「めちゃくちゃ良かった!」ライオン・キング ムファサ おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
めちゃくちゃ良かった!
『ライオン・キング』の前日譚で、ムファサと義兄弟スカー(タカ)の出会いから、ムファサが王になるまでの物語。
2人の関係性や過去が明かされて「ああ、そういうことがあったんだ…」と腑に落ちる感じ。
まず戦闘シーンの迫力がえぐい。
ライオン同士の戦いがリアルすぎて、実際だったらこんな感じで戦うのかなと息を呑む場面が何度もあった。
怒った表情だけでなく、痛そうな顔や怯えた顔まで細かく表現されていて、動物なのに人間味を感じるという不思議な感覚。
CG技術もとにかくすごい。毛並みや筋肉の動きまで精密に描かれているし、大自然の風景も「これ、もはや本物以上じゃね?」ってくらい綺麗。いったいどれだけの時間と労力が費やされているのか……。
ストーリーはストレートかと思いきや意外と盛りだくさん。
ムファサの悲劇、タカとの出会い、逃亡劇、理想郷を目指す旅、そしてムファサとタカ
、途中で仲間になるメスライオンのサラビ(後の王妃)との三角関係。この三角関係がなかなかしんどい。
サラビに初恋を奪われたタカはムファサに協力してもらいながら距離を縮めようとするけど、ムファサの圧倒的なカリスマ性に惹かれていくサラビ…。
タカはどうしても兄弟が欲しくて父の反対を押し切り、ムファサを群れに迎え入れたのに、初恋の人も王座も奪われ、さらにはその後も同じ群れで暮らすしかないなんて…。
そりゃ闇堕ちしますわなって思った。
音楽もやっぱり良い。
アフリカンミュージックの高揚感と広大な大地を駆ける映像の相性が抜群で、鳥肌が立つ瞬間が何度もあった。ミュージカルにもなるくらいだから、「ライオン・キングといえば音楽」って感じで、今回も最高!
そして地味に感動したのが構成。
まっさらなサバンナから草木生い茂る理想郷「ミレーレ」を目指すのがストーリーラインの1つとしてあるけど、序盤に「ミレーレ」の話をするときに出てくるイメージ映像を見ても「広大なサバンナ→広大な草原」くらいの変化で、正直感動は薄いなと思っていた。
そこで間に挟まれるのが、冒険の途中で雪山を越えるという展開。このパートがあることで視界の狭さや画面全体の暗さ、彩度の低さが一気に増す。この落差のおかげで、最後に「ミレーレ」に到達した瞬間の広大さや色鮮やかさ、爽快感がより際立っていた。
このエッセンスはほかでも転用できそうだし、実際にされているんだろうなとも思った。
めちゃくちゃおすすめだけど、もし観に行くなら前作の超実写版『ライオン・キング』を観てから行くべき。ムファサが王になりスカーに恨まれるというゴールが分かっているからこそ、仲良くじゃれ合う幼少期を観たとき「どうしてスカーはこんなにムファサを憎むようになったんだろう」っていう疑問から今作の結末がどう着地するのか、よりワクワクする。めっちゃ良かった〜!