランのスカーがヴィランになってしまった過程を描いた作品。
アニメ1作目、実写版、共鑑賞済みでの鑑賞。
前日譚だからストーリー的にはこの作品から見ても楽しめるかもしれないが、なんも知らないとちょいちょい挟まる現代パートのプンバァとティモンはなにもん?ってなるかな…
実写版1作目見れる場合は鑑賞してからの方が感動とかもあると思う。
実写1作目はアニメのストーリーをなぞっただけの印象で、だったらアニメの方が好きだなぁと言う感想だったけど、今回ストーリーとしてはティモンとプンバァのような場面を盛り上げるキャラがいないが、ストーリーと全体のシリアスさが実写の風合いがやっとマッチした印象。
アニメだと今回の内容はなかなか描ききれなかったような気もする。
(いや、ディズニーならそれでも問題なくやれそうだけど…)
「曲」
残念ながらアニメ1作目のような名曲は誕生しなかった印象だけど、これに関しては1作目の音楽が偉大すぎたかな…
「顔のアップ」
今回顔のアップにカメラを固定して駆け回るようなシーンが複数あり、それはそれで見応えがあるが、ちょっと気になるくらいそう言うシーンが多いのはそんだけ寄りでも問題ないくらいCGのクオリティが上がったってことなのかな?
1作目でなにも違和感感じないくらい実写だったけど、今回もクオリティは十分!
「ムファサとタカ」
出会って競争するシーン、ここで2人ともゴール目指すけど、この時点で別ルートをいく感じが今後の展開を示唆しているようで、自然な演出だけど、なんだか切なくも感じた。
またタカが闇堕ちしていくシーンは、場面の演出としてもまさに滑り落ちて落下していくので、心と連動した演出もとても見やすかった。タカが傷ついたあの時横にラフィキがいたら、うまく励まして導いてくれた気がするのになぁ…
個人的にはムファサの行動はまぁ仕方ないとも思えるけど、タカ同様に裏切った、それはないよ…って思う人いるだろうなぁ。
「プライドロック」
まさかプライドロックが出来る瞬間が描かれるとは思ってなかったので、はじめはあれ?プライドロックないじゃんと思ったけど、出来た時はなんか感動した!
またなんだかんだ言っても弱肉強食の世界ではあるのに動物たちが王のライオンに頭を下げにきたりするあの世界観はなんなんだろ?と思ったけど、その世界観も一応はなるほどと納得できるものがあったかなぁ。
「総括」
音楽面だとどうにも一作目が偉大だったなぁという部分があるが、ストーリーも前日譚として、見たらより1作目に深みが出るような昨日になっていた気がするし、変にヴィランを持ち上げすぎてもいない印象でとても良かった。
組織や家庭によって教育など違うけれど、小さい時やはじめに言い聞かされてきたことって後々やはり影響してくるなぁと。
教えが大きく間違っているとも言えない事であっても、弾みやきっかけで道が大きく外れてしまうかもしれない、教えって大事だなぁとつくづく感じる作品でもあった。
ここは、惑星「パンドラ」ですか?
大人も子どもさんも楽しめます
ストーリー的には王道です。とってもお話がわかりやすい。私の大好きなティモンとプンバも出てます。
やっぱり良いねディズニーと思える作品だと思います。
大人として楽しむなら音楽が凄いです。なので映画館で観るがオススメです。
世代を超える”命の環”
前作で兄弟の確執を見せたムファサとスカーの幼い日の物語ということで、かなり期待していた本作。仕事を定時で上がって、先行上映のIMAXで鑑賞してきました。前作ですでに完成の域にあった映像は、もはや本物の動物が演技しているとしか思えないレベルです。加えてローアングル多用のアグレッシブなカメラワークが圧倒的な躍動感を生み出し、視界いっぱいに広がる大自然に飲み込まれます。この没入感は劇場でしか味わえないと思います。
ストーリーは、前作の主人公シンバの娘キアラに、マンドリルのラフィキが物語を語る形で、楽園”ミレーレ”をめざす途中で両親とはぐれた幼きムファサが、ある一族を率いる王オバシの息子タカと出会い、兄弟のように育った二人は強い絆で結ばれていたが、その縄張りを狙うキロス一味に追われる中で、グループに加わったメスのサラビをめぐって関係が崩れていくさまを描くというもの。
前作では種を越えてつながる”命の環”を描いているように感じましたが、本作では世代を超えて紡がれる”命の環”を描いているように感じます。オバシからタカに引き継がれたものが血筋と小さなプライドであったのに対し、育ての母エシェからムファサに引き継がれたものは生きるために大切な資質と能力。そこに加えて、他の動物の命をも守る王としての責任を自覚したムファサの思いが、シンバ・キアラへと受け継がれる物語であったとも受け取れます。
過去のアニメ作品を観たことがないので、本作の話がもともとあったものかどうかは知りませんが、前作の前日譚としてはきれいにまとまり、うまくつながっていると感心します。大筋は予告から推して知るべしの内容ではあるものの、前作とのつながりを感じさせるストーリー展開にわくわくします。中でも、足元で助けを求めるムファサを、タカが見下ろしながらも助けるシーンが印象的です。これが序盤と終盤の2度描かれますが、タカの心情の変化を描き出すとともに、前作との対比ともなっており、演出の妙を感じます。他にも、プライドランドの岩のステージ、ラフィキの杖、スカーの傷など、前作への橋渡しとなるシーンも見逃せません。
一方で、観客はこの先のムファサとタカの行く末を知っているだけに、幼き日のタカの優しさとムファサとの絆が切なく、若き日のタカの怒りとムファサとの確執が悲しく映ります。父の反対を押し切ってまでもムファサを一族に迎え入れようとした優しきタカですが、長ずるにつれてムファサとの器の大きさの違いが目だち始めます。ムファサの懐の深い言動がタカの小者っぷりをより際立たせ、演出の巧みさを感じます。父オバシがもう少し良き王であったなら…、そんな思いさえ抱いてしまいます。少しずつよどみ積もっていく劣等感を、自身の血筋とムファサにかけた恩情で塗りつぶそうとするタカの心情は察するに余りあり、やるせない思いがします。
ただ、そんなタカがサラビをめぐってムファサとの関係を急速に悪化させていくのですが、このあたりの描写はやや乱暴に感じます。もちろんタカの怒りには共感しますが、その後の手のひら返しの行動はあんまりです。一方のムファサも、最後の最後に勇気を奮い立たせたタカに対して、にべもない態度をとります。長い時間をかけて築いた二人の絆が、こうも簡単に壊れることに少なからず違和感を覚え、自分にはちょっとしっくりこなかったです。
また、終盤でキロス一味の撃退を呼びかけるムファサに、ミレーレの動物たちが一斉に奮起したのもちょっと引っかかります。この時のムファサの演説にそれほど心揺さぶられなかったし、そもそもムファサたちがキロスたちを招き入れたともとれるのに、動物たちがあっさりとムファサを支持した理由がわかりません。
こうした終盤の畳み掛けに強引さを感じるものの、全体的には後味のよい作品に仕上がっていると感じます。ストーリーだけなら本作だけでも追えますが、前作の知識があったほうが間違いなくより楽しめますので、お時間のある方はまず前作を鑑賞することををおすすめします。
キャストは、アーロン・ピエール、ケルビン・ハリソン・Jr.、マッツ・ミケルセン、ビヨンセ・ノウルズ=カーター、ブルー・アイビー・カーターら。
大事なのは自分が何だったかではなく、何になるか
[概要]
ラフィキ(マンドリル)の語る昔話が舞台で、それをキアラたちが「早く続きを教えて!」とワクワクしながら聞く。プンバとティモンも今回は聞き手である。
スカーがなぜスカーになったのか、なぜ目に傷ができたのか、
そしてムファサが王である所以が描かれる。
映画の外の変な思想抜きに見られる内容(本当にありがたい)で、
知っているキャラクターもふんだんに出てくるので安心できた。
ただ余計な説明を省いているようなので前作は見るべきだと思う。
[興味深い点]
この世界の動物たちはムファサ(ライオン)を王として崇めているが、彼らを主食にしているのはライオンである。
これは気まずい。ここをどう解決しているのか観察してみると、
言葉を話す、あるいは仲が良いかどうかで捕食対象の分かれ目になっているようだ。
3パターンある。
・言葉を話さない→純粋な捕食対象
・言葉を話す→捕食対象だが大人の都合で食べられない
・ライオンと仲が良い→絶対に捕食対象にならない
個人的な解釈を足すとこの世界には「純動物」と「動物という服を着ている人間」がおり、人間同士は食べないという現実世界の常識が成立しているようだ。それを裏付ける部分としては後々仲間になる動物を食べようとするシーンがあるのだが「やめてさしあげろ」とシンプルに拒絶感を感じてしまった。
やはり天下のディズニーであり、色々な側面を考える価値も感じさせる。当然こんな推察をしたところで誰が何と言おうとお子様向けだ。最後はムファサに玉袋の描写が無いことを注意深く確認したのち、満足という名の清々しい諦めを獲得した。
[良かった点]
・水の表現にこだわりを感じた
・変な趣向がなく前作と同じ雰囲気
・ハクナマタタが完全にカットされている
・スカーがちゃんとスカーらしかった
・渡辺謙の声がぴったりハマっていた
[悪かった点]
・吹替版の歌詞にやっつけ感がありめっちゃ歌いづらそう
・水のシーン多すぎ
・今作でも歌と顔の動きに違和感を覚える
[気になる点]
実写で笑ったり歌ったりしている動物の映像作品をこれしか知らないので、
冒頭での会話シーン数分がどうしてもとっつきにくい。
何度続編が出ても同じことになるだろう。この超実写版に付いて回る違和感を皆がどう思っているのか気になる。
[総評]
ライオンキングが好きならきっと大丈夫。
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