「途中からの転調が残念で勿体ない」聖なるイチジクの種 ファランドルさんの映画レビュー(感想・評価)
途中からの転調が残念で勿体ない
イランでの政府への抗議デモと、それを暴力で弾圧する警官隊(すさまじいSNS画像は、本物ではないか)。
住所を知られれば家族にまで危害が加えられるほどの、体制側の仕事についている父親と、デモに巻き込まれ負傷し追われている友人を助けようとする娘たち。
父の目の前には昇進と豊かな生活というニンジンがぶら下がっているが、娘たちの行動が知られればすべてを失う。
イランの恐ろしい体制と、個人の相克を描いて、前半は傑作と言っていい。
ところが後半、無くなった官給拳銃の話になると、一気に家庭内のごたごたに矮小化してしまう。しかも、父の行動も娘の動機も理解し難く、途中からの転調が残念で勿体ない。
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