「それを目的に相手を選ばないと後悔するよということだが、無理やりにしてしまうのは無理があると思う」HOW TO HAVE SEX Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
それを目的に相手を選ばないと後悔するよということだが、無理やりにしてしまうのは無理があると思う
2024.7.25 字幕 アップリンク京都
2023年のイギリス&ギリシャ合作の映画(91分、G)
ギリシャのマルタ島で乱痴気騒ぎを起こす若者を描いた青春映画
監督&脚本はモリー・マニング・ウォーカー
原題の『How to Have Sex』は「セックスの仕方」という意味
物語は、16歳のタラ(ミア・マッケンナ=ブルース)、スカイ(ララ・ピーク)、エム(エンバ・ルイス)は、高校の休暇を利用して、イギリスからギリシャを訪れてきていた
旅の目的はロストバージンで、タラだけが未経験だった
ホテルについてハメを外して騒ぎまくる3人は、プールが見える部屋でさらにテンションを上げていく
そんな折、彼女たちの隣の部屋を借りているパディ(サミュエル・ボムトリー)と彼の妹ペイジ(ラウラ・アンブラー)、幼馴染のバジャ(ショーン・トーマス)たちと交流を持つことになった
タラはバジャが良いなと思ったものの、スカイからの牽制が入って怯んでしまう
また、パディがタラに急接近してきて困惑してしまう
エムはペイジと良い感じになり、スカイもバジャと距離を縮めていくように見えたために、タラはパディの相手をするハメになってしまった
映画は、ビーチにてタラとパディが関係を持つ様子が描かれるものの、その夜にタラはどこかに行ってしまう
スカイはバジャたちの部屋にいると思っていたが、どっちの部屋にもおらず、ホテルにも帰っていなかった
だが、タラは何事もなかったかのように戻ってきて、パディは意味深なセリフを吐いて、場の空気は不穏なものになってしまうのである
ビーチで何があったのかがミステリーになっていて、その捉え方がパディとタラが真逆のものに感じている様子が描かれる
パディは合意の上だと思っているし、タラは無理やりだったと言うように、実際にどうだったのかはそのシーンが描かれないのでわからない
だが、それ以上に「ロストバージンに対する幻想が孤独感を際立たせている」のだが、それが周囲には伝わらないという感じに描かれていた
どこか様子がおかしいのだが、何が原因がわからず、目的が叶ったからよかったじゃん!というノリになっている親友との温度差が激しくなっている
唯一、エムだけは「何か良くないことが起こった」と感じていて、それをタラが吐露するのは、帰りの空港に戻ってから、という流れになっていた
女性目線で描かれるリアルなロストバージンだが、それを目的にして相手を選ばないと大変な心の傷になるということなのだと思う
旅の目的が最低で、年齢偽って酒にタバコという擁護不能な若気の至りなので、共感する女子もほとんどいないように思える
いずれにせよ、無理やりだったのか、暴力的だったのかはわからないが、肝心のシーンを描いていないので、事後にそう感じた女子目線が正解みたいな感じになっている
パディが無理やりだったと言われたらどう反応するのかはわからないが、さすがにあの導入からの流れで「無理やりでした」と言われたらどうしようもないと思う
問題はあのシーンの後に何が起きたかのだが、それを描かない以上議論の余地もないので、とりあえず言ったもん勝ちみたいになっているのはどうなんだろうか、と思ってしまった