「映像が綺麗。ムファサの心の内をもっと知りたかった。」ライオン・キング ムファサ p27さんの映画レビュー(感想・評価)
映像が綺麗。ムファサの心の内をもっと知りたかった。
吹替版で鑑賞。
映像がとにかく綺麗!
オリジナルのライオン・キングからのアニメーション技術の大きな時代の変化を感じられました。
本物のライオンや動物たちが喋っているような擬似体験を味わえました。
動物たちの筋肉の動きが好きなので、ムファサの後ろ足のがっちりした筋肉に痺れた!よく見ると動物たちやそれこそムファサとタカの動きも少し違って見えます。初めはムファサとタカのそっくりな見分けに混乱したものの、色(ムファサはより黄色味が強く、タカは白味が強い。オリジナルのスカーになると黒味が強くなるのでオリジナルに至る年月でスカーに一体何があったのか)以外にも見分けがつくようになってくるのがすごい。
かつてのセル画では出来ない表現で面白いですね。
もったいないと感じたのは、タカの心情の変化は痛いほど伝わってくるのに対し、ムファサの心の内が見えづらかったこと。
もう少し葛藤や感情の湧き上がりが丁寧に描写されていたら、タカにもムファサにも強く共感できて、どちらかしか選ばれない・王になれないという運命に感情を強く揺さぶられたように思います。
あとはムファサたちの親世代の行動原理ももう少し分かりやすかったら更に運命感が強かったかも。
子ども時代のムファサ一家が本当にあるのかすら分からないミレーレを目指していた強い理由、タカを王にしようとするための教育(王になるタカに自由がないことを憐れむような発言をムファサがしていたがそのインパクトが薄いし、ムファサが後の偉大なる王になる布石としてもタカの父である王のオバシは偉大な姿か冷酷すぎるかのどちらかだと分かりやすかったのでは)の様子、タカの母であるエシェとムファサとの絆、サラビの過去など、セリフだけで語らずにより強い印象となる見せ方だったら、心にすごく響いたと思います。
謎のおじいちゃんだったラフィキの過去にも触れていたが、やはり謎のままだったし、謎なら謎でもっと謎に表現しても良かったかもしれない。
また、現代パートではティモンとプンバァがコメディ担当だったので、物語パートではザズーがより存在感があればとも思いました。
そしてミレーレをプライド・ランドと名前を変えた瞬間や由来も見たかった。
全体的に映像は美しいものの演出や脚本でもう少し心に響く作品に仕上げられたのでは…という残念さもあります。