「もやもやしながら突き抜ける」お母さんが一緒 LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
もやもやしながら突き抜ける
母親の誕生日に温泉宿に集まった三姉妹が、ふとしたきっかけでこれまで溜め込んで来たそれぞれへの思いを一斉にぶちまけ合う会話のアクション活劇です。三姉妹の、昭和の匂いがする本音会話のノンストップ応酬劇が痛快で、遣り過ぎ一歩手前の寸止めの匙加減も絶妙に決まっていました。会話の自爆・誤爆・差し違え・闇討ちの切れ味が鋭く、江口のりこさん・内田慈さん・古川琴音さん三人の個性も黒光りしているではないですか。特に、長女と三女の間を繋いでジタバタする内田慈さんがよかったな。
但し、結婚する・しない・出来る・出来ないで話がぐるぐる回り、結局「家族はいいね」でその円環が閉じてしまう事に少し違和感を覚えました。その古臭さをどこかで突き破る一太刀がなくてよかったの? ましてや、脚本は女性なのに。でもそれがないからこそ、このベタベタ喜劇が成り立つのかな?
また、江口のりこさんは今や安定のブチ切れ具合で爆走するのですが、観客が彼女に予想するものに物語が頼り過ぎている様にも感じました。
と、なんだかんだ言いながらも、僕はこの作品が結局好きなのです。
また、脚本のペヤンヌマキさんの名は傑作ドキュメンタリー『◯月◯日、区長になる女。』の監督として初めて知ったのですが、自分の興味のある物に食らい付いて幅広い作品を作る人だなぁと感心しました。
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