劇場公開日 2024年11月15日

「ハラハラドキドキしてしまった」室井慎次 生き続ける者 おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ハラハラドキドキしてしまった

2024年12月2日
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前作が個人的にダメだったので観ない気満々だったのに、観ないといけない理由ができてしまったため渋々鑑賞。
そんなわけで期待値ゼロだったが、正直思ったよりは楽しめた。

まず前作も思ったことだが画作りは素晴らしいと思った。
特に自然描写。
雄大で見応えがあった。

音楽の使い方は前作同様ウザく感じた。

観てて感じたのはとにかくテンポが早い。
5分ぐらいで新しい出来事が次々と起こる感じ。
一つ一つの話はあまり深掘りされず、トラブルは割と簡単に解決され、最後は室井(=脚本家・君塚良一)の説教がセリフで語られて、すぐに次の出来事へ。
シリアスな話の後にのほほんとした話が来たりして、テンションの乱高下が激しく、感情の持っていき方がけっこう大変だった。
ただテンポが早いのは好みではある。

前作の死体遺棄事件が高速で解決したのはなかなかの衝撃。
ここで分かったことは、この映画でやりたかったのは『踊る大捜査線』シリーズのような事件が起きてその解決を目指すような話では無く、室井慎次を使って『北の国から』みたいな人間ドラマを作りたかったのだということ。
別にそのこと自体は個人的に悪いことだとは思わない。

凛久が前山くうが・前山こうがの二人一役になっているのが前作では謎だったが、今作を観て納得。
面白いことするなあ。
まあでも映像技術で簡単に解決できることではあるが。

この映画にはさまざまなメッセージがあると思うが、「子供が悪さをしたら感情的にはならず思いやりを持って接しろ」というのは同意。
ちょっと簡単に改心しすぎで、そうだったら世の中苦労しないとは思うが、でも室井が子供と接する場面は心温まるシーンが多かったように思う。
室井が杏を抱きしめる場面はどうかと思うが…

受け入れ難いメッセージも多数。

まず、小学校での子ども同士のトラブルを暴力で解決しててそれを肯定するって、今の時代どうなのだろう。
凛久が実父みたいにならないか心配。

警察が「ルールは破るもの」みたいなこと言うのもどうかと思う。
そんなこと言ってるから、現実の警察たちは疑わしき人間に対して自白強要や証拠捏造をして、強引に有罪に仕立て上げてしまうのでは?

終盤は養子の凛久と実父の話になるが、ここが個人的に非常にモヤモヤした。
「頼む、改心しててくれ!そうでないとよくある陳腐な展開になってしまう!」と謎にハラハラドキドキしてしまった。
顛末を観て思ったことは、君塚良一から「元犯罪者や障害持ちや生活保護を受けたがるような奴は人として信用する価値無し」という、偏見に満ちた差別的なメッセージを感じた。
良いところもある映画だとは思うが、差別大嫌い人間としては許容し難い。

この映画最大の衝撃展開の引き金が「犬を探しに行ったから」というのも何だかなあ。
そもそもあの犬懐いてなかったのか。

おきらく