「アメリカ帝国」ライオン・キング ムファサ 田中スミゑ 90歳さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ帝国
世間知らずのボンが、「よそ者を入れてはいけない」という、叩き上げ?でやり手の創業者である父親の助言を守らなかった。
結果、お人よしの妻と馬鹿息子はムファサを助け、一族を滅ぼしてしまう
という現実的な物語でした。
ハリーポッターと同じ典型的な貴種漂流譚だけどコインの表裏としてムファサとタカを見てしまいます。
タカ、元は王子様だったのに両親も好きな女性も失い、納得の闇落ち。
最後のシーンでは、一度はムファサを助けようとしたり、やっぱり殺してしまおうと考えたり…揺れ動く心が描かれているのが印象的でした。
キロスたち、元は別々の群れで生まれたけど、おそらく体が白いことで元の群れでイジメを受けてこちらも闇落ち。集まって愚連隊化。やくざの悲哀。
タカの母親といい、サラビーといい、
やっぱり「女」が絡んでくると、せっかく戦いに勝って男が築いた帝国が滅びる。
そうして歴史が繰り返されていく。
最後、なんで喰われる立場のシマウマ、キリン、ゾウなどがライオンを歓迎するのだ?という疑問が湧くけどまあいいか…。
ライオン・キング自体、手塚治虫のジャングル大帝をパクっているという説が強い事もあり、どうしても日米関係の隠喩として見てしまった。(キロスを白ライオンにしたのは多少の謝罪の気持ちと、白人も悪役になり得るという、最近ディズニーが大好きなポリコレもあるのだろうか。ライオン・キングで悪役のハイエナの名前はエド、バンザイ、シンジだった。江戸・万歳・真珠湾じゃなかったら何から取っているのか問い詰めたいですね。原作を剽窃したうえに、失礼な名づけ。日本を馬鹿にするのもいい加減にして!)
つまり突き出した崖の上で吠えるライオンがアメリカ。そしてウォルト・ディズニーの築いたエンタメ帝国。ミレーネは米国資本が投下されて侵食を受ける属国の日本。そして、何故か肉食獣であるライオンを歓迎する、お人よしの草食動物たちが、日本人に見えてしまったのだ、、、
日本だけでの公開を前提とした映画ではないし、EUに対する感情はまた違うだろうから、そんな意図まではないと信じたいけど、複雑な気持ちになった。