「古風な家族劇」お母さんが一緒 Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
古風な家族劇
橋口監督のファンなので見ました。
なんともまぁ、古風な話ですね。
結婚やら血筋やら孫の顔やらが何度も繰り返され、まああまりに繰り返すことで彼女たち(姿を見せない母親を含め)が何に縛られているのかは明白になるが、それ自体がどこかで相対化されるのかと思ったら最後までそうはならない。
もうそういう「家を守りましょう」的な価値観で個人が傷ついていくのはいいよ、という時代に、「お母さんを喜ばせようとしたけどできない娘(なぜなら子供を産めないから)」である彼女が「かわいそう」なままで終わっていくとは……
もちろん、血縁の共同体としての家族を相対化する意味で三女の結婚の形があるのはわかるのだけど、これでは長女は救われないですよ。次女もね。
母親を敢えて登場させないのも手法としてはわかるが、この話だと夫を嫌いながら家父長制を内面化し、その枠の外には出られない母の権力の不気味な巨大さばかり強調されてしまってません?
父を不在にした意味も薄れてしまっているような。
父は不在だが家父長制は健在という悲喜劇なんですかねぇ。脚本書いてる方はどのくらい自覚的なのか知りたいところ。
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