「【”際限のない苦しみの果て。”今作は、閉塞感溢れる小さな町に暮らす人達の姿を描いた、暗くて、哀しくて、痛みが伝わって来る映画である。ラストシーンに微かなる希望が感じられる作品だと思いたい。】」このろくでもない世界で NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”際限のない苦しみの果て。”今作は、閉塞感溢れる小さな町に暮らす人達の姿を描いた、暗くて、哀しくて、痛みが伝わって来る映画である。ラストシーンに微かなる希望が感じられる作品だと思いたい。】
<Caution!内容に触れています。>
■酒に溺れる継父の暴力を受けているヨンギュ(ホン・サビン)は、義理の妹ハヤン(キム・ヒョンソ)を苛めた級友を石で殴り付け、停学になる。
示談金300万ウオンを要求された彼に、何故か町の犯罪組織のリーダー、チゴン(ソン・ジュンギ)はその金を与え、ユンギュは彼の元で働き始める。
◆感想
・今作は、只管に暗くて、哀しくて、痛みが伝わって来る映画である。誰も笑顔を浮かべないし、描かれるのは、生々しい暴力、謀略である。
・ハッキリとは描かれないが、チゴンがヨンギュに目を掛けるのは、劇中彼が湖の畔で言う、子供だった頃に父親に虐待を受けていたからであろう。彼が言う湖で溺れ死んだ子供というのは、幼きチゴンの事であろう。
そして、それ以来彼は死んだように生きて居るのである。
・チゴンは、ヨンギュを自分の様にはしたくないという思いがあるようだが、彼の町を牛耳るボスの命令には逆らえず、ヨンギュもその負の世界に呑み込まれて行くのである。
<今作では、ヨンギュがチゴンの自己犠牲により、”このろくでもない町”から義理の妹ハヤンをバイクの後ろに乗せて走り去るシーンがラストである。
この二人は、”このろくでもない町”から逃げる事は出来たのだろうか、二人で新しい世界で幸せに暮らして行くのだろうか、と思ってしまう重い余韻を残す映画なのである。>
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