「やはり、応援」聖なるイチジクの種 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり、応援
それがどんなに苦労して制作されたものであろうと、つまらない映画はやはりつまらない映画です。作品の背景にかかわらず、その映画一作の内容のみで僕は良し悪しを判断しています。しかし、イラン政府からの弾圧で財産没収・懲役8年の宣告を受け、国外脱出してまでも撮り続けた作品となると、やはり応援したくなります。まさに命懸けの映画制作なのです。
反政府デモの参加者に不当な刑罰を盲目的に連発する裁判手続きを担わせられ、伝統社会・国家権力からの抑圧に悩む父親が、家庭では有無を言わせぬ圧政者になる歪な権力構造のコントラストが見事です。物語前半で、学生の抗議行動を支持する二人の娘、立場上そんな事を公に出来ない父親、その間に入って苦悩する母親、それぞれの議論が非常に示唆的で考えさせられました。物語としては、後半のミステリー的展開がハラハラの見せ場なのでしょうが、家族に犠牲が出ようとも、娘はなぜそんな行動を取ったのかをきっちり描き切ってミステリーとして完成させてほしかったな。そこを観る者に考えて欲しいというのが監督の狙いなのでしょうが。
たとえどんな映画だろうと、制作した出演したと言うだけで刑罰が下るなどというおぞましい世界が進歩出来ます様に。
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