「タカの苦しみがわかりすぎて辛い」ライオン・キング ムファサ おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)
タカの苦しみがわかりすぎて辛い
「オーバーブッキング土下座」で話題沸騰の本作。
先に結論を言えば、「リア充、超新星爆発しろ」と思って生きている人間には辛い映画だった。
「超実写映画」と言われているらしく、たしかに実写と言われても納得してしまいそうなぐらい、映像は凄かった。
ただ、動物の表情が人間のそれで、不思議というか不気味というか怖いというか、とにかく慣れるまでは違和感ありまくり。
ライオンのタカ(後のスカー)が、何かよからぬことを考えている時にニヤリとする場面があるが、「動物がそんな顔するかよ!」と思わず心の中でツッコんでしまった。
前半は正直退屈。
RPGとかにありそうな話を、動物の世界でやっているだけの印象。
話自体に新鮮味は感じなかった。
中盤、敵の追手を振り切るために象の群れに紛れてやり過ごす場面は、映像的になかなかの迫力で、そこは見応えがあった。
中学生の時、自転車で移動していたら同じく自転車に乗った不良数名に絡まれ、無視してたら跡をつけてくるので、一か八かで車が飛び交う車道を全速力で横切り、そのまま自転車を漕ぎまくって追手を振り切った時のことを思い出した。
自転車を降りたら足の震えが尋常じゃないことになっていて、生まれたての子鹿みたいになっていた。
後半、まさかの展開。
少女漫画にありそうな胸キュン恋愛ドラマに突入。
例えるなら、モテない男子が親友のイケメンに「俺、好きな子ができた」と告白。
イケメンは「わかった、応援する」と約束。
ところが、その女の子とイケメンはいつもイチャイチャするばかり。
それを遠くから見ていることしかできないモテない男子。
で、挙げ句の果てに、くっつく女の子とイケメン。
イケメンの方は今まで何度もモテない男子に命やピンチを救われ、かなりの恩があったはずなのに、よくそんな酷いことできるなあ。
しかも、モテない男子はその前に親や仲間を皆殺しにされており、そんな悲劇があった後に、さらに好きだった子を親友に取られるハメになるなんて…
そりゃダークサイドに堕ちるのも納得ですわ。
「街中で抱き合うカップルを見かけたら背中を蹴り飛ばしてもOK」という法律の成立を願う人間には、地獄みたいな話だった。
最終的にタカだけが罰を受け、ムファサが被害者面していて、「ふざけんな」と思った。
この映画が伝えたいことは「モテない人間は人生負け組」ってことですか?
マンドリルもこんな話、孫に語ってんじゃねーよ。